ZEISSレンズとかなんとか

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Planar 50mm F1.4再考(各社レンズ比較)

Planar 50mm F1.4再考 #28 アトムレンズは高性能か? RE GN TOPCOR M 50mm F1.4 野外比較

最初に警告します!! 

今回、化学反応に関する分野を扱うので、素人の半端理解ではひじょ~に心もとない解説になります。なので、けっこう詳しく書いてあるように見えますが、これを安易に鵜呑みにせず、正確さのあやしい記述については、ヒラに、ヒラにご容赦願います。 <(_ _)> <(_ _)> <(_ _)>


*****


アトムレンズ――すなわち、放射線を発するトリウム含有硝材を使った写真用レンズが、なぜ存在するのかは以下の文章がとてもわかりやすく説明しています。

Radioactive Consumer Products
Thoriated Camera Lens (ca. 1970s)
http://www.orau.org/ptp/collection/consumer%20products/consumer.htm

光学レンズの設計では、屈折率の高いガラスを使用することが望ましい場合がよくあります。屈折率が大きいほど、光の曲がりが大きくなります。これにより、ガラスの必要な曲率が減少するため、レンズを薄く、軽くすることができます。残念ながら、屈折率の高いガラスは分散も大きくなる可能性があります。ガラスにトリウムを追加することにより、低い分散を維持しながら高い屈折率(1.6を超える)を達成できます。

1939年にトリウムを含む光学ガラスに関するいくつかの特許が発行されましたが、それらはやや一般的な性質のものでした。その後、1949年にコダックのPaul De Paolisに、そのようなガラスのいくつかの特定の配合を含む特許が発行されました。重量式の1つは次のとおりです。ホウ素36%、ランタン12%、トリウム12%、バリウム20%、カルシウム20%、その後の製剤には最大28%の酸化トリウムが含まれていました。

つまりこれ、トリウム含有硝材は高屈折低分散であり、一般的な光学ガラスの性質である高屈折/高分散、低屈折/低分散とは明らかに異なるものである、と言っているわけです。実はこれ、以前、引用した内容とはすこし違っていることにお気づきでしょうか? (※ガラスの分散=色による屈折率の違いで、これが少ないと色収差の補正に有利)

英語の元文を自分で機械翻訳にかけてみて分かったんですが、ウランガラス同好会HPで訳されている文章は重要な部分が端折られており、光学ガラスを語る際に必要な複雑なニュアンスが伝わらなくなっているのです。

光学ガラスの組成物としての酸化トリウムの価値は、分散を抑えながら高い屈折率を得ることのできる安定性に優れているからで(※広いガラス化領域と失透のしにくさがある)、この説明も我々素人が勝手に思い込んでいる、トリウムを入れたからばんばん硝材の性能が良くなるんだ!みたいなものとはずいぶん違います。やはり、化学を単純に語るなかれ。


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Planar 50mm F1.4再考 #27 RE GN TOPCOR M 50mm F1.4 室内比較

情報がないっ!

……というのも、このレンズ、マイナーなトプコンのさらに希少なレンズらしく、通常は何かしら聞こえてくる現役当時の話がまったくありません。またお世話になる海上写真家さんの記事によると、ほぼ海外向けに出荷されたとかで、そりゃ謎レンズになるわけだわと納得。

海上撮影家が見た上海2
RE GN TOPCOR 50mm F1.4は、アトムレンズ

RE GN TOPCOR 50mmf1.4は、RE AUTE TOPCOR 58mm f1.4の後継レンズで、1973年にSUPER DM用としてデビュー。そのほとんどが海外に輸出されたようなので、日本で見かける事はほとんど無かった。それより前のRE AUTO TOPCOR58mm f1.4があまりにも有名になり過ぎたため、その描写性能は一般にはほとんど知られてない。

Camerapedia Wiki
Topcon/Topcor R, F, RE lenses

・50/1.4 M (Multi coated) code 157B (black) from 15700001 to 15703625 last known


まあ、かんたんな概要としては、1973年に発売されたトプコン初の50mm F1.4で、マルチコートに最短40cm、6枚羽根絞りと、ごく普通の現代的な仕様です。最大の特徴はこのレンズがトリウム含有硝材を使っていることで、つまり、アトムレンズの写りを徹底的に確かめることが今回の目的です。

いちおう、他の記事で使った外観写真を載せておきますが、青みを帯びたブラック塗装に金属鏡胴と、1980年代以降にプラ化が進んでしまう前の国産標準レンズとして、精悍なたたずまいを見せています。

12998

このレンズでとても不思議なのは、マウントもカメラも以前となにも変わっていないのに、ピントリングの回転方向が逆になっていることです。そんなのあり???


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Planar 50mm F1.4再考 #26 時空を超えるレンズ BiotarとHELIOS-44シリーズ

ぐるぐるぐるぐるぐるぐるっ!

 (@_@)(@_@)(@_@)(@_@)(@_@)(@_@)


グルグルボケのレンズといえばBiotar 58mm F2とHELIOS-44シリーズ(58mm F2)で、この二銘柄は昨今のオールドレンズ界隈の定番アイテムといえるほどの存在です。特にHELIOSは安価なロシア製かつ、長い間大量に生産されてきたということで、とても購入しやすいレンズとなっています。

そのHELIOS-44シリーズで笑っちゃうのが、その製造期間。なんと、1930年代のBiotar 58mmの基本設計をコピーして、1999年?の製造終了までたっぷり40年近くグルグルという欠点の目立つレンズを作り続けていたなんて、どれだけ競争意識がない独自路線なのかと(笑)。4群6枚の58mm F2なんて、70年代に突入したあたりで普通に高性能化できたはずですが……。(われらが社会主義はこれでいいのだ! 同志スターリン! ( ̄ ^  ̄)ゞ)

もちろん、時代が進むにつれレンズ製造の環境も変わってくるので、同じ基本設計を守り続けていても硝材は良くなりますし、それに合わせた小改良もあるでしょう。さらにコーティング技術の発展も。


というわけで、当記事はHELIOS-44シリーズを‟時空を超えるレンズ”として(べつに瞬間移動はしませんが)、できるかぎり製造年代の離れた本家本元のBiotar 58mmと比較し、その描写がどれほど変わったのか? 変わっていないのか? を確かめることにします。

Casual Photophile
Carl Zeiss Jena Biotar 58mm f/2 – Lens Review

第二次世界大戦後、Carl Zeiss Jenaの工場はソビエトの占領地域に落ち、戦争の賠償としてソビエトは工場の設備、計画、さらにはドイツの技術者さえも奪いました。ZeissのBiotarは、ソビエト連邦には存在しないドイツのショットガラスで動作するように製造されていたため、ソビエト光学の父として知られているD.S.Volosovによって、ソビエトの光学ガラスで利用可能なガラスに光学式を再計算する必要がありました。

レンズはモスクワ近郊のKMZ工場で製造され、長年にわたって数多くのバリエーションがありました。最初のHelios-44は、1958年のStart cameraに付属していました。

M42 Mount Spiral
Carl Zeiss Jena BIOTAR 58mm/F2 3-SISTERS (M42) カールツァイス・イエナ ビオター 3姉妹
https://spiral-m42.blogspot.com/2010/11/carl-zeiss-jena-biotar-58mmf2m42.html

HELIOS-44(M39), 44-2(M42), 44M(M42), 44M-6(M42) 44M-7(M42) 58mm/F2 and Carl Zeiss Jena BIOTAR 58mm/F2(M42)

※基本的な事柄を理解するために、がっつり参考にさせていただきました。


今回、取り上げるのはこのふたつ。

Biotar 58mm F2 1946年 4群6枚 シングルコーティング EXAKTA ※戦後の初期型
MC HELIOS-44M-5 199?年 4群6枚 マルチコーティング M42

その発売年の違いはざっくり50年前後。ちょうど、おぎゃあっ!て生まれた赤ちゃんがちょび髭のおじさんになって、かわいい孫にスリスリしていてもおかしくありません。それだけの長い年月がありながら初期の基本設計を守り続け、最後までグルグルボケが除去されることのなかったHELIOS-44シリーズは、なぜ途中で抜本的な改良が加えられなかったのか? そもそも、なぜBiotar 58mmはグルグルボケというあきらかな欠点をかかえる設計バランスになったのか? 

これらの疑問にも、独自の視点で切り込んでみたいと思います。お楽しみに~~!


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Planar 50mm F1.4再考 #25 FD50mm F1.4 初代とS.S.C. (II) 野外比較

解像力がものすごいFD50mm F1.4の最終章で、初代とS.S.C.のII型を比べます。

べつにFD/FLマニアでもないのに、なんでそこまでするのかというとFD50mmは安いからではなくて、この50mm F1.4はどうもマイナーチェンジの回数が多いらしく、しかも、アサヒカメラで計測された数値は一番最初のモデルだからです。つまり、すごいすごいと騒いでいたFD50mmの解像力はS.S.C.のII型には当てはまらない可能性があり、しかしそうは言っても、同じレンズ構成なのだからそこまで明確に性能が変わることはないだろう、ということで画質を調べたのがここまでの記事となります。

このFD50mm F1.4がいろいろめんどくさいレンズである理由は、そもそもCANONの公式ページが堂々と間違いを載せているからです。それはこんな感じ。

CANON CAMERA MUSEUM

誤)
FD50mm F1.4 1971年3月 黒のフィルターリング、Aマーク
FD50mm F1.4 S.S.C.(I) 1973年3月 黒のフィルターリング、Aマーク
FD50mm F1.4 S.S.C.(II) 1973年6月 黒のフィルターリング、〇マーク
     ↓
たぶん、正)
FD50mm F1.4 1971年3月 銀のフィルターリング、〇マーク
FD50mm F1.4 S.S.C.(I) 1973年3月 黒のフィルターリング、〇マーク
FD50mm F1.4 S.S.C.(II) 1976年?月 黒のフィルターリング、Aマーク

※当時のカメラ誌などで突き合せ確認をしていないので、発売年月日はこれで確定ではありません。

この中で外観写真の間違いはいちおうは同じモデルなので許せるとしても、一番、重大なのはS.S.C.(II)の発売年月日で、たった三か月でマイナーチェンジって、このレンズにいったい何があったの?と驚いてしまいます。しかし、他のレンズをながめるとII型の発売年はほぼ1976年で、仮に50mm F1.4だけが先行でモデルチェンジしていたとしても、絞りリングの〇マークからAマークへの変更の足並みがそろわなすぎるのは工業製品としてあきらかにおかしいです。つまり、客観的に考えられるのは、外観写真でこれだけ間違いをやらかしているWEBページなのだから、FD50mm F1.4 S.S.C.(II)の発売年は単なる入力ミスの可能性が高いということです。

英語版 Wikipedia
Canon FD lens mount

The third variant, made from 1976 to the end of production of breech ring FD lenses (around 1980) changed the green "o" to a green "A" and the chrome aperture ring lock button was changed from chrome to black.

というわけで、1971年 - 1973年 - 1976年(仮)と三つのモデルがあるFD50mm F1.4の描写がどこかで変わっていてもおかしくないわけで、それを確かめるために初代の描写を見てみよう!というのが今回の趣旨です。当然、その疑いもあてずっぽうではなく、前回の比較で感じた違和感が元となっています。

果たして、この推測の結末は……。


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Planar 50mm F1.4再考 #24 FD50mm F1.4 S.S.C. (II) 野外比較

今回は 解像力!がテーマです。

解像力が優れたレンズというと、和製ズミクロンのXR RIKENON 50mm F2が有名ですが、このレンズ、ちょっと誤解があるのです。和製ズミクロンという言葉はアサヒカメラの解像力評価が元となっているのできちんとした根拠があるのですが、その数値は“廉価レンズながら同時代のSUMMICRON-M 50mm F2に匹敵する”という注釈がつきます。

つまり、これを正確にとらえると、XR RIKENON 50mm F2は解像力が極限まで優れたレンズではなく(※ここがイメージだけで勘違いされがち)、国内外のレンズ設計がコントラスト重視へと移行しつつある中で、M型SUMMICRONといえども昔ほどの解像力を求めなくなっていた時代の優秀さということです。

たしかに、XR RIKENON 50mm F2はその実売価格と比較して驚異的な解像力を記録しましたが、絶対的な数値性能を見ると上には上がいるのです。そのひとつが……


開放F1.4なのに、中心解像でも平均解像でもXR RIKENON 50mm F2を超え、SUMMICRON-R 50mm F2(前期型)にも匹敵してしまうFD50mm F1.4です。


しかも、どうやらそれは眉唾ではないらしい……ということが前回の室内テストで判明してしまったのです。

Planar 50mm F1.4再考 #23 FD50mm F1.4 S.S.C. (II) 室内比較
http://sstylery.blog.jp/archives/81575532.html


それでは、いつもの野外比較をいってみたいと思いますが、皆さんは固唾をのんで見守っていてくださいね。今回のシリーズは、いろいろなことが判明して、すっごくおもしろいですよ、と。


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Planar 50mm F1.4再考 #23 FD50mm F1.4 S.S.C. (II) 室内比較

アサヒカメラは写真誌のなかではかなりお堅い印象があり、一昔前までは写真評論がかなりのページを占めていました。近年は他紙との競合でそれなりにやわらかい雰囲気になったようですが、そんな真面目な紙面作りの一環として、カメラやレンズを学術的に分析した「ニューフェース診断室」という製品紹介が連綿と続けられていました。(※過去形で示すのは、デジタル時代になって若干、形態が変わったため)

実際に分解され内部構造まで確かめられたカメラ診断も価値あるものですが、それ以上に何十年も前から一定の形式が守られている写真レンズの数値評価は、時代を超えた性能比較を可能にするとても意義深いものです。撮影者の主観でない収差図、解像力数値、MTFチャートがあることで、我々は本来は知りえないレンズ設計の歴史や設計者の意図にふれることができるのです。

収差図なんて知る必要もないし、撮影者にとって実写がすべてでは? なんて声もごもっともですが、いやしかし、ミラーレスのピント拡大によって前もって確認した球面収差や非点収差の様子がリアルタイムで観察できるなんて、すっごくおもしろいじゃないですか!!


……そんなこんなで、いまや収差図が大好物になってしまった自分ですが、あるときアサヒカメラの記事を眺めていて目ん玉が飛び出てしまったのがFD50mm F1.4の数値性能でした。

絞り開放の解像力(本/㍉) 中心200 平均155
F5.6の解像力(本/㍉) 中心250 平均187

これがどれだけすごいのかというと、ひと絞り暗いSUMMICRON-R 50mm F2(前期型)がこの数値です。

絞り開放の解像力(本/㍉) 中心224 平均131
F5.6の解像力(本/㍉) 中心250 平均157

おマニア様ならご承知のとおり、本来、暗いレンズは設計がしやすく、明るいレンズと暗いレンズで同じコストをかければ、間違いなく暗いレンズのほうが高性能になるわけです。しかし、この場合は……

開放F1.4の国産レンズが開放F2の舶来高級レンズと遜色ない数値を出していて、しかも部分的に勝っちゃってるよ!!

ヽ__乂__乂__乂__乂__ノ  ⊂(。Д。) ウソダロー


それでは、このとんでもない事実を確かめるべく、いつもの比較をおこないますが、まず最初に調べるのはS.S.C.のII型というのにご注意ください。このあたりのモデル違いについてはあとで整理します。


※上記の数値性能はこの二冊に載っています。(他にレンズテスト 第一集/第二集などもありますが、そちらにはMTFはありません)


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Planar 50mm F1.4再考 #7 RE.Auto-Topcor 58mm F1.4(東京光学) 野外比較(やりなおし)

東京光学(トプコン)……という名前は普通のカメラファンにはあまり聞きなじみがないんじゃないかと思います。自分もそのうちの一人で、ぽやや~んと曖昧に浮かんでくるイメージさえもありません。ただひとつ言えるのは、その昔はスゲエ!メーカーで、戦時中はニコンが海軍に、東京光学が陸軍に、それぞれ軍事用の光学機器を製造開発していたそうです。あのニコンと並び立つくらいですから、やっぱりスゲエんでしょう。

しかし、その一方で、とても博識なお戯れ記事を連載しているこちらのBlogでは、東京光学の民生用カメラ部門は撤退が既定路線だったのでは?という言及があり、Wikipediaによると1981年には一般向けのカメラ販売を終了しているようです。(※会社自体は存続しているので、京セラやコニカミノルタみたいなものでしょう)

会計士によるバリューアップ クラカメ趣味
「R氏とのカメラ・レンズ談義 その43」

まあ確かに、一眼レフのマウントを後玉まわりに余裕のないEXAKTAから変えなかったところなんかは、カメラ界の覇権を取るぞ!といった気概は特に感じません。1980年代というのは各社のAFカメラが登場する時期ですから、いさぎよくカメラ開発をやめてしまうのなら、まさに正しいタイミングだったのかもしれません。後にAF化の波に乗れず、行き詰るオリンパスの窮状をかえりみても。

後玉周囲にまったく余裕のないトプコンのEXAKTA(改)。
新型の50mmでは後玉が他社と同等サイズになりましたが、マウント筒の内側が薄く削られているなど、非常に無理がある構造です。

左: RE.Auto-Topcor 58mm F1.4 中央: RE GN TOPCOR M 50mm F1.4
右: NOKTON 58mm F1.4 SL IIN(NIKON F)
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そんなわけで、世間的には情報の少ないTopcorレンズ、その描写の一端を解き明かしてみようということで、まずは当時の一眼レフ用大口径レンズの国内の歴史を整理してみます。


1960年 NIKKOR-S Auto 58mm F1.4 6群7枚
1961年 AUTO ROKKOR-PF 58mm F1.4 5群6枚
1961年 Contarex Planar 55mm F1.4 5群7枚(※参考)
1961年 R58mm F1.2(CANON) 5群7枚
1963年 RE.Auto-Topcor 58mm F1.4 5群7枚
1964年 FL58mm F1.2 5群7枚
1966年 MC ROKKOR-PF 58mm F1.4 5群6枚

1962年 NIKKOR-S Auto 50mm F1.4 5群7枚
1964年 Super-Takumar 50mm F1.4 5群8枚
1966年 FL50mm F1.4 5群6枚
       ~~ 中略 ~~
1973年 RE GN TOPCOR M 50mm F1.4 5群7枚


これを見るに、RE.Auto-Topcor 58mm F1.4の登場はやや遅めですが、レンズ枚数は他と同等でコストダウンがなく、当時の一線級レンズだったことが推測できます。しかし、東京光学は他社のようにF1.2でさらなる価値を持たせたり、50mm F1.4へと移行していく流れには乗らず、現行レンズを改良しないまま最終的に50mm F1.4を発売したのは1973年と、かなりの独自路線です。

つまり、この時代のTopcorレンズの個性とは、積極的な性能競争に乗らなかったゆえのやる気のなさ奥ゆかしさなのかなと思いますが、果たしてその実態は?


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Planar 50mm F1.4再考 #6 RE.Auto-Topcor 58mm F1.4(東京光学) 室内比較(やりなおし)

前回の比較により、NOKTON 58mm F1.4(復刻版Topcor)はPlanar 50mm F1.4と同じ現代的なレンズであることが判明したので、では、そのオリジナルはどんなもんかいな?ということで、新旧58mm F1.4の比較となります。今回、Planarは出てきませんが、その理由はPlanar - NOKTON - Topcorと関連付ければ描写の差が分かることと、完全に同仕様のレンズが手元にあるなら、素直にそちらを選択したほうが合理的だからです。

それにしても、RE.Auto-Topcor 58mm F1.4は一部で異様に高い評価がありながらも、具体的にその良さが語られることが稀な不思議なレンズで、当Blogで最初にこれを取り上げた数年前はほんとうに謎のレンズでした。おそらく、TOPCONというメーカーそのものがマイナーもマイナーかつ、そのマウントも他に転用が不可能なEXAKTA(改)だったため、実際にこれを使い込んでいる人が少なかったのだと思われます。しかし、ようやく、デジタルのミラーレス時代になってTopcorも簡単に使いまわせるようになったので、いまではだいぶ実用品として普及し、その人気も高まってきた雰囲気があります。

そんなわけで、当時の記事では反射防止性能の低さがTopcorの味わいであると結論付けた自分もフルサイズミラーレスの威力を十二分に活用して、もう一段、深く描写性能を探ってみることにします。


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Planar 50mm F1.4再考 #5 NOKTON 58mm F1.4 SL IIN 野外比較(やりなおし)

そもそも、NOKTON 58mm F1.4というレンズはなんなのか?というところを整理しておきましょう。

まず、このレンズは2003年の暮れにAuto-Topcor 58mm F1.4として、M42/Nikon Aiマウントの各800本の限定生産品として発表されました。これは1960年代に生産されたRE.Auto-Topcor 58mm F1.4の外観を専用のフードに至るまで再現し、きちんとトプコンからライセンスを取得して作られたものです。ただし、当時の印象としては、オリジナルのレンズがあまりにもマニアック過ぎてそれほど話題にならず(ベテランのレンズグルメ以外にはぴんとこなかった)、限定生産にもかかわらずカメラ屋で売れ残りが発生していたようです。

カメラスタイル Number 24の広告より
11961

そのレンズが外観と名称を変え、VoigtlanderシリーズのNOKTON 58mm F1.4 SL IIとなって通常のラインナップに加わった後に数度のモデルチェンジを経て、外観が往年のMFニッコール的に作り替えられたものが現行品のSL IISとなります。言うなれば、最初はシルバー基調のTopcorだったのに、最後には刻印がカラフルなオールドNikkor風になってしまったという、なかなかにおもしろいレンズでもあります。WEBの紹介記事によると、光学系はすべて同じらしいですが。


復刻版 Auto-Topcor 58mm F1.4 (M42/Nikon Ai カニ爪、ゴムリング)
NOKTON 58mm F1.4 SL II (PENTAX KA/Nikon Ai-S CPU対応、ゴムリング)
NOKTON 58mm F1.4 SL IIN (Nikon Ai-S CPU対応、メタルリング)
NOKTON 58mm F1.4 SL IIS (Nikon Ai-S カニ爪 CPU対応、メタルリング、フィルター径の変更、シルバーリム/ブラックリム)


で、このNOKTON、当時の自分が復刻版の価値を理解できなかったくらいですから、その後のSL IIがでた時もまったくの無関心、しかし、その絞り開放での中判のような雰囲気と、インターネットでの評判がじょじょに気になり始め、ついには安値の在庫が入荷したタイミングで思いきって購入!となったわけです。

ところがところが、実際にこれを撮り比べてみると、その描写は往年のTopcorどころではなかったという話……。


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Planar 50mm F1.4再考 #4 NOKTON 58mm F1.4 SL IIN 室内比較(やりなおし)

今回は現代のオールドレンズ、NOKTON 58mm F1.4 SL IIN(復刻版Auto-Topcor 58mm F1.4)です。

設計は2003年あたりと思われますが、その頃に設計者が今後のデジタル時代をどれだけ見据えていたかなどはまったくもって関係ないほどに我が道を行く国内メーカー製。そうです、新製品でこんなレンズをラインナップできるのは唯一、COSINAだけ。といっても、当時は世のアダプタ遊びもまだ序の口ということで、コシナと言えども最初は限定販売だったわけですが。

このレンズの面白いところは、各社のレンズがフィルムとともに高性能になってきて、どれを使ってもたいした差がなくなってきたといわれていた時代に、かつての名玉トプコールの復刻版!という触れ込みで、味のある昔のレンズを最新の技術で作り直したことです。

しかし、そうはいってもコーティングはコシナ製だし、レンズ構成もオリジナルの5群7枚に対し、復刻版は6群7枚と、かなり別物の雰囲気を漂わせています。果たして、それが実際にどうなのか? Planar 50m F1.4 AEJとの画質差は? という疑問をひとつひとつ確認しながら見ていこうと思います。


いちおう、NOKTON 58mmの素性をあらわす言葉として、コシナのWEBサイトにはこのように書いてあります。

http://www.cosina.co.jp/seihin/voigt/v-lens/sl2/58sl2/
設計に無理のない大口径標準レンズとして伝統的に採用されてきた58mmレンズを、現代の技術で実現。クラシックレンズの味わいと現代的な性能を両立。

この宣伝文をそのまま鵜呑みにするなら、クラシックレンズの味わいと現代的な性能を両立”という部分がキーワードになりそうですね。


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その辺写真の機材ブログ。画像と記事は時々整理、日付も変更。

お問い合わせ: ahocontaxmania@gmail.com

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*メインはCONTAXのZEISSレンズで、その他ROLLEI、HASSELBLADなど少々。レンズ構成ごとにページが分かれていて割と読み応えあり。ボディはなし。乱発され内容も薄かったこのシリーズの中で唯一面白かったZEISS本。作例よりも語り中心。


*おすすめ。文字の分量は少なめだが書いてあることは濃い。写真よし、記事よし、品よし。


*おすすめ。レンズ描写にテーマを絞っていて文章が読み応えあり。内容的には無難なレンズ本と濃厚なマニア本の中間あたりで、レンズの特徴はそれなりに出ています。いまいち売れなかったのは作例に面白味がないため。


*メーカーの公式本。たしか、MM時代のMTFデータとプロの作品とZEISS技術者のインタビューなど。メーカー発なので当たり障りのない内容、コレクター向け。定価4,000円くらいの豪華本だったので、それを目安に購入検討を。


*詳細なボディ解説で、たしかレンズはクローズアップされてなかったはず。あんまり記憶に残っていません。


*「季刊クラシックカメラ 10ツァイスTレンズの描写力、表現力」に解説を寄せている築地氏が書いているので兄弟本みたいな内容。平均以上の充実度ですが、割とあちこちに記事を書いている人なので内容が重複する印象あり。


*CONTAXレンズを数値評価でばっさり。当時のユーザーの情熱的な声とは対照的に、たいして褒められていないのが面白かったり。


*90年代クラカメブームの隠れた先駆者で、古今東西のレンズを一律で横並びに評価した記事は一部の人たちにじわじわと火をつけました。レンズの階調描写について水墨画の複写を例に出していたのは今にして思えばまさに的確。レンズ評そのものは淡泊なので、ネット時代に参考になるとしたら機材運用に対する現実的なものの見方でしょうか。


*Carl ZeissはPフィルターを嫌うようで、CONTAX時代もUVフィルターはマルチコーティング、Pフィルターはシングルコーティング=保護用だから撮影時には使うなよ(無言の圧力)みたいな感じでした。フィルターのT*にどこまで意味があるのかは分かりませんが拘る方はどこまでも突き進むべし!


*マルミ製リアキャップ。形は純正とは違います。今時はマウント変換後の他社用を使うのが常套でしょか。


*Planar 50mm f1.4はこの67mm金属フードに55-67ステップアップリングをかませると軽快かつほどほどの深さでベター。


*上記組み合わせの55-67ステップアップリング。


*中華アダプターやレンズフードの反射防止に。


*ここまでのクオリティがいるかはともかく、安心の国産アダプター。中国製を選ぶ方は確実な遠景撮影ができる代わりにミラー衝突の危険が高まることを承知の上で。宮元製作所の直販サイトの方が安いかも。


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