つい、ヤングノ!と読みたくなってしまうヨンヌオ、Beijingも北京という日本人にとってはわけわからん中国語の英語表記なので、もうYONGNUOは親しみやすい漢字の永諾でいいんじゃないかと思いますが、日本語仕様のWindowsでは変換が出てきません。ふおっ!!


……というどうでもいい前置きはともかく、
YONGNUO YN600 AirというLEDビデオライトを買いました。


その理由は、これからしっかりと物撮りをしていこうと決意したからではなく、マクベスチャートを撮影するときと、焦点内外像を調べる時に安定した面光源を使いたかったからです。最初に言ってしまうと、これ一台だけで物撮りをするのは難しいです。基本的に、商品撮影は被写体をたっぷりとカバーできる大きな光源を使います。その意味では、YN600 Airの面積は小物に適したサイズしかなく、それで良いとしてもレフやらディフューザーやらが不要というわけではありません。そもそも、このライト、ビデオ撮影用ですし。

ちゅうわけで、YONGNUO YN600 Airのレビューですが、写真用にこれを買っても、まだ他にも買い足す物があるよ!という警告をしながら、いつものように始めてみたいと思います。




内容物一式。梱包状態は良くも悪くもなくといったところで、LEDライト本体は仕切られた箱の中に裸で入っており、それ以外の物は裏側の空間でゴロゴロ転がってました。今回、ACアダプター付きを買ったのですが、それは正規のセット品ではなく、通常の単品売りではバッテリーかACアダプターを自分で用意しなければなりません。そんなわけで、この製品本来の同梱品は、中国語/英語の説明書と保証書、本体につけるハンドル、ポーチです。
10102


本体表側です。ディフューザー付きのSMD(表面実装型) LEDの192球で、このタイプは砲弾型に比べて放熱と光の拡散で有利とのことです。そのためか空冷のファンはなく、従来型に比べて薄く軽量になったことでAirという名がつけられたようです。この重量、公式では1084gなのですが、そんなに重くないよなー?と首を傾げながら実測してみたら約800gでした。カタログ値はハンドルもしくはバッテリー込みなのかもしれません。発光面のサイズはディフューザー部分のみで31.2×23.2cm、本体の厚みはダイアルなどの突起物を除けば約2cmです。
10106


株式会社グッド・グッズ(GOODGOODS)
「LEDチップ COBとSMDの違いについて」

10107


全機能が集約された本体裏面です。筐体は当然プラスチックですが、四辺に開けられた放熱用の隙間からヒートシンクのアルミ板?が見えます。中央に二つ並んだ窪みがバッテリー装着部で、その両側下部に光量調整用のダイアル/表示パネルがあります。
10100

この二組のバッテリーは操作ダイアルとともに完全に別系統となっていて、96球+96球となっているLEDパネルをそれぞれ独立制御します。これはLEDの色温度可変をシンプルに実装するための仕組みのようで、色温度が5500kの96球と3200kの96球を別々に光量調整することで、ビデオ撮影時に思いのままの色味が得られるということらしいです。その代わり、5500kを得るには半分の96球のみ発光させることになり、光量もスペックの半分に落ちてしまうので、今回、自分は光量重視で5500k固定モデルを選びました。写真用としてはRAW現像があるので、わざわざ色温度3200kを使う意味がよく分からなかったというのもあります。(厳密な撮影では需要がある?)


バッテリー周りです。装着できるのはSONYのNP-F750(互換)で、ビデオ界隈ではソニーバッテリーというのは様々な周辺機器で使われているそうで、別段、YN600 Airが特殊なわけではないようです。ACアダプターはセンタープラス、12V/5A MAXと刻印がありますが、説明書の仕様では8V/5Aです。このあたり、メーカーが安全マージンのために8V/5Aを推奨しているのかは謎です。
10108


これが売り手が用意したACアダプターで、間違いなく最安の部類でしょうが、アダプター裏面にはきちんとモデルナンバーや細かい仕様がプリントされていました。今回、やや失敗したのは、日本AMAZONのアダプター付きYN600 Airは高いので中国から直接買ったのですが、届いたのは日本のコンセントには合わないプラグだったことです。まあ、たまたま余っているメガネケーブルがあったので、それを差し替えて余計な出費は防ぐことができましたが。
10103

実は、このACアダプターの仕様がクセモノで、LEDビデオライトともなると大光量となるために、8V 5Aで40W(12V 5Aなら60W!)などという大きな電力を扱える物を日本のメーカーで探すのが難しく、家に転がっているようなACアダプターなどはまず合いません。それと、ACアダプターというのは奥が深くて、単体で買う場合には細かく仕様を調べないといけないようです。YN600 Airの場合はAC-DCアダプターでセンタープラス、8V 5A、5.5mm/2.1mmジャック?だと思われます。ピンの太さ=ジャックの内径が実測できなかったのですが、メーカーが純正を用意していないので、ごく一般的なサイズを採用した可能性が高いのではと推測しています。

それと、高さを必要とするライティングでは中間部のアダプター本体が宙に浮いてしまうので、本体-アダプター間の延長コードを用意するか、スタンドの支柱にパーマセルで貼り付けるなどひと工夫が必要です。YONGNUO対応をうたっている製品の中にはきちんとコードの長さを確保した物もあるようで、そのあたりはさすがによく分かっているなと感心しました。



*****

最初にYN600 Airだけでは足りないものがあると書いたのは、この製品を固定するためには本体下部の1/4インチネジ(※カメラの三脚ネジと同じもの)をオスダボ/メスダボに変換する必要があるからで、三脚を使う場合はともかく、正しくライトスタンドを使う場合には購入者側でいろいろ調べなくてはなりません。

自分はその昔、35mmフィルムでブツ撮りに挑んで玉砕していた時代があるので、その頃のブームスタンドを使おうとこれを買いました。ブームスタンドは全体が大きく動くのでライトの位置に融通が利きますが、普通の直立するスタンドにこれを使っても、ライトを水平に向けることしかできないのでご注意を。どう設置するにしろ、ライティングの自由度を確保するために小型雲台は必要になるでしょう。
10104

この接続部にも二種類の規格があるようで、今回購入したエツミ製品は国内仕様の内径17mmメスダボには緩くてガタガタ、ロックネジで固定はできますがやや斜めになるのでパーマセルでも貼って調整しようかと思います。これ、二つのネジをどちらでも使えるようにするために、両側ともφ16mmの太さにせざるを得なかったのでしょうか? 

スピゴットアダプター

用途
主に国内メーカー製のライトスタンド等の先端部に設けられているφ17mmメスダボを、海外製のライトスタンド等に用いられるφ16mmオスダボに変換する。

特長
両端のオスネジはそれぞれ1/4インチと3/8インチ三脚用オスネジ付なので、カメラアクセサリー等の取付にも使用可能。



もうひとつ、YN600 Airの固定に関して気付かない部分があって、なんとなく説明書を見ていたら、あれ?っと思いました。三脚のクイックシューを着ける、付属のグリップを使う、それらを説明している右下には、グリップをつけたままライトスタンドに固定している絵があります。
10105


あれ~グリップの底が16mmのメスダボになっている~。
まあ安全面からいって、ライトを垂直に立てることしかできませんが、やっぱりマニュアルは一度は目を通しておくものですね。要するにこれ、手持ちで人物に向けてライトを使いながら、素早くスタンドに挿すこともできるビデオ向きの仕様のようです。

スタンドの先端+エツミのスピゴットアダプター+YN600 Airのグリップ
10111



*****

ようやく、ライト部分の解説です。主な操作は光量調節だけで、表示パネル外周部のロータリーダイアルを回すと0~99まで数値が変化します。ロータリーダイアルの感触は精密感がなく値段なりですが、さすがに数万の商品ではないので仕方がないと思います。
10112


表示パネルの上下はスイッチになっており、上のC/Fineを押すとロータリーダイアルを1ずつ増減/10ずつ増減と切り変えることができます。下のBattは文字どおりバッテリーチェックで、AC-DCアダプター使用時にはごていねいに“DC”と表示されます。
10114


表側の発光面の様子です。これが全発光。側面が不揃いなのは品質の低さではなく、その部分にネジ止めのスペースがあるからです。4000lmの最大発光ではかなり明るく、真っ暗闇でも部屋の明かりとして十分な作業ができるほどです。
10113



ロータリーダイアルの片側を0にして半分のみ発光。当然ながら消灯しない中間の明るさもあります。
10115


ロータリーダイアルの操作を入れ替えて逆側の発光。分かりづらいですが、二系統のLEDが一列ずつ交互に並んでいます。ということは、もし、色温度可変モデルを選んで5500kが欲しい場合には、飛び飛びに発光するライトを使うことになります。
10116


これらの画像を見れば分かるように、ライトパネルは完全な面光源ではなく、被写体によってはこのブツブツが写りこみます。この方式から一歩進んだのがエッジ照射型LEDライトで、パネルの外周部で発光させたLED光を内部に導くことで、より均一な面発光を実現するようです。ただし、その分、光量は激減するらしいので、明るさを重視する場合には注意とのことです。

国内のLPLの製品ですが、安い類似品が中国製にあるはず。



簡易ながら色温度を調べてみましたが、LEDは電圧や温度に影響を受けるらしく、冬場の暖房で部屋が温まっている状況では5700k付近、部屋が冷え切っている状況では5600k付近で、さらに発光量を絞った時も微妙な変動がありました。ただし、RAW現像では常にグリーン方向に10程度の色被り補正が発生していたので、もしかしたらディフューザーパネルが若干のマゼンタ寄りなのかもしれません。


EOS 5D EF50mm F1.4(ISO200, F5.6, 1/100)
Phoshop Camera RAW 5500kの色再現

※余計な色被りを防ぐために片側からの直当て、レフなし
10117


同じ条件で、二つのロータリーダイアルを均等に下げていった例。
左: 発光量99 ISO200, F5.6, 1/100      右: 発光量75 ISO200, F5.6, 1/80
10123 10124

左: 発光量50 ISO200, F5.6, 1/60      右: 発光量25 ISO200, F5.6, 1/30
10125 10126

さらに半分ずつの発光も試しましたが、露出と色温度は同じ傾向で二系統のLEDは適切に制御されているようです。シャッタースピードなどの撮影データに着目すればわかるように、このライトパネル単体では最大発光でも手持ち撮影は難しいです。ですが、ストロボ光とは違って目に見える定常光はライティング効果を生で確かめながらセッティングできるので、その辺りのメリットと差し引きといった感じでしょう。昔から言われている晴天時の露出がISO100, F8, 1/250なので、YN600 Airの明るさは晴天時より3EVほど足りないと言えます。

一番重要な演色性は昨今の流れどおりにRa95以上であり、実際に目視でも被写体の色がスカッと抜けていて、どんよりした蛍光灯特有の色再現とは別物です。仮にこれがスペックどおりではなくても、ほどほどに高い演色性は確保されているでしょうし、価格の安さや扱いの手軽さなどで従来の写真用ライトにはもう戻れません。(昔、タングステンライトで部屋の壁を焦がしました……。 ( ̄ー ̄ ;))


部屋の蛍光灯
左手前の白バックを中心におおまかにグレーを合わせましたが、色鉛筆の各色には独特の抜けの悪さがあります。
10129

YN600 Air
天井にある蛍光灯とはライティングが変わりますが、しゃきっとした気持ちのいい色です。
10130


ただ撮っただけの作例。レフもなし。
YN600 Airを直当て
10118

YN600 Airと被写体の間にディフューザーを1枚
10120


YN600 Airを直当て
10121

YN600 Airと被写体の間にディフューザーを1枚
10122


ちょっとだけ工夫してみました。後ろから光を透過させるセッティングは普通、かなり大掛かりになりますが、LEDの面光源なら数秒で組み上がります。
10127


他の記事用に撮ってみましたが、使いどころがなく……。
10131


YN600 Airは自分にとって初めてのLEDライトなので他の製品との比較ができないのですが、とりあえず、この軽さ薄さはとても有効だと言えるでしょう。それは可搬性があるという意味ではなくて、セッティングの手軽さや安定感が段違いだからです。こうした面光源の角度や向きを手軽に変えられて、なおかつしっかりと固定できるというのは、大きなセットの組めないアマチュアにとっては大変助かることであり、様々なアイデアを容易に試すことができる環境が手に入ります。

しかし、その一方で、ライトの大きさはあと二回りほど大きければな~という感じで(せめて正方形に)、これ一灯ですべてを撮りきるのは無理です。小物のテーブルフォトなら工夫次第ですが、少し大きい物になると発光面積が足りないように思います。そんなわけで、もしこれを読んでいる初心者の方がプロと同じクオリティを望むのなら、実際にスタジオで使われている機材と同等の品を揃えることをお勧めします。商品撮影はほぼ道具の質によって決まってくるので、中途半端な機材でごまかしても余計な手間がかかるだけです。まさにうちのBlogがその悪い例で、蛍光灯と自然光で済ませた機材写真は後処理に時間をかけた割にはグレー諧調のねじれ、背景ムラなどが消し切れていず、後から見返すと溜息がでます……。

と、最後に自爆してしまったような気もしますが、念押ししておくと、この製品、ビデオライトなのでこれらの感想/評価はメーカーの想定外だと思います。


【良い点】
  • 軽く薄い
  • 高い演色性
  • ディフューザー固定なのでまぶしくなく手軽
  • 買いやすい価格

【悪い点】
  • バッテリーやACアダプターが別売り
  • 首を振るために簡易雲台が必要
  • 構造上しかたがないが、LEDのブツブツが被写体の反射に写りこむ