ZEISSレンズとかなんとか

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アトムレンズ

アトムレンズの扱い方 PRAKTICARとGN TOPCORを線量計で計測する

前の記事で、アトムレンズか否か?を判断する決定打として線量計を使いましたが、せっかくなのでいろいろなパターンで測った放射線量をもとにアトムレンズの扱い方を考えてみたいと思います。

もちろん、世間で言われているようにアトムレンズはふつうに使っている分には危険ではありません。でなければ、国で規制されて今現在の中古流通でさえ途絶えていたでしょうから。でも、なんとなくぼんやりとしたイメージだけでなく、もっとわかりやすい指針があると安心して運用できるのではないか? そんなふうに思って、この記事を書いてみました。


サンプルとして用いるのは、東独Carl Zeiss JenaのPRAKTICAR 50mm F1.4 MC(前期型)と、東京光学のRE GN TOPCOR M 50mm F1.4です。どちらも長い間、放っておくと後玉がまっ茶色になるまぎれもないアトムレンズです。特にPRAKTICARはなかなかに黄変具合がものすごく、遠目から眺めるだけで内部のにごりの濃さが分かってしまう恐ろしい状態でした。

どよ~~ん
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Planar 50mm F1.4再考 #31 PRAKTICAR 50mm F1.4 MC 前期型の謎

知る人ぞ知るPRAKTICAR 50mm F1.4 MCは、1978年に発売されたCarl Zeiss Jena製大口径標準レンズです。その背景はなかなかに興味深く、当時、世界に進出していた日本の50mm F1.4に対抗すべく、同等のサイズで可能なかぎり製造コストを抑えることが目標だったようです。その詳細は貴重な内部資料とともに、以下のサイトで語られています。

zeissikonveb.de
Die Prakticare 1,4/50mm
https://zeissikonveb.de/start/objektive/normalobjektive/prakticar%25201%252C4.html

しかし、コンパクトかつ安価という要件を共産主義下の東ドイツで達成することは難しかったのか、50mmとしては異様なほど前玉を湾曲させたこのレンズは、トリウム含有硝材を使いながらも多大なるコマフレアを発生させたのでした。

トリウム含有硝材は黄変による製品寿命の低下に加え、製造時に内部被ばくのリスクがあるために、メーカーはさらなる再設計を推し進め、最終的にはトリウム含有硝材をはじめとした高価な高屈折率ガラスを使用しないコストダウンに成功しました。これが1982年に発売された後期型であり、このレンズの当初の目標はようやく達成されたと考えられます。


このPRAKTICAR 50mm F1.4 MCの特徴は、まん丸に湾曲した特異な前玉とマルチコート時代なのにハロが多いみずみずしい写りです。当然、こりゃおもしろい!と目を付けた自分はまずアトムレンズでない後期型を、そのあとにアトムレンズの前期型を手に入れ、まさにこの前期型の最短撮影距離の短さに満足していたのですが、つい、より良い状態のものがほしいという欲が出てしまったのです。

そうして、手に入れた新たな前期型は、どう見てもアトムレンズとは思えないスッカスカのクリアさなのでした。

こ……これはいったい…………? ( ゚Д゚) ?


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Planar 50mm F1.4再考 #30 RE GN TOPCOR M 50mm F1.4の再評価

めずらしくレンズ評価の追試です。

というのも、このGN TOPCOR、ただ優秀な50mm F1.4の過剰補正型というだけでなく、謎の収差フレア(ハロ、光のにじみ)が存在するからです。それを教えてくれたのは(た)先生。


(・∀・) < GN TOPCORって、当時のニューフェース診断室で評判悪かったみたいです。なんでも、夜景を撮ったらものすごくフレアっぽくなったとか。

(;;゚ё゚;;) < え? あのぼやっとした感じ、個体差の偏心コマじゃなかったんすか??

【登場人物注記】
(た)先生:カメラ界でとにかく徹底的に事実を追求する人で、インド、エジプト、ペルーなど世界各国の特許情報を読み解き、専門書物を壁のように積み上げる魔窟に住んでいる。その書棚におさめられた本の角を傾けると秘密の地下室に入れるらしいが、いったいそこにはなにがあるのか……。(※この説明には多分にウソが混じっているかもしれません)

機能の黒板みたび


と、さらっと省略されても当事者以外はよくわからないと思うので、あらためて事実関係を整理しておきます。

  • このシリーズ記事でGN TOPCORを徹底比較したが、あまり個性は見えず、まとまりの良い球面収差の過剰補正型という評価。
  • ピント面はハロでやや見難く、強い光ではかなり解像線がにじむが、これを過剰補正型の特徴+偏心によるコマフレアの増大と結論づけた。
  • しかし、アサヒカメラのニューフェース診断室によると、このフレアっぽさはGN TOPCORがもつ本来の性質らしく、夜景でハロを確認すると他に類を見ないほどだったとか。
  • ここで疑問なのは、測定された球面収差は+0.1mm少々の過剰補正で、本来はこれほどのハロを発生させるものではないということ。

このように、GN TOPCORはのちの1980~90年代の標準レンズに通じる完成度の高さがありながら、不可解な光のにじみが多く、当時の専門家も首をかしげるほどだったということです。

それを個体差と解釈した自分はどうにもテストをやりきれなかったモヤモヤ感が消えず、もしつぎにGN TOPCORの良い個体に出会えたならば、もう一段、深くこのレンズの描写を探ってみたい……と、こころの片隅で念じていたのですが、意外にも早くその機会はやってきたのです。

いざ! RE GN TOPCOR M 50mm F1.4のフレアっぽさの謎を解き明かす再撮影を!!


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Planar 50mm F1.4再考 #28 アトムレンズ研究 RE GN TOPCOR M 50mm F1.4 野外比較

最初に警告します!! 

今回、化学反応に関する分野を扱うので、素人の半端理解ではひじょ~に心もとない解説になります。なので、けっこう詳しく書いてあるように見えますが、これを安易に鵜呑みにせず、正確さのあやしい記述については、ヒラに、ヒラにご容赦願います。 <(_ _)> <(_ _)> <(_ _)>


*****


アトムレンズ――すなわち、放射線を発するトリウム含有硝材を使った写真用レンズが、なぜ存在するのかは以下の文章がとてもわかりやすく説明しています。

Radioactive Consumer Products
Thoriated Camera Lens (ca. 1970s)
http://www.orau.org/ptp/collection/consumer%20products/consumer.htm

光学レンズの設計では、屈折率の高いガラスを使用することが望ましい場合がよくあります。屈折率が大きいほど、光の曲がりが大きくなります。これにより、ガラスの必要な曲率が減少するため、レンズを薄く、軽くすることができます。残念ながら、屈折率の高いガラスは分散も大きくなる可能性があります。ガラスにトリウムを追加することにより、低い分散を維持しながら高い屈折率(1.6を超える)を達成できます。

1939年にトリウムを含む光学ガラスに関するいくつかの特許が発行されましたが、それらはやや一般的な性質のものでした。その後、1949年にコダックのPaul De Paolisに、そのようなガラスのいくつかの特定の配合を含む特許が発行されました。重量式の1つは次のとおりです。ホウ素36%、ランタン12%、トリウム12%、バリウム20%、カルシウム20%、その後の製剤には最大28%の酸化トリウムが含まれていました。

つまりこれ、トリウム含有硝材は高屈折低分散であり、一般的な光学ガラスの性質である高屈折/高分散、低屈折/低分散とは異なるものである、と言っているわけです。実はこれ、以前、引用した内容とはすこし違っていることにお気づきでしょうか? (※ガラスの分散=色による屈折率の違いで、これが少ないと色収差の補正に有利)

英語の元文を自分で機械翻訳にかけてみて分かったんですが、ウランガラス同好会HPで訳されている文章は重要な部分が端折られており、光学ガラスを語る際の複雑なニュアンスが伝わらなくなっているのです。

光学ガラスの組成物としての酸化トリウムの価値は、分散を抑えながら高い屈折率を得ることのできる安定性に優れているからで(※1)この説明も我々素人が勝手に思い込んでいる、トリウムを入れたからばんばん硝材の性能が良くなるんだ!みたいなものとはずいぶん違います。やはり、化学を単純に語るなかれ。

(*1 光学ガラスはより優れた特性を目指すほどに溶解/冷却時の扱いが難しくなり、均質透明なガラスにならず結晶化してしまうリスクが増す。こういった問題に対し、有効性が高かったのが酸化トリウム)


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アトムレンズの黄変除去 RE GN TOPCOR M 50mm F1.4

アトムレンズとはなんぞや……というのは超マニアックな世界の話ですが、ずいぶんと以前から研究している方がいますのでそちらをご覧ください。

ウランガラス同好会HP
「アトムレンズ(トリウムレンズ)(放射能レンズ)」


アトムレンズとは?
(トリウムレンズとは?)
(放射能レンズとは?)
レンズに酸化トリウムを使って、屈折率の高いレンズを製造することは、1948年に米国で発明され、1953年に、ドイツのエルンスト・ライツ社のライカ(LEICA)が「ズミクロン(Summicron)レンズ」として採用し、「空気さえも写る」という素晴らしい評判を得たそうです。 ただ、このレンズは、数年で黄色く変色するということで、その原因はトリウムの放射能が影響していると思われます。トリウムの含有量は10-30%程度とされていますから。

米国の「放射能を含んだ一般消費財」のページ(下記)より、KT会員の翻訳
http://www.orau.org/ptp/collection/consumer%20products/consumer.htm

光学レンズを設計するためには、屈折の高いガラスを使用することが望ましい。屈折率がより大きいと、それだけ光をより多く曲げることが出来る。これでガラスの必要な湾曲を減らすことが出来るので、レンズはより薄くて、もっと軽くすることができる。1949年に、コダックのPaolis により、特許(トリウム12%、ボロン36%、ランタン12%、バリウム20%、カルシウム20%)が出された。後に、最高28%のトリウム酸化物を含むようになった。


まあようするに、写真レンズに使われる硝材がまだまだ発展途上だった時代にスーパーな手法を開発したけどガラスの変色が見つかって、こんなんダメじゃないか  ( ゚д゚)、 ペッ となってしまったわけです(※誇張歪曲あり)。ただし、謎なのは、有名なSummicron 50mm F2が1950年代のレンズなのに、そのあとのかなり遅い時期までアトムレンズが作られ続けてきた事実です。今回、記事中で扱うのも1973年発売のRE GN TOPCOR M 50mm F1.4で、すでに黄変リスクが分かっていたはずの時期にメーカーがこういった硝材を採用した理由はなんなのでしょう? ライカはさすがに高級カメラの誇りがあるのか、Summicron 50mm以降、トリウム含有硝材の使用をやめたようですが、国内メーカーには黄変のデメリットよりも優先させたい事柄があったのでしょうか。カラーフィルムよりもモノクロフィルムが一般的だった時代性か、はたまた、放射性物質の含有量を減らすことで新製品の発売サイクル程度ではガラスの変色も許容範囲内だろうという商売的な判断か。

当時の記事を深堀りすれば、なにかしらメーカーの声が出てきそうな気もしますが、それはさておき、アトムレンズの黄変除去と、その前後の描写の違いなどを、いつもの調子でしっかりと解説していきたいと思います。


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その辺写真の機材ブログ。画像と記事は時々整理、日付も変更。

お問い合わせ: ahocontaxmania@gmail.com

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*メインはCONTAXのZEISSレンズで、その他ROLLEI、HASSELBLADなど少々。レンズ構成ごとにページが分かれていて割と読み応えあり。ボディはなし。乱発され内容も薄かったこのシリーズの中で唯一面白かったZEISS本。作例よりも語り中心。


*おすすめ。文字の分量は少なめだが書いてあることは濃い。写真よし、記事よし、品よし。


*おすすめ。レンズ描写にテーマを絞っていて文章が読み応えあり。内容的には無難なレンズ本と濃厚なマニア本の中間あたりで、レンズの特徴はそれなりに出ています。いまいち売れなかったのは作例に面白味がないため。


*メーカーの公式本。たしか、MM時代のMTFデータとプロの作品とZEISS技術者のインタビューなど。メーカー発なので当たり障りのない内容、コレクター向け。定価4,000円くらいの豪華本だったので、それを目安に購入検討を。


*詳細なボディ解説で、たしかレンズはクローズアップされてなかったはず。あんまり記憶に残っていません。


*「季刊クラシックカメラ 10ツァイスTレンズの描写力、表現力」に解説を寄せている築地氏が書いているので兄弟本みたいな内容。平均以上の充実度ですが、割とあちこちに記事を書いている人なので内容が重複する印象あり。


*CONTAXレンズを数値評価でばっさり。当時のユーザーの情熱的な声とは対照的に、たいして褒められていないのが面白かったり。


*90年代クラカメブームの隠れた先駆者で、古今東西のレンズを一律で横並びに評価した記事は一部の人たちにじわじわと火をつけました。レンズの階調描写について水墨画の複写を例に出していたのは今にして思えばまさに的確。レンズ評そのものは淡泊なので、ネット時代に参考になるとしたら機材運用に対する現実的なものの見方でしょうか。


*マルミ製リアキャップ。形は純正とは違います。今時はマウント変換後の他社用を使うのが常套でしょか。


*Planar 50mm F1.4はこの67mm金属フードに55-67ステップアップリングをかませると軽快かつほどほどの深さでベター。


*上記組み合わせの55-67ステップアップリング。


*中華アダプターやレンズフードの反射防止に。


*ここまでのクオリティがいるかはともかく、安心の国産アダプター。中国製を選ぶ方は確実な遠景撮影ができる代わりにミラー衝突の危険が高まることを承知の上で。宮元製作所の直販サイトの方が安いかも。


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