こ、これは!!  ( ゚д゚) !!

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アサヒカメラ 1993年10月号
特集「50㍉レンズを再評価する」
ニューフェース診断室 キヤノン50㍉F1.4USM


し、知りたい内容がふたつも重なっているではないかっ!! 
ということは、どっちかが外れでも損はしないはず!!(小物感)


そして、ポチっとカートをクリックして、後日、無理矢理ポストに突っ込まれていたゆうメールを開封してみると……


ふおおおおおおおおお
あさひかめらたん、しゅごいです


と、ゆるゆるになってしまった頭のネジを巻きなおして、しゃきーんといつものあほコンタックスまにあに戻ると(あれ? 戻ってもあほだ)、この特集、とんでもなかったです。なにせ、よくある写真家が自分の撮った写真を好きに語っているレンズ記事などではなくて、収差図と数値性能から各社のレンズを横並びに分析、順位づけをして、過去の流れを振り返りながらこの時代の50mmを総括しようという記事なのです。その内容はあまりに専門的過ぎて、当時の読者の何割が理解できたのだろうかと思うほど……。

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まあ、真面目な話、各社の50mmレンズを研究したければ、2000年以後に発売された「ニューフェース診断室」の各メーカー版を買い集めればいいのですが、そこまでするほどのレンズマニアでもなく。

全メーカーありますが、本によってはズームレンズばかりだったりするので、買う前に内容を調べた方がいいです。

……てなわけで、買ってみた1993年10月号のこの特集は予想外に本格派で、噛めば噛むほど味が出るようなおもしろさなのです。なにより凄いのが、レンズの順位づけに総評としてコメントがついているのですが、ライトな記事ならさらりと簡単に終わらせてしまうその内容を省略せず、狭いスペースにみっちりと文字を押し込んできちんと解説し切っているのです。これ、老眼の方になんの配慮もしていないのでは?と思えるほどの気合いっぷり。


具体的な内容はまず、現行50mmレンズの収差図、MTFグラフ、解像力数値と並べながら、長らく診断室に関わっていた小倉磐夫氏がその経験を活かして解説を進めていくページと、それらの数値性能を元にした中心解像力/平均解像力/中心MTF/平均MTFという4項目でレンズをそれぞれ順位付けし、その結果を合算した総合順位の一覧表があります。さらに、数値性能の測定方法や収差図の見方などの解説もあり、最後には各メーカーの標準レンズ開発の流れが簡潔にまとめられるなど、至れり尽くせりです。通常なら、あれやこれやと資料を行き来しなければならない「この30年間の代表的な標準レンズF1.4の主な性能」という簡易データもきちんと別枠でまとめられており、本当にこれは資料価値がある!

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【掲載レンズ】
プラナーT*50㍉F1.4
ズミクロン-M50㍉F2
ヤシカML50㍉F1.9C
リケノンP50㍉F2
ノクチルックスM50㍉F1.0
キヤノンEF50㍉F1.0L USM
キヤノンEF50㍉F1.8II
ペンタックスFA50㍉F1.7
ペンタックスFA50㍉F1.4
ミノルタAF50㍉F1.4
ミノルタAF50㍉F1.7
AFニッコール50㍉F1.8
AFニッコール50㍉F1.4
京セラAF50㍉F1.8
ズミルックスR50㍉F1.4
シグマAFマクロ50㍉F2.8
ズイコーマクロ50㍉F2


これだけのレンズを網羅しているわけですが、総合順位はどうなったと思います? それは上から順にF値が暗い順となりました。つまり、暗いレンズほど高性能という言葉を地でいく結果です。50mmレンズに詳しい方は、いや、コストダウンされたF1.8のレンズなんてF1.4よりも悪いのでは?と異論を唱えたくなるでしょうが、この比較はあくまで絞り開放の性能を見るものなので、F1.4のレンズを一段絞ったら開放F2のレンズを超えるという概念はナシなのです。となると、開放ではF値が暗いレンズのほうがくっきりした写りということで、必然的に暗いレンズが上位に来るのです。もちろん、中心解像力/平均解像力/中心MTF/平均MTFだけでレンズを評価することに記事執筆者も違和感を唱えているのですが、今回はあえてやってみたというスタンスです。

 個人的なおもしろポイントとしては、マイナー系のヤシカ、京セラ、リコー、シグマの数値性能が載っていることと、“和製ズミクロン”というアサヒカメラ発祥の言葉が、ここでもちらりと触れられていることです。このRIKENON P 50mm F2、解像力が優れていたのは前の世代のXRレンズということで、和製なんちゃらを確かめたい方はモデル名に注意が必要です。

Planar 50mm F1.4はF1.4クラスとしてはコントラストと解像力のバランスが良いらしく、この順位付けの例外として、F1.7~F1.8クラスに紛れ込んでいたことを補足しておきます。この比較で使った数値は二回目に計測されたMMJなのでわりと公平感はあり、Planar 50mm F1.4が標準レンズの帝王かはともかく、同時代の50mm F1.4の中では総合力が抜きんでていたことが示されています。(※解像力だけなら、Planar 50mm F1.4より優れた物もある)


そして、もうひとつの目玉は当Blogで時間をかけてPlanar 50mm F1.4と実写比較したEF50mm F1.4 USMの性能分析です。これを読んだら、だいたい自分の見立ては合っていたようで、EF50mm F1.4は国産AF50mmの最後発だけに設計も優れていて、コントラスト性能はこの時点のF1.4標準レンズのトップに立ったとのこと。実際の収差補正も球面収差の完全補正型、歪曲は-2.0%、優れた像面の平坦性と、Planar 50mm F1.4の設計思想と同じで、あれだけ描写が似ていたのも納得できます。周辺減光がやや多めという評価も、先の比較どおりです。

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Planar 50mm F1.4再考 #18 EF50mm F1.4 USM 室内比較

Planar 50mm F1.4再考 #19 EF50mm F1.4 USM 野外比較


ちうわけで、ニューフェース診断室の別冊をすべて買い集める気力と財力のない方には、ものすごく価値のある本でオススメです!! え? レンズの順位付けなんて必要? なんて眉をひそめる方もいるかもしれませんが、こまかなデータを横並びで眺めると各メーカーの味付けの違いが分かったりして、なかなかに興味深いですよ、と。