さて、この比較ですが、目的としてはPlanar 50mm F1.4との違いを判明させる一点のみ。つまり、Planar 50mm F1.7はよりシャープだとか、ボケがいいとかの世間の感想を実写画像で白黒つけます。


しかしですねえ……開放F値が違うレンズは厳密比較ができないのですよ、毎度毎度言っておりますが……。

一見、50mm F1.4を半段だけ絞れば同じになりそうですが、実はこれ、大違い。絞り込まれた50mm F1.4は周辺光量に余裕ができることで50mm F1.7よりもボケが大きくゆったりし、軽減された周辺減光は画面全体の階調感に違いを生むのです。じゃあってんで、絞り開放同士で比べると、今度は被写界深度が違うのでどうもすっきりしない比較画像になる。

てなわけで、撮り手としては、もう絞り開放同士とF値を合わせた両方の画像を載せるしかないという結論になるのですが、どちらに意味があるのかは皆さんで判断してください。たった半段の違いなんだから、絞り開放描写を見るべきでしょという御仁も、いややっぱり同じF値で数字を合わせるべきだという御仁も、どちらにも一理あり。


最初の画像がPlanar 50mm F1.7 AEJ、後の画像がPlanar 50mm F1.4 AEJ(F1.4半)ですべて共通。

注記なければ絞りF1.7 絞り優先AEで設定固定、WBは5200kから大雑把に調整
Photoshop Camera RAWの現像設定はα7でEOSのスタンダードを模したプロファイル

絞りF5.6
すこし青みがある50mm F1.4 AEJに対し、黄赤っぽいのが50mm F1.7 AEJ。
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絞りF8
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絞りF5.6
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絞りF5.6
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絞りF5.6
歪曲チェック。数字で見るより意外と差がなく、50mm F1.7はF1.4より直線の扱いが楽というほどでもありません。
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絞りF2.8
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階調が違うのは絞り込むことで周辺減光が軽減し、画面全体がフラットになるからです。
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最初の画像がPlanar 50mm F1.7 AEJ、後の画像がPlanar 50mm F1.4 AEJ(F1.4)ですべて共通。

注記なければ絞り開放 絞り優先AEで設定固定、WBは5200kから大雑把に調整
Photoshop Camera RAWの現像設定はα7でEOSのスタンダードを模したプロファイル


※ここからはF1.7とF1.4です。
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Planar 50mm F1.7とPlanar 50mm F1.4の違いの結論ですが……

おそらく、絞り開放側のサムネイルをさーっとながめた方はまったく同じだと思うかもしれません。でも、きちんとパソコンなどでクリック後の大きな画像を比べた方はたしかに50mm F1.7のピントまわりはくっきりしているなと思うはずです。

つまり、この二者は全体としては同じ印象を残しつつも、細部では若干の有意差を見せる兄弟レンズといえるのかもしれません。おおざっぱにはピント付近に危うさがなく、ボケに移行する描写がスムーズなのが50mm F1.7、一方、ピント付近はやや曖昧さがあり、ぼんやりと滲みながらボケていくのが50mm F1.4。これらはこの言葉ほどには写真の印象にはあらわれませんが、50mm F1.7のピントピークの明確さは一眼レフのファインダー撮影では十分なアドバンテージとなり、ミラーレスでもピント決定が速いというメリットとなります。

両者は絞り込むと画質面ではまったく違いがわからなくなり、歪曲も数値ほどには差がでず、画角は微妙に50mm F1.7のほうが狭く写ります。ただし、色味は50mm F1.4 AEJが持つ青味がなく、のちの50mm F1.4 MMJ 後期型にも通じる厚みのある発色をしています。


また、すべてにおいて50mm F1.7が同等以上かというとそうでもなく、明確な弱点となるのが色収差です。これは価格に対し絶妙な設計バランスのようで、被写体が強い光を受けてデジタル特有のパープルフリンジが出ない限りはぎりぎり気になるかどうかといったところで、この程度なら間違いなくフィルム時代には問題にならなかった上手いコストダウンだと思います。丸ボケなどでは若干、輪郭に色つきも見え、その度合いを例えると、Planar 50mm F1.4より悪いがコシナのNOKTON 58mm F1.4ほどではないといった感じです。

こちらの海外サイトでは、同じ廉価レンズとして評判の高いEF50mm F1.8(通称、撒き餌)との比較をしていますが、周辺画質が高く色収差が多いのがPlanar 50mm F1.7、周辺画質が低く色収差が少ないのがEF50mm F1.8と、明確に設計方針が異なっているようです。この結果から、当方のテストも個体差による描写の乱れではないといえるでしょう。

Women and Dreams
Contax Carl Zeiss Planar 1.7/50 T*
http://women-and-dreams.blogspot.jp/2010/02/contax-zeiss-planar-1750-t.html


今回の比較では50mm F1.7により素直なボケ像を期待したのですが、開放F値は違えど球面収差は互いに完全補正型、ほぼ同じ収差曲線を描くということで後ボケは輪郭線が立つタイプとなり、同条件で撮り比べた結果として「これは良い!」と直感で感じるような部分はありませんでした。

確かに絞り開放同士で比べると、よりクラシカルな50mm F1.4のボケのほうがまとまりが悪いのはそのとおりなんですが、50mm F1.4は少し絞るだけでその印象も改善されるので明確なアドバンテージかと言われると、う~~んと返答に困ります。ただ、50mm F1.4 AEJの場合はギザギザ絞りの懸念があるので、それを心配しなくていいという意味では50mm F1.7の絞り開放のボケは良い、という世間の評判は当たっているのでしょう。

50mm F1.7のボケ描写に関しては、50mm F1.4よりもなんとなく良いが基本的には同質で、逆光では色収差が多少目につく、といったところです。


んで! だいたいPlanar 50mm F1.7の描写がつかめてきてぼんやりと思うのは……
AEJの段階でかなり色がいいので、これがMMJの発色改良型になったらどうなっちゃうんだろうという期待感……。

ど、どこからか怖いお経が聞こえるぞ。


(買え買え買え買え買え買え買え試せ試せ試せ試せ試せ試せ試せ)


(((;゚Д゚))) ガクガクブルブル


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カテゴリ :「Planar 50mm F1.7」