まず、Planar 85mmの逆光耐性についてわかりやすい比較はこれ。
太陽は画面左上方向、鏡胴内の対角に位置する部位で内面反射が起こっています。

Planar 85mm F1.4 AEG フードなし
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Planar 85mm F1.4 AEG フードあり
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Planar 85mm F1.4 MMJ フードあり
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AEGは右下のフレアがフードを着けても目立ってしまっていますが、厳密にはMMJもあやしい描写なので、もともとPlanar 85mmには逆光時に指向性フレアを発生させる構造的弱点があるといえます。反射防止コーティングについては日差しに透けた高輝度部分がしっかりしているので、現代なみの性能があり、描写を落とす要因ではなさそうです。


AEGがこのような逆光耐性になってしまう理由は実物を見れば一目瞭然で、たっぷりと光を取り込む前玉周囲がかんたんに光ってしまうのです。いろいろな場面を観察してみましたが、この悪影響は甚大で、なんとフード内部に光が当たって明るくなった反射防止塗装の状態をそのまま受けて、画像のコントラストが低下してしまうほどなのです。

ここで思ったのは、Planar 85mm F1.4 AEGのフードは純正86mmよりもさらに外径が深く内部に植毛紙があり、重さに影響しないプラ製であったらベストではないか?ということです。植毛紙はAmazonなどでも専用品が買えますが、まさに反射防止塗装+溝切りなどとは段違いの効果があります。



ところで――指向性のあるフレアは絞り込みで消える場合もあるので試してみました。

絞り開放
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絞りF4
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駄目でした。鏡胴の内面反射は消え去りますが新たにゴーストが発生しています。果たして、AEGは逆光NGのどうしようもないレンズなのでしょうか? いいえ、この記事を書くためにばんばん逆光にレンズを向けていると、その描写からあるひらめきが浮かびました。

光の加減でシャドーが浮いたり派手なフレアが出るのはクラシックレンズの特性で、これはこれで使いこなしがいのあるおもしろいレンズとは言えないだろうか?



以下、MMJでは得られない画質低下の数々。
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開き直ってクラカメモード!というわけでイジリイジリ。
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なーんだ、こういう絵づくりをするのなら、わざわざ高価なPlanarを使わなくていいじゃないとお思いの皆さん、逆光で画質が落ちるとはいえ、もとはあのPlanar 85mmの色彩コントラストです。通常場面では感心するほどのきれいな描写を見せますし、逆光では+αの光線エフェクト。こんなに楽しい中望遠はあ~りゃしませんよ。

それと、今になってようやく理解したんですが、Planar 135mm F2 AEGのあきれるほどの逆光耐性の低さは85mm F1.4 AEGとまんま同じ内部構造だからなんですね。


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カテゴリ :「Planar 85mm F1.4」