CONTAX N Planar 85mm F1.4とPlanar 85mm MMJの撮り比べ、その1なのですが………
やや面倒なことになりました。

前回の室内テストで両者はまるっきり違うレンズということが判明しましたが、野外比較で設定を固定すると明るささえもまったくそろわず、N Planarの特性を見極めるにはRAW現像の補正が必要なのです。となると、コーティングの改良による透過率の差か?と考えてしまいますが、こまかく描写を確認していくと、その原因はもっと別の要素にあるようです。

とりあえず、実用に即した比較としては、絞り優先AEかRAW現像で明るさをそろえたものを並べればいいだけですが、今回は希少なレンズということで先を急がず、まずはマニュアル設定で素の写りを確認したいと思います。


最初の画像がCONTAX N Planar 85mm F1.4、後の画像がPlanar 85mm F1.4 MMJですべて共通。

すべて絞り開放 マニュアル撮影で設定固定、WBは5200kから大雑把に調整
Photoshop Camera RAWの現像設定はα7でEOSのスタンダードを模したプロファイル


手抜きのないマルチコーティングでここまで明るさの差が出るのは珍しいです。クリック後の大きい画像をタブ切り替えしてみると、そのあまりの違いに驚くはず。
3211


3210


寄るほどに明るさの差が明確になりますが、これは撮影距離に関わらずT値が維持されるインナーフォーカスの利点だそうです。
3207


3206


3201


3200


3209


3208


撮影範囲の違いは実効焦点距離の違いが原因です。
3203


3202


3213


3212



この比較の補足説明です。

基本的に場面ごとのパラメーターは共通、明るさと色温度はどちらかというとN Planar寄りで合わせています。天気が快晴だったためにWB: 5200kが適正になる場面が多く、その状態で無難な色が出るのがMMJでした。つまり、N Planarは明らかに標準的な色再現から外れて黄色いということになります。


左: N Planar 85mm F1.4  右: Planar 85mm F1.4 MMJ
32373236

32323233
※上の画像に縮小とトリミングを使い、絵柄を完全一致させたヒストグラム。


このようにN PlanarのヒストグラムはMMJに対し全体のスライド移動(明るさの不足)はなく、主に画面の大半を占める緑成分がハイライト方向に引っ張られつつハイライトの山もはっきりと高くなっているので、コントラストの上がったメリハリの強い描写です。MMJはシャドーの山が一か所に寄りつつハイライトの山もなだらかな軟調描写で、本来はもう少しプラス補正を掛けることで画像の中間部分がちょうどよい明るさになります。

この結果から、N Planarは同条件ならMMJよりも1/3~1/2EVほど速いシャッターが切れる優位性があるといえます。そして、それは単に透過率に違いがあるというだけではなく、MMJの絞り開放が非常にフラットな軟調描写であることが原因です。N Planarは確かに開放からコントラストが高いのですが、おそらく2000年前後に発売された他社の85mm F1.4と比較すればこれほどの差にはならないはずです。

もうひとつ撮影範囲の差もあきらかで、実効焦点距離はN Planarが83.0mmに対しMMJは84.8mmとなり、近接時にはさらに前者のインナーフォーカスが作用してその差が広がります。


まさに何から何まで違うこのふたつのPlanarですが、次回以降は明るさをそろえ、よりこまかな印象の違いを明確にしてみます。こうご期待! o(*゚∀゚*)o ワクワク


10423
カテゴリ :「N Planar 85mm F1.4」