ZEISSレンズとかなんとか

*画像サンプル、その他与太話*

他社レンズ

Planar 50mm f1.4再考 #4 COSINA VoightLander NOKTON

今回は現代のクラシックレンズ。

設計は2003年と思われますが、その頃に設計者が今後のデジタル時代をどれだけ意識していたかなどはまったくもって関係ないほどに我が道を行く有名メーカー製。そうです、新製品でこんなレンズをラインナップできるのは唯一、COSINAだけ。といっても、当時は世のアダプタ遊びもまだ序の口ということで、コシナと言えども最初は限定販売だったわけですが。

このレンズについては面白い推論がありまして、設計まで言及できる方はこの復刻をこういう風に見るんだなあととても感心させるものがあります。

「帝国光学研究所」について9 
日本の最高傑作と言われたレンズ
http://www.photo-china.net/column/topcon.html

フランジバックの関係でニコンには使えませんし、それで持て余しているユーザーが多いとされています。そのためコシナは少し設計変更してニコンFとM42で販売したのだと思います。しかしニコンFに合わせるなら忠実な復刻はできません。レンズの後端がミラーに当ると思います。コシナ復刻は径が小さいですが、それはニコンに合わせるために設計変更したからだと推察されます。

実際、オリジナルの5群7枚に対し、復刻版が6郡7枚となりコーティングも違うとなればほぼ別物だと思います。じゃあこれは何かというのは恐らく、評判の良かったオリジナルの描写特性のイメージを再現しようとした現代のレンズだと思います。では、その評判とはどのようなものだったのでしょう? ――ここで持論を展開できないのがレンズマニアではないただのCONTAXまにあの悲しさよ。<(_ _)>
というわけで、58mm f1.4というものに評価軸がない自分としてはひとつひとつ順を追って見ていくしかないわけです。現代のコシナが何をしたかったのか、とても興味ありますしね。


一応、コシナのWEBサイトにはこのように書いてあります。

http://www.cosina.co.jp/seihin/voigt/v-lens/sl2/58sl2/
設計に無理のない大口径標準レンズとして伝統的に採用されてきた58mmレンズを、現代の技術で実現。クラシックレンズの味わいと現代的な性能を両立。

この宣伝文をそのまま鵜呑みにするなら、現代的な性能を両立”という部分がキーワードとなるでしょうか。



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Planar 50mm f1.4再考 #3 Meyer-Optik Görlitz Oreston 50mm f1.8

※記事の性質上、途中で切れないので画像だらけです。モバイルで閲覧の方、ごめんなさい。


Oreston 50mmはYashica/CONTAXよりも古いながらも発色は悪くなく一芸に秀でているということで、自分自身でもかなり興味深い比較となります。具体的な焦点となるのは、1: 昔のシングルコーティングの性能はいかに? 2: このレンズが強い印象を残す近接描写は本当に特別なものか? という二点で、特に2の近接描写にPlanarは近いのか?遠いのか?ということが最大の興味となります。

しかし、実際の比較に当たっては大きな問題が複数あり、まずこのレンズのT値が悪いこと、それに関連して周辺光量とボケ量が揃わないことで、いつもの条件一致がし難いというなかなかに頭の痛い状況でした。

マニュアルモードで露出を固定。
Oreston 50mm f1.8
1430

Planar 50mm f1.4(f1.8)
1431


これはPlanarをその都度マイナス補正して最後にRAW現像で微調整すればいいのですが、この補正量は距離が寄るほどに少なくなるという面倒くささ。具体的には遠景~中景でおおよそ2/3~1/2EV。近接で1/3EVといったところ。※できるだけAEを使わないことで撮影後に太陽光の変化に気づくことができます。

次に周辺光量ですが、Orestonのf1.8に合わせるとPlanarは半段絞り込むことになり、そのせいで輝度分布ががらっと変わってしまうのです。ここで、F値の違うレンズを厳密比較するそもそもの無理が出てしまったように思いますが、周辺減光を古いレンズの味と見なし、絞り込んだPlanarの周辺部をあえて暗く落とすことにしました。

中心部のみ明るさを合わせると、このような諧調差となり比較評価が惑わされてしまいます。
Oreston 50mm f1.8
1432

Planar 50mm f1.4(f1.8)
1433


そして、これだけやっても最後に残るのはボケ量の明らかな違いで(画像はこの後ふんだんに出てくるので割愛しますが)、Orestonのf1.8はPlanarのf2.4付近のボケ量しかありません。Planarをここまで絞ると、もう完全に丸ボケが角ついて積極利用したくない絵になりますし、ここは放置で………。


【ここで重要事項まとめ】
・F値が違い、実際の透過率(T値)が悪いレンズは設定を揃えても描写が揃わず厳密比較がしにくい。

 ・理由1: 条件を合わせようと絞り込んだレンズは周辺光量に余裕ができ、
  ボケ量が比較対象より優位になりがち。
 ・理由2: 画面内の輝度分布も平坦になり、絞り解放の絵とは別物。
 ・理由3: 撮影距離によってこれらのズレ具合が変化する。
  (※一般論として、レンズは寄るほどに周辺光量が豊富になる)


そいじゃ、前口上が長すぎましたが、ようやく実写に参りましょう。
RAW現像はいつもと違って細かな補正があるので頭の片隅に入れておいてくださいねっと!



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Planar 50mm f1.4再考 #2 Meyer-Optik Görlitz Oreston 50mm f1.8

実はフィールド撮影はもう終わっているのですが、じっくり見比べてみてもどうもスッキリしないということで基本的なチェックに立ち戻ったという次第です。

まずはいつもどおり定規によるピント前後の観察ですがこれが曲者で、なぜかというとこのオールドレンズは50mm f1.8というスペックなのに実際の透過率は同じ絞り値にしたPlanar 50mmよりも1/2~2/3EV程度暗く、ちょうどそのくらいボケ量も小さいのです。
先に外での実写を行っていたのですんなり描写を合わせることができましたが、このレンズは厳密な条件一致ができず、本当は比較の体をなさないということだけ頭の隅に入れておいてください。

A: Oreston 50mm f1.8
1482

B: Planar 50mm f1.4 AEJ(f2.4)
1483

先に説明した通り、同じF値でも両者のボケ量は揃わないのでBをf2.4にしましたが、若干絞り過ぎたかもしれません。

ピントの出具合はBのPlanarはとてもくっきりしていてコントラストが強いですが、AのOrestonも特に解像に差は無く、実感としてピント合わせがし難いということはありません。(もしかしてこれはハロがAのコントラストを邪魔している教科書的なアレなんでしょうか?)
特筆なのはBの等倍画像にうっすらと見える色収差がAは目につかないことです。さらに、Aのボケ質は前後ともに癖が少なく、絞って収差が抑えられているBよりも綺麗というのはどういうことか。

このボケですが、前側はAが柔らかく、後側はBが柔らかいという前後逆の対比となり、これまで見てきた中ではPlanar 50mm f1.4 HFTの過剰補正型をもう少し強めた感じです。ただし、実際に野外で接写をするとボケの輪郭云々よりはまずボケ量の少ないことの方が目につき、実のところOrestonの個性は単純に見かけ上のスペックよりも実行F値が暗いことがすべての元になっているような気がします。


次にマクベスチャートです。
相変わらずろくなストロボがないので、チャートを使っておきながら信頼度は完璧にならず、あくまで相対的な違いを見るための比較と捉えてください。均一なライティングさえもできていませんが、撮影条件だけは変わらないように最大限の注意を払っています。あと、左から三番目の濃いグレーに大きなゴミの影が出てしまいました。

A: 50mm f1.8(f4)
1484

B: Planar 50mm f1.4 AEJ(f4)
1485


全体の各色はほぼ一緒で、AがBに対し微妙に暖色傾向というのは実写の印象どおりです。ただ、これは一般的に差がつきにくい基準光だからとも言えるわけで、フィールド撮影で厳密比較をすると何かもやもやする安定のなさを感じるのもAです。このあたり、シングルコーティングならではの弱さなのかもしれませんが、果たして次回の比較結果やいかに。

Planar 50mm f1.4再考 #3
http://sstylery.blog.jp/archives/54629868.html

Planar 50mm f1.4再考 #1 Meyer-Optik Görlitz Oreston 50mm f1.8

Planar 50mm f1.4は特徴の薄いレンズです。50mmという凡庸な画角が悪いのでしょうか、CONTAXに慣れ切ってしまうと、このレンズは面白いともつまらないとも言えない微妙な立ち位置に思えてきます。他のオールドレンズほど荒れるわけでもなく、どんな状況でも安定した発色を維持し、解像は必要十分で逆光にも強い。明確な樽歪曲は用途を狭めますが、とりあえず1本持って外に出るときには何の疑問も持たずにこれを選べるほどの頼もしさです。
ん、ちょっと待て、それは褒めてるんじゃないのか?と突っ込まれそうですが人間の強欲は果てしないもので、安定した結果が得られるとしたら、それはそれでさらなる描写を求めてしまうのです。

そんなこんなで最近は無感動となったPlanar 50mmの描写をもう一度はっきり認識してみようというのがこのシリーズの趣旨で、まずはとあるオールドレンズの写りを見てみましょう。 


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S-Planarとカミソリマクロ #4 意味のなかったチャート撮影

意味なかったので終了、ではなくて。

撮影にいけないのでPlanar 50mm比較のために作ったチャートを活用しようと、S-Planar100mm f4と60mm f2.8、MACRO 70mm F2.8 EX DGの解像比較を行ってみましたが、当たり前というか、ただ単に近距離で平面を撮るだけならどれも解像専門のマクロレンズですから差が出るわけもありません。等倍まで近づけばさすがに差が出たのかもしれませんが、とんでもない精密さが必要になるので行っていません。正直、その領域はマクロ専門の人でないとちょっと無理。

で、せっかく手間を掛けたので記録として残しておきます。


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S-Planarとカミソリマクロ #3 ボケ像比較

なかなか二本持って撮りにいけないので、S-Planar 100mm f4とSIGMAのMACRO 70mm F2.8 EX DGの室内ボケ比較です。両者のコントラスト再現が違うことは確認済みなので、比較対象であるPCパーツを濃度の中心としてその他のズレは無視します。

レンズのボケ描写を見る場合に、100mmと70mmでは焦点距離が違うのでどうやって比較するのかが問題です。同じ距離で撮影して70mmmをトリミングで合わせても、それは焦点距離による被写界深度の違いを確認しているに過ぎません。

実際に距離を固定して撮影してみると、100mmと70mmは同じ中望遠の括りなのにこんなに違います。当然、ボケ量も違うので比較になりません。
194


妥協案として、70mmの距離を詰めて絵をできるだけ揃えてみたら、あら不思議。一応近い画角特性だからかパースの違いはともかく、ボケ量はピタリと揃いました。これでボケ像のチェックができそうです。


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S-Planarとカミソリマクロ #2 シグマの青み

前回、S-Planar100mmf4とSIGMAのMACRO 70mm F2.8 EX DGを軽く比較した際に、グレー(黒バック)の色みの違いが気になったので一定の基準となるストロボ光の写りを見てみました。このテストもがっちりセッティングを組んでというわけではないので、大まかな傾向が分かるだけですが、なんともはや結果ははっきりと出てしまいました。


※ストロボを暗闇の中で白バックに向けて発光、その反射光をぼかしたままグレーに写す。中央部をトリミングしてその中の一点を現像ソフトのスポイトで計測。

MACRO 70mm F2.8 EX DG:RGB(185,185,194)  S-Planar 100mm f4 AEG:RGB(187,185,190)
106

Planar 50mm f1.4 MMJ:RGB(186,184,186) Planar 85mm f1.4 MMJ:RGB(185,184,188)
107

Distagon 35mmf1.4 MMJ:RGB(187,184,187) Planar 1.4/50 HFT:RGB(185,184,187)
105


MACRO 70mm F2.8 EX DGは日陰で冷調…とかではなく、5500k付近の光ですでに青く写ります。CONTAXは多少のばらつきあれど、撮影時に取り立てて意識するほどの偏りは見られません。ついでに混ぜたRollei Planarも古いHFTコーティングながら似たような範疇に留まっています。

ただひとつこのテストの注意点ですが、ストロボ光をグレーに写すために、どのレンズもほぼ最小絞りまで絞っています。開放から絞っていくとある時点で色みが変わるレンズもありますので、この数値がそのまま各レンズの写りであると決め付けるのは早計です。シグマも開放撮影の追試が必要かもしれません。

一応の結論としては、カミソリマクロ=MACRO 70mm F2.8 EX DGはWBを固定して撮影した時、あるいは他のレンズと混ぜた場合に青く写るのが目に付くかもしれないということです。ただし、複数の色みが入ったRAW画像をグレー矯正するときちんと色は揃うので、取り立てておかしなカラーバランスというわけではないようです。

同一メーカーのレンズはだいたい写りの傾向が揃っているはずなので、シグマはやや青いのがデフォなんでしょうか?


S-Planarとカミソリマクロ #1

故あって、しばらくSIGMAのMACRO 70mm F2.8 EX DG、通称カミソリマクロを使うことになりました。

最初に断っておきますが、これから数回に渡って行うのはS-Planar 100mmf4が素晴らしいという証明ではなくて、70年代のZEISSがどれだけ現代の最新レンズに肉薄できるのか?という趣旨のテストです。デジタル時代の優秀なレンズを基準とし比較することで、客観的にS-Planarの特徴が掴めるのではないかという期待を込めています。

S-Planarとカミソリマクロ #1~5
http://sstylery.blog.jp/archives/15863661.html(当記事)
http://sstylery.blog.jp/archives/15863535.html
http://sstylery.blog.jp/archives/16022885.html
http://sstylery.blog.jp/archives/25406315.html
http://sstylery.blog.jp/archives/34936908.html


というわけで、まだ全然撮影できていないMACRO 70mm F2.8 EX DGの雑感。
(ただし、現代のAFレンズをほとんど知らない人間のインプレなので注意)

・プラ鏡胴のはずなのにけっこう大柄で重い
(伸びてくるレンズブロックは金属でした)
・MFの感触は悪くないが送りと戻しでトルクが違う
・AFはもろにモーター音がするがそれほどやかましくはない
・プラフードだと思ったら金属フードだった
・フィルター枠の62mmはCONTAXにない大きさなのでちょい困った
・たまにAFレンズを使うとボディの操作でまごまごする(笑)

・言われるほど切れる描写?
・予想よりもボケが固くないかも?
・70mmは100mmよりもスナップに便利そう


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その辺写真の機材ブログ。画像と記事は時々整理、日付も変更。

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*メインはCONTAXのZEISSレンズで、その他ROLLEI、HASSELBLADなど少々。レンズ構成ごとにページが分かれていて割と読み応えあり。ボディはなし。乱発され内容も薄かったこのシリーズの中で唯一面白かったZEISS本。


*おすすめ。文字の分量は少なめだが書いてあることは濃い。写真よし、記事よし、品よし。


*おすすめ。レンズ描写にテーマを絞っていて文章が読み応えあり。内容的には無難なレンズ本と濃厚なマニア本の中間あたりで、レンズの特徴はそれなりに出ています。いまいち売れなかったのは作例に面白味がないため。


*メーカーの公式本。たしか、MM時代のMTFデータとプロの作品とZEISS技術者のインタビューなど。メーカー発なので当たり障りのない内容、コレクター向け。定価4,000円くらいの豪華本だったので、それを目安に購入検討を。


*詳細なボディ解説で、たしかレンズはクローズアップされてなかったはず。あんまり記憶に残っていません。


*「季刊クラシックカメラ 10ツァイスTレンズの描写力、表現力」に解説を寄せているプロが書いているので兄弟本みたいな内容。平均以上の充実度ですが、割とあちこちに記事を書いている人なので内容が重複する印象あり。


*CONTAXレンズを数値評価でばっさり。当時のユーザーの情熱的な声とは対照的に、たいして褒められていないのが面白かったり。


*ネットの普及していない時代にこれだけ各レンズの特徴に深く言及した人はいませんでした。書いてあることはかなり的確ですが、撮影時の姿勢が拘りすぎで肩が凝るかも。なんせ、カラーメーターを使っているくらいなので。


*90年代クラカメブームの隠れた先駆者で、古今東西のレンズを一律で横並びに評価した記事は一部の人たちにじわじわと火をつけました。レンズの階調描写について水墨画の複写を例に出していたのは今にして思えばまさに的確。レンズ評そのものは淡泊なので、ネット時代に参考になるとしたら機材運用に対する現実的なものの見方でしょうか。


*特定ライターの主観を廃しカタログ的に物撮りされた機材を魅せていくこの内容は「コンタックスとツァイス・イコンの肖像」の編集方針にも似て品が良い。ただし、出てくるカメラの数が多いので個々の解説記事は薄め。巻末の黒川氏のモノクロ作例はオールドレンズの味わい方を見事に示しているようでおすすめ。


*Carl ZeissはPフィルターを嫌うようで、CONTAX時代もUVフィルターはマルチコーティング、Pフィルターはシングルコーティング=保護用だから撮影時には使うなよ(無言の圧力)みたいな感じでした。フィルターのT*にどこまで意味があるのかは分かりませんが拘る方はどこまでも突き進むべし!


*マルミ製リアキャップ。形は純正とは違います。今時はマウント変換後の他社用を使うのが常套でしょか。


*Planar 50mm f1.4はこの67mm金属フードに55-67ステップアップリングをかませると軽快かつほどほどの深さでベター。


*上記組み合わせの55-67ステップアップリング。


*中華アダプターやレンズフードの反射防止に。


*ここまでのクオリティがいるかはともかく、安心の国産アダプター。中国製を選ぶ方は確実な遠景撮影ができる代わりにミラー衝突の危険が高まることを承知の上で。宮元製作所の直販サイトの方が安いかも。



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