ZEISSレンズとかなんとか

*レンズ比較したり、適当なこと語ったり*

Planar 50mm F1.4再考(各社レンズ比較)

Planar 50mm F1.4再考 #27 Xenon 50mm F1.9 室内比較

Contarex Planar 50mm F2、SUMMICRON-R 50mmF2に続いて古い有名ブランドの第三弾で、これにて50mm F2シリーズを締めくくりたいと思います。

シュナイダーというメーカーは、実はあんまり一般の方には馴染みがないのではないでしょうか。その理由は基本的にレンズメーカーであり、我々に親しみのある35mmカメラの製造がないことで、分かりやすく体系化された交換レンズ群が存在しないからです。シュナイダーのXenon、Xenotar、Super angulonという銘柄は、確かに歴史の一時代を飾ったカメラのレンズとして輝きを放っていましたが、しかしメーカーそのものは、ツァイスやライカに匹敵するような確固たるイメージはありません。語られるのは常にレンズ単体のみで、シュナイダーというメーカーの深い部分に言及したWEB記事はほとんど見かけません。

Schneider-Kreuznach

メーカーのWEBサイトはきちんと用意されており、歴史的な資料も残っているのですが、堅実な会社の歩みが記されてあるだけでCarl Zeissのような激動のドラマや発展はありません。


おそらく、1980~90年代のフィルム時代を体験した人間とって、シュナイダーはローデンストックと並んだ大判レンズのメーカーという印象が強いのではないでしょうか。中判ではRollei 6000シリーズにレンズを供給していたようですが、そもそもこのカメラ自体がマイナーもマイナーで、それはまさしく近代のシュナイダーのとっつきにくさを表していると言えます。

そんなふうに、一般アマチュアにとって明確なイメージのないSchneider-Kreuznachという会社が持つレンズ設計の理念や実際の描写はどのようなものか? その片鱗を理解するために登場するのが、今回のXenon 50mm F1.9(EXAKTA)というわけです。

シュナイダーの年表によると、入手した個体の製造年は1957~58年頃(?)で、微妙にContarex PlanarやSUMMICRON-Rとの年代が合いませんが、新しすぎるよりは古い方がいいだろうということで、比較の開始です。


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Planar 50mm F1.4再考 #26 SUMMICRON-RとContarex 野外比較

1960年代の……頂上決戦………

バンバン。バババン。

ざわ……ざわ………。


SUMMICRON-R 50mm F2 vs Contarex Planar 50mm F2


SUMMICRON-R「標準レンズの王様と称えられ、その実力も数値性能で示されておるこのわたしに挑もうという愚か者はどこにおるか?」

Contarex Planar「光学界の巨人によって世に遣わされた古の王(Rex)たるわたしに並び立つ者があるとすれば、それは我らが同族しかおらぬ。笑止!」


ピカッ ゴロゴロゴロ―――――!!!


神様「はいっ! 両者丸コゲで勝負なし!(だって、ワシが好きなのはXenonだもん)」


という腰砕けの前フリはともかく、いってみましょう開放F2の高級オールドレンズ比較。一方は、ズミクロンというライカの高性能レンズに与えられる名を受け継ぎ、実際にそのとおりの実写性能を誇るSUMMICRON-R 50mm F2、もう一方はまさに王道を行く収差補正によって普及価格帯のレンズとは別格の画質を見せつけたContarex Planar 50mm F2。どちらも改良がある前の前期型なので、年代的な差は発売時期の5年だけです。果たして、その差は光学界にとって大きいのか? 小さいのか?

いろいろと煽っていますが、1960年代の高級レンズであるこれらを正確に対比させることで、ライカとツァイスの技術力および、その時代の空気のようなものを掴めるのではないか?というのが、この記事の本当の狙いとなります。 


SUMMICRON-R 50mm F2(前期型)

レンズ構成: 5群6枚
フィルター径: 43.5mm
前玉径: 25mm 後玉径: 23mm
サイズ: 最大径63mm 長さ39mm(※バヨネットと後玉の突出含まず)
重さ: 310g
販売開始: 1964年


Contarex Planar 50mm F2(前期型)

レンズ構成: 4群6枚
フィルター径: 49mm
前玉径: 29mm 後玉径: 26mm
サイズ: 最大径62mm 長さ43mm弱(※後玉の突出含まず)
重さ: 300g
販売開始: 1959年(ただし、実際の供給は1960年の春だったという記述があります)

※実測した数値はすべておおよそ。長さの注記が違うのは、Contarexはレンズ側がボディの爪を受ける形になっているため。


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Planar 50mm F1.4再考 #25 ボケ味が良いはずの標準レンズ

ボケ味が良いはずの標準レンズ、それはヤシカ ML50mm F1.9cです。なぜ、そう思うのか? その理由はたったひとつ、このレンズが球面収差の補正不足型だからです。それもありがちな、完全補正型から少しだけ補正量が足りない形ではありません。当時の国産レンズとしてはかなり珍しいタイプとなります。

50mmレンズでは中央の完全補正と右の過剰補正が一般的な形となります。完全補正で有名なのはCONTAX Planar 50mm F1.4で絞り開放のコントラストと解像力のバランスがよく、国産レンズで多く見られた過剰補正型は解像力が高い代わりに絞り開放でハロを発生させ、にじんだような低コントラストになります。それらに対して補正不足型は、コントラストは高いがぽやっと写るとの話。

球面収差の簡易縦収差図
※もちろん、このカーブは設計次第で様々なバリエーションを見せます。

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で、実際にML50mm F1.9cの収差図がどんな形になるのかというと……


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Planar 50mm F1.4再考 #24 SUMMICRON-R 50mm F2 野外比較

最近、かなりじっくりと比較撮影をするので、記事の公開が遅くて申し訳ございませんのあほコンタックスまにあでございます。これだけ時間をかけた割には、本当のメインはこの後のContarex Planar 50mm F2との比較になるわけですが、そうはいっても、当シリーズの基準であるCONTAX Planar 50mm F1.4 AEJと比較しておけば、SUMMICRON-R 50mm F2がどれほど現代的な描写に近いのか?(遠いのか?)ということが判明するので、まるで意味がないわけではありません。


ここでちょいと脇道。SUMMICRONといえばライカの超有名レンズで、さらにその中でも一眼レフ用のSUMMICRON-R 50mm F2は比較的買いやすい中古の値付けです。そういうわけで、WEBではたくさんの記事が見られるのですが、その中で一番衝撃的なのはこれ。

プロカメラマンが選ぶ、
「使える機材のセレクトショップ」Blog 
Panproduct.

【ズミクロン-R50mmの悲劇!】マジ、シャレにならない大事件発生ーーーーー!!!!!

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ようするにSUMMICRON-R 50mmを雑に扱っていたら、バッグの上にちゃんと置いたつもりがコロコロと転がってコンクリに落っこちてしまった。そしたら、なんと、後玉がもげてしまったと。 ヒイィィィ!! (゚ロ゚ノ)ノ

ズ……ズミクロンの後玉ってねじ込み式じゃないんだ……(?)という変な感心はさて置き、実はこの事件、似たようなことは誰でも起こりえます。というのもSUMMICRON-R 50mm、見た目は小さいくせに真鍮を使いまくっているのか、やたら重くて手のなかでズシっとくるのです。
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で、ただ重いだけでなく、先細スタイルなのでピントリングの幅が狭く、きちんと手のひらで包み込める面積が少ないことに加え、ピントリングそのものも金属の平らな溝のパターンがあるだけで指がかりが悪いのです。そんな鏡胴を雑に扱うとどうなるか? 特にフードを着けていない時が要注意。

するっと手のひらから滑り落ちます。 ヒイィィィ!! (゚ロ゚ノ)ノ


実際に、悲劇が発生してしまったパンプロダクトさんのWEB記事を知っていてなお、レンズ交換中に「あ、怖っ」というような感覚が何度もありましたので、とにかく、SUMMICRON-R 50mmを扱うときはていねいに慌てずに、ということを肝に銘じなければなりません。

……といっても、ライカレンズを雑に扱うなんて、仕事で使う人か、素早いレンズ交換を必要とする当Blogの比較撮影ぐらいでしょうけども……。


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Planar 50mm F1.4再考 #23 SUMMICRON-R 50mm F2 室内比較

ContarexのPlanar 50mm F2をやるならLEICAFLEXもやらねばならぬ、ということでSUMMICRON-R 50mm F2です。とはいっても、ドイツの二大メーカーを競わせたいのではなく、単純に同時代、同スペック、同クラスの高級レンズということで正確な比較が可能、とても意義があると思ったからです。

ライカの一眼レフ、1964年(1965年?)発売のLEICAFLEXは後にLEICA Rシリーズとなって2003年のデジタルモジュールRにまで行きつくわけですが、その存在感はとてもひっそりとしたもので、フィルム時代の評判と言えば、ライカなんだからたぶんとても良いものなんだろう…というぼんやりしたイメージに包まれる通好みのカメラでした。ライカマニアでない自分がLEICA Rを総括するのも憚られるのですが、破竹の勢いで機能と使いやすさが増していき、やがてはAFにまで発展していく日本製一眼レフの陰でM型ライカの質感をあきらめ、しかし、値段は高いままという華のなさがLEICA Rを苦戦させた原因のひとつだと思います。かつての巨人であったZEISSのカメラ事業が日本のヤシカとうまく折り合いをつけて、CONTAXの熱風を巻き起こしたのとは対照的に、ライカはミノルタの技術を借りながらも孤高を守り続けたのでした。その結末は、のちに別の明暗を描くのですが……。

CONTAX Nシステムの失敗理由、京セラCONTAXの終焉

参考までにカメラ雑誌の広告から一部抜粋すると、1976年の正規販売店の売値ではR3+SUMMICRON-R 50mmF2が423,000円、1993年の広告ではR7が380,000円、SUMMILUX-R 50mm F1.4が185,000円。さすがに、これでは一般人がおいそれと手を出せるカメラであるわけがなく(中判のHasselbladが買える)、さりとて、その値段に見合うM型ライカのような機械的味わいも薄く。せめて、カメラファンの関心を惹きつけるスターレンズ(魅力の分かりやすい有名レンズ)でもあればよかったのですが、それはせいぜいR晩年期に熱が高まったAPO-MACRO-ELMARIT-R 100mm F2.8程度と、かなり寂しい状況です。ライカを使うなら、やはりレンジファインダーという風潮も根強かったようですし……。

そんなわけで、ずっと日陰の存在だったRレンズは研究の対象としてはおもしろいのですが、マウントの垣根を超えたミラーレス時代にあって、いまだに話題が盛り上がることがないのです。その理由は何なのか? 実際のところRレンズの描写力はどうなのか? 

丸裸にしてみせましょうぞ!! SUMMICRON-R 50mm F2よ!!


【諸注意】
今回、使う個体はContarexとの比較を見越した古い前期型の先細タイプとなります。
・最初に比較するのは当シリーズの基準となるCONTAX Planar 50mm F1.4 AEJです。


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Planar 50mm F1.4再考 #22 ContarexとPancolar 野外比較

前回の記事の続きで、Contarex Planar 50mmm F2が本当にその格付けにふさわしいレンズかどうかを調べるために、同時代のPancolar 50mm F2(EXAKTA)と比較してみます。

参考までに海外のCamera-wiki.orgによると、当時の広告に記載されたContarex I + Planar 50mm F2の価格は1450DM(ドイツマルク)、Exakta Varex IIa + Pancolar 50mm F2が691DMと、カメラ本体を含んだ価格としては、2倍少々の開きがあります。技術の極まった現代では価格差2倍のレンズがその描写で明らかな差をつけるなんてことは考えにくいですが、この時代は硝材も設計も発展途上、自分自身もオールドレンズマニアといえるほど詳しくないのでこの比較はまったく予想が付かず、とても興味深い内容となります。

※シリーズ記事なので、検索などでいきなりこの記事に辿り着いた方は以下のリンクを前もってご覧ください。

Planar 50mm F1.4再考 #21 Contarex Planar 50mm F2 野外比較

Planar 50mm F1.4再考 #20 Contarex Planar 50mm F2 室内比較

なぜ、Pancolarなのか?というのは、Contarex Planarと同じ1950年代の設計かつ4群6枚ガウス型の一眼レフ用交換レンズという条件を満たしているからです。ただし、信頼性のあるオールドレンズ記事ならこの人!というM42スパイラルさんによると、Pancolar 50mm F2はFlexon 50mm F2のマイナーチェンジらしいので、1959年発売のContarex Planar 50mmm F2よりやや設計が古いかもしれません。設計が古いということは使用している硝材も古い可能性があるので(新しい硝材ほど高性能!)、もしかしたら今回の焦点であるコスト面を脇に置いたとしても、ややPancolarに不利があるのかもしれませんが……。

M42 Mount Spiral
「Carl Zeiss Jena Pancolar 50mm F1.8(M42)rev.2」

Pancolarのルーツはプロ用一眼レフカメラのPraktina、およびExaktaの交換レンズとして供給されたFlexon(フレクソン) 50mm F2で、このレンズは1957年から1960年までの3年間に19400本が生産されている。Flexonは1959年にPancolar 50mm F2へと改称され、その後1969年までの10年間で133500本が生産されている。


が、そんな難しいことばかり言っていても仕方がないので、とりあえず始めてみましょう、Contarex Planarが本当に王様レンズなのかを検証するための厳密比較。

それでは皆さん、レンズがPancolarということでお手を拝借、

(・人・)パン  (#゚Д゚) コラ-!! 


※これをやらない人は先へ進んではいけません。
※さあ、恥ずかしがらずに、ぱんっと手を合わせたあとに思いっきりモニターに向かって怒鳴りつけましょう!(近所迷惑なのでエイヤーと怒るフリだけで)


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Planar 50mm F1.4再考 #21 Contarex Planar 50mm F2 野外比較

今回のテーマは至極、簡単です。

ContarexのPlanar 50mm F2は、まさにその王たる名にふさわしい標準レンズか否か?


ど―――ん!! (°言°;) マ,マジカ…  

という、果てしなく壮大な前フリをしてしまいましたが、これにはきちんとオチがつきます。なので、この記事がいったいどういう結末になるのかは終ってみてのお楽しみ。

でも、先に注意がひとつあります。CONTAX Planar 50mm F1.4との比較はここでいっきに終わらせますが、結論は同時代のPancolar 50mm F2が登場する次の記事まで持ち越しです。というのも、厳密比較をすることでレンズの特性は確実に掴めるのですが、じゃあ、それをどう解釈するか?という段階で、当時と同じ目線が必要になるからです。そこで、入手したのがS/Nの古いPancolar、これでContarex Planarの評価は万全というわけです。

まずは、その第一弾となる比較のはじまりはじまり~。

※山ほど画像を読み込みますので、モバイル閲覧は注意!


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Planar 50mm F1.4再考 #20 Contarex Planar 50mm F2 室内比較

第二次世界大戦後の西側Zeissは、かく語りき。

(ふっふっふ……そろそろ我らが偉大なるZEISS IKONもレンズ交換式一眼レフを発売しようぞ……)
(そして、それは他のどんなカメラをも凌駕する世界最高のものでなくては困る……)
(しからば、その名にはいにしえの共通言語、ラテン語による王の意(Rex)を与えよう……)


「すなわちそれは、我らが名機Contaxの名を受け継ぐConta-rex、世界に君臨する王の中の王である!」



(が、しかし……これでは学術用途に使いにくいとの声があり、派生型を出さねばならぬ……。とはいえ、世界を束ねる王の隣に並び立つものなどあるものか……。しかたがない、知恵を絞ろう……)


「王の中の王たるContarexの派生型は、Contarex special(特殊、専門)である!」



(ふむ……長い歴史の中には学問に秀でた王もあるだろう。誰だ? マニアックな性癖がどうのとほざいておる奴は、けしからん。しかしとりあえず、これでお茶を濁すことはできたはず……っと、なにい!? まだまだ新型が控えておると!? ぐぬぬぬ……)


Contarex professional(職業的専門)! Contarex super(極上)! Contarex super electronic(電気的な極上)!」


(ハアハア……もうだめだ、これ以上なにも思いつかん。ええいっ、名前付けるのめんどくさいから、もうContarexなんてや~めたっ!)



……なんて裏事情があったのかは定かではありませんが、
Contarexはネーミングに気合いを入れ過ぎて、どれがどのように並ぶんだか皆目見当のつかないシリーズになってしまいましたとさ。

そんなお茶目なZEISS IKONが光学界の巨人であることは疑いのないところですが(※竹田先生の受け売り)、その巨人が王の名を冠したカメラの交換レンズの描写とは?

ZEISSファンなら誰もが気になるContarexについての伝説の一端を、僭越ながら信頼性があるんだかないんだかよく分からない当Blogが覗いてみたいと思います。


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Planar 50mm F1.4再考 #19 EF50mm F1.4 USM 野外比較

今年最大のプロジェクト!  (゚∀゚)

……になってしまった理由がありましてね……ええ、EF50mmを入手したのは今年の春ぐらいなんですが、それがやや難ありで軽いクモリがあったのですよ。それならそれで、逆光を避けた比較だけして終わらそうと思ってのんびり撮り進めていたら、ある時、クモリがものすごく進行しているじゃありませんか! 泣く泣く修理に出し、修理に出したからにはMC-11を入手してきちんとした比較記事にしようと準備ができた頃にはもう猛暑がはじまっていたわけです。そんでヒイヒイ言いながら撮影を再開したら、MC-11が無反応で撮影中断したり、ボケ比較のために入ったビニールハウスは格子状の窓のおかげで意外と光が安定しなかったりと、なんでこんなに撮り直しばっかりしてるんだろう状態。

そんで、9月に入って、ようやく涼しくなってきたと思ったら、雨、雨、雨!

呪いのレンズか!! (°言°)



てなわけで、ようやくできあがったこの写真には、表に出ないものすごい手間がかかっているということを理解して頂きながら、フーン ( ´_ゝ`) と軽く読み流していただければ幸いです。


結論の前フリとしては、本当にそっくりだけどまったく同じではないというわけで、これだけ似ているのにどこがどう違うのか?というのを探してみるとおもしろいと思います。今回のトピックとしては、EFユーザーは数がものすごく多く幅広い層を持つということで、割とおマニア以外の人にも内容を理解してもらえるように、普段より解説を多めにしてみました。

撮影は9割方、快晴なので信頼度はとても高く、ボケの比較はビニールハウスで撮った完全無風なのでこの比較に疑いの余地はありません。


いざ、EF50mm F1.4の正体を白日の下に!


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Planar 50mm F1.4再考 #18 EF50mm F1.4 USM 室内比較

EF50mm F1.4 USMは頭の片隅でず~っと気になっていたレンズです。

それはなぜかというと、銀塩時代に知る人ぞ知るカメラ怪人、日沖宗弘氏がこのレンズを“レンジファインダーカメラ用の名玉に太刀打ちできる”と記していたからです。この文章は「写真術 I」の再版時に追加された短評であり、それがあまりにも短すぎるので詳しい理由は不明ですが、これを無難に解釈するならば、EF50mm F1.4 USMは一眼レフのミラーがなく設計面で有利なレンジファインダー用50mmに匹敵するほどの性能がある、ということなのでしょう。

……と、いきなり昔話から始めているので、デジタル世代の方に日沖宗弘氏について説明すると、1990年代末期に過熱したクラカメブームが始まる以前に、「写真術」という書籍で個性的なクラカメ論を展開しながら、かなりの量のレンズ、フィルムをいっせいに横並びに評した影の火付け役……とまで言っていいのかは分かりませんが、肩書は名もなき一般人(学者?)のはずなのに、モノクロの汎用現像液さえ作ってしまうほどの趣味人なのです。この方にやや怪しさがつきまとうのは、写真誌界隈でまったく相手にされなかったことに加え、後の新刊でカメラ業界の陰謀論を大展開してしまったことに拠ります。(業界が買わせたいAFカメラではなく、古くて堅牢で優秀な昔のカメラを褒めちぎる自分は疎まれている!と)


しかしですね、やはり古今東西、多数のカメラを国内外の取材などで実際に使い倒してきた方の記事はただのマニアが書いたものとは圧倒的に違う説得力を持つのです。読めばわかる核心を突いた解説と、学問的な精神性を交えて語る濃い内容は多くのカメラ好きを魅きつけ、「写真術」シリーズはアンダーグラウンドの名著/迷著として語り継がれるようになるのです。

[新版] プロ並みに撮る写真術 I ひとりで仕事をする研究者・ライターのために
日沖 宗弘 勁草書房

さすがに内容が古いので、読み物として文章そのものを愉しめる方に。AMAZONでは区別がつきませんが、できれば加筆がある新版の方が良いです。Iの反響を受けて製作されたIIは、レンズ談義がより具体的になっています。


参考までに、この書籍の中で日沖氏がたいへん優秀と認めるレンズは、CONTAXの中ではS-Planar 60mm F2.8、Planar 135mm F2、Sonnar 180mm F2.8です


え~と、話が脱線しましたが、とにかく、EF50mm F1.4はかなり良いレンズらしい、という日沖氏の評価をようやく検証する機会を得たので、やってみましょう、いつもの厳密比較を! 

ちなみに、比較対象となるPlanar 50mm F1.4 AEJは彼の書籍ではほとんど言及がなく、唯一、ちらりと触れられている「かなり使えるようであるし~」という文言から察するに、50mmは古い名玉を含め十分な選択肢がある(≒基本的に一眼レフ用の50mm F1.4を高く評価していない)ので特に興味が沸かず、ご本人は未体験だったのではないかと思われます。


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その辺写真の機材ブログ。画像と記事は時々整理、日付も変更。

お問い合わせ: ahocontaxmania@gmail.com

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*メインはCONTAXのZEISSレンズで、その他ROLLEI、HASSELBLADなど少々。レンズ構成ごとにページが分かれていて割と読み応えあり。ボディはなし。乱発され内容も薄かったこのシリーズの中で唯一面白かったZEISS本。作例よりも語り中心。


*おすすめ。文字の分量は少なめだが書いてあることは濃い。写真よし、記事よし、品よし。


*おすすめ。レンズ描写にテーマを絞っていて文章が読み応えあり。内容的には無難なレンズ本と濃厚なマニア本の中間あたりで、レンズの特徴はそれなりに出ています。いまいち売れなかったのは作例に面白味がないため。


*メーカーの公式本。たしか、MM時代のMTFデータとプロの作品とZEISS技術者のインタビューなど。メーカー発なので当たり障りのない内容、コレクター向け。定価4,000円くらいの豪華本だったので、それを目安に購入検討を。


*詳細なボディ解説で、たしかレンズはクローズアップされてなかったはず。あんまり記憶に残っていません。


*「季刊クラシックカメラ 10ツァイスTレンズの描写力、表現力」に解説を寄せている築地氏が書いているので兄弟本みたいな内容。平均以上の充実度ですが、割とあちこちに記事を書いている人なので内容が重複する印象あり。


*CONTAXレンズを数値評価でばっさり。当時のユーザーの情熱的な声とは対照的に、たいして褒められていないのが面白かったり。


*ネットの普及していない時代にこれだけ各レンズの特徴に深く言及した人はいませんでした。書いてあることはかなり的確ですが、今時のデータ主義とは違い当時の熱量をそのまま表した官能評価です。オールドレンズで有名な澤村氏の口調に似ているかも。ただし、カラーメーターを使い印刷にもこだわったその姿勢は雑誌作例をゆうに超えています。


*90年代クラカメブームの隠れた先駆者で、古今東西のレンズを一律で横並びに評価した記事は一部の人たちにじわじわと火をつけました。レンズの階調描写について水墨画の複写を例に出していたのは今にして思えばまさに的確。レンズ評そのものは淡泊なので、ネット時代に参考になるとしたら機材運用に対する現実的なものの見方でしょうか。


*Carl ZeissはPフィルターを嫌うようで、CONTAX時代もUVフィルターはマルチコーティング、Pフィルターはシングルコーティング=保護用だから撮影時には使うなよ(無言の圧力)みたいな感じでした。フィルターのT*にどこまで意味があるのかは分かりませんが拘る方はどこまでも突き進むべし!


*マルミ製リアキャップ。形は純正とは違います。今時はマウント変換後の他社用を使うのが常套でしょか。


*Planar 50mm f1.4はこの67mm金属フードに55-67ステップアップリングをかませると軽快かつほどほどの深さでベター。


*上記組み合わせの55-67ステップアップリング。


*中華アダプターやレンズフードの反射防止に。


*ここまでのクオリティがいるかはともかく、安心の国産アダプター。中国製を選ぶ方は確実な遠景撮影ができる代わりにミラー衝突の危険が高まることを承知の上で。宮元製作所の直販サイトの方が安いかも。


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