Contarex Planar 50mm F2、SUMMICRON-R 50mmF2に続いて古い有名ブランドの第三弾で、これにて50mm F2シリーズを締めくくりたいと思います。

シュナイダーというメーカーは、実はあんまり一般の方には馴染みがないのではないでしょうか。その理由は基本的にレンズメーカーであり、我々に親しみのある35mmカメラの製造がないことで、分かりやすく体系化された交換レンズ群が存在しないからです。シュナイダーのXenon、Xenotar、Super angulonという銘柄は、確かに歴史の一時代を飾ったカメラのレンズとして輝きを放っていましたが、しかしメーカーそのものは、ツァイスやライカに匹敵するような確固たるイメージはありません。語られるのは常にレンズ単体のみで、シュナイダーというメーカーの深い部分に言及したWEB記事はほとんど見かけません。

Schneider-Kreuznach

メーカーのWEBサイトはきちんと用意されており、歴史的な資料も残っているのですが、堅実な会社の歩みが記されてあるだけでCarl Zeissのような激動のドラマや発展はありません。


おそらく、1980~90年代のフィルム時代を体験した人間とって、シュナイダーはローデンストックと並んだ大判レンズのメーカーという印象が強いのではないでしょうか。中判ではRollei 6000シリーズにレンズを供給していたようですが、そもそもこのカメラ自体がマイナーもマイナーで、それはまさしく近代のシュナイダーのとっつきにくさを表していると言えます。

そんなふうに、一般アマチュアにとって明確なイメージのないSchneider-Kreuznachという会社が持つレンズ設計の理念や実際の描写はどのようなものか? その片鱗を理解するために登場するのが、今回のXenon 50mm F1.9(EXAKTA)というわけです。

シュナイダーの年表によると、入手した個体の製造年は1957~58年頃(?)で、微妙にContarex PlanarやSUMMICRON-Rとの年代が合いませんが、新しすぎるよりは古い方がいいだろうということで、比較の開始です。


ピント付近の描写を確認するための定規撮影。これによって、ピント線の立ち方、前後のボケ具合、色収差を観察します。

A: Xenon 50mm F1.9(F1.9)
10933

B: Planar 50mm F1.4 AEJ(F2)
10934


Xenon 50mm F1.9は撮影すれば誰でも分かる球面収差の過剰補正型なので、実は、描写そのものはとても分かりやすいです。この定規撮影の写りもそのとおりで、前ボケはやわらかく、後ボケは硬く、ピントピークは過剰補正型特有のハロでもやっとした低コントラストとなっています。個体差もあるでしょうが、一眼レフでこれぐらいピントが立たないと、肉眼のピント合わせはきついのではないでしょうか。

色収差はContarex Planar、SUMMICRON-Rと違ってかなり抑えられており、F2に絞ったPlanar 50mmと遜色がありません。ツァイスやライカと比べて、個性的な設計手法が垣間見えます。



マクベスチャートはすでに劣化していて、色味に信頼性はありません。あくまで相対比較としての観察です。

A: Xenon 50mm F1.9(F1.9)
10930

B: Xenon 50mm F1.9(F4)
10931

C: Planar 50mm F1.4 AEJ(F4)
10932


いつもと違ってXenonの絞り開放を載せているのは、絞ったF4で黄色味が微妙に増しているからで、この現象はちょっと謎です。絞り込みによる色味の変化が内面反射の軽減にあるとするなら、レンズ内部の反射防止塗装に青味でもあるのでしょうか?

ABCの全体の感想としては、絞り開放のAはかなり正確なグレーが出ていて、絞り込んだBC比較では、BがCよりもやや黄色いといった感じです。BとCのコントラストはほぼ同じで、XenonにContarex Planarのようなコーティング性能の低さはなさそうです。SUMMICRON-Rの赤のような目立った色の違いも特になし。

総じて、Xenonの色調とコントラストは癖がなく整っていると言えそうです。

Planar 50mm F1.4再考 #28
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