CONTAX G1 + Planar 45mm F2
絵柄のバリエーションには留意せず、無節操に撮影したものを掲載。自然光撮影もだいぶノウハウが確立してきました。

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( ゚∀゚)o彡゚ G1!! ( ゚∀゚)o彡゚ G1!! ( ゚∀゚)o彡゚ G1!!

CONTAX G1は世界一カッコいい!!
CONTAX G1はとてもエレガントだ!!
CONTAX G1は美しく整っている!!



……と、CONTAXファンの声を唱和したところで、今回はデザインの素人話でもしてみたいと思います。

CONTAX G1は発売当初、定価143,000円(ボディのみ)という高額ながら、かなり売れたカメラです。それは一眼レフにはない軽快さと、Carl Zeissのシンプルなレンズ群、AF/AEカメラでありながらマニュアル操作が省略されていない、というカメラファンの欲求を満たしていたことによりますが、ZEISS信者の垣根を越えて多くの人がこれを買ったのには、デザインの飛び抜けた良さがあったからです。

デザイン……などというものは、最終的には人の好みに左右され正解などないのですが、やはり多くの人に好まれる傾向というのは存在します。それはバランスの良さ、アクのなさ、無色透明に近づく寸前のシンプルさ(近年ではiPhoneが代表的)。CONTAX G1はそれらをすべて満たしつつ、さらに宝飾品のような仕上げであるという、人々の心をつかむもっとも強力な訴求力を備えていたのです。


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幸運にも1990年代の京セラはCONTAXにエレガントな品の良さを求めていたようで、RXを筆頭に落ち着いたデザインのカメラ群は、操作部が極力デザイン性を壊さないような配慮に恵まれていました。そんな流れの一環として、高級コンパクトに与えられた「所有する喜び、人に見せる喜び」という商品戦略(※アサヒカメラ ニューフェース診断室より)は、新たなレンズ交換式AFレンジファインダーというジャンルで見事花開き、CONTAX G1は他に類を見ない存在感を放つことになるのです。

後にも先にも、G1に匹敵するカッコいいカメラは自分のなかでは存在しません。バルナックライカやM3、ハッセル500CやRolleiflex 2.8Fも良いデザインだとは思いますが、時代的な意味で別ジャンルだと思います。G1と同時代のカメラとしては、KONICA HEXAR RF、FUJIFILM TX1が似たような外観を持っていますが、さすがに他社の先行機種に似せるわけにはいかないと見え、個性がある分、上品さではいま一歩といったところです。
まあ、そうはいっても、G1が完璧なデザインというわけでもなく、どうしても機能性に形を譲らなくてはいけなかった部分としてファインダー接眼部があります。G1を360度から眺めてみたときに、唯一、その流麗さを崩しているのが出っ張り過ぎたファインダーで、これはズーム機構を内蔵している分だけ後ろに厚みが増えているのでしょう。


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デザインというのは面白いもので、人の感性は時とともに変わっていくらしく、以前は大衆に理解されなかったデザインが時が経つことで日常ですんなり受け入れられることもあるようです。例えば、車で例えるならフォルクスワーゲン ニュービートル。この車が街を走り始めた当時、うわ、なんじゃこりゃ!(旧型の方が整っていて品がある!)と思ったものですが、今ではなるほど良いデザインだと納得していますし、しかも、すでに古臭ささえ感じているほどです。どうもデザインの先進性というのは大衆性との折り合いが悪いらしく、本当に優れたプロダクトデザインというものは、発売当時に強い違和感を与えても、時間とともにそれが薄らいでいくようです。

カメラ界でまさにそんな一例となったのはEOS 1Vで、銀塩最後のフラッグシップは当初、形容しようのないうにゅっとしたペンタ部にかなりの拒絶反応が巻き起こりましたが(※CAPAの馬場氏がそれだけで記事を書いてしまったくらい)、デジタルになって似たようなデザインが継続されていくうちに、今では誰もこのような流体デザインに疑問を唱える人はいなくなりました。
今まさに、そのときと同じような拒絶反応が広がっているのがZEISSのOtus、Milvusで、この曲線を取り入れたシルエットが10年後に日常化しているか、元に戻っているかはこれからの見所です。

https://cweb.canon.jp/eos/lineup/1v/
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http://www.cosina.co.jp/seihin/zeiss/milvus/index.html
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CONTAX G1は好景気時代の象徴であり、その端正な姿は他社で実現できなかったのか?というとそれは違います。デザイナー的見地から言えば、単にデザインの整合性を取り、宝飾品のようにキラキラさせるだけなら簡単な話なのです。製品価格との兼ね合いという絶対的な壁はさておき、デザイナーにはそのメーカーの特色、商品単体の個性を表現しなければならない使命があるのです。そういった部分で苦労が忍ばれるのが、ネオクラシカルという趣でミラーレスカメラを開発しているフジフイルムで、レンジファインダーを彷彿とさせるXシリーズは細かなバランスをすこし整えるだけで格段に良くなるのになあ…という部分がちらほらと目立ちます。しかし、デザイナーにとってはそんなこと百も承知で、おそらく、ライカとの類似性を避けるためにいろいろ工夫した結果があの外観なのでしょう。

m4/3の頃より一貫してデザインの上手い会社はオリンパスで、まるで、自社のフィルムカメラを現代に生まれ変わらせるようなデザイン力が炸裂したのがPEN-Fです。個人的に、このカメラのデザイン的訴求力はCONTAX G1に匹敵するほどだと思います。

https://olympus-imaging.jp/product/dslr/penf/feature.html
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その他では、シグマのQuattroシリーズは近未来的エレガントとも言うべき美しさを誇っていますし、ARTレンズをきっかけにしたデザイン面での方針転換は他のレンズ専売メーカーを巻き込むほどに大成功だったと言えるでしょう。廃版になってしまいましたが、これらと同じようなインパクトを残したのはパナソニックのGM1/GM1Sで、ライカのかわいらしさを踏襲しながらも手のひらサイズというこのカメラは所有メーカーの垣根を越えて今でも中古を欲しがる人がいるくらいです。これは大事に育てていくべきシリーズでした。

https://www.sigma-global.com/jp/cameras/dp-series/#dp2
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https://news.panasonic.com/jp/press/data/2013/10/jn131017-1/jn131017-1.html
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デザイン話で最後に付け加えるならば、プロダクトデザイナーの最大の苦労は一点や二点、最高のデザインをすれば仕事が終わりというわけではなく、同じシリーズの中で常に前回とは違うデザインを求められることです。だから、毎回毎回、形を変えていく中でどうしても外観のイマイチなカメラが生まれてしまうことは避けられませんし、例えば、90年代のCONTAXにしても、TVS IIIはあまり高級感の演出ができていません。カーデザインの世界では新型車は旧型を必ず古く見せなければいけないとかで、これは製品サイクルが比較的長い性質があるからでしょうが、世の流れを感じ取り、さらに先へ進む感性と洞察力を備えなければならないという、なかなかに大変な作業だと思います。



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さて、このように褒めちぎりましたが、CONTAX G1は外観の誉れの高さとは別に厳しい現実が待っていたのです。それは説明するまでもなく、発売からわずか二年後に改良型のG2が、それもたった20,000円差で出てきてしまったことによる存在価値の下落、デジタル移行期の熱狂による中古の捨て値時代。

そして、今では高級なのはガワだけで、中身はプラスチックの微妙なカメラとまで影で囁かれていますが、G1がそういった道のりを辿ってしまったのには、他ならぬ京セラの見込み違いが大きかったと思います。なぜなら、一見してライカM6にも張り合えるようなCONTAX G1は、実はメーカーの意図としてはあくまで高級コンパクトであるTシリーズの派生版だったからです。そう考え直してみると、デザインにはちらほらと共通部分も見えますし、何よりもSonnar 90mm F2.8という中望遠をラインナップしておきながら、ピント合わせの不完全さを見て見ぬふりしながら発売してしまう態度も納得できます。

開発当初、レンズ交換式高級コンパクトカメラというコンセプトだったG1は、BiogonやHolgonというレンジファインダー時代のレンズの復活とともにM6と並び立つほどの熱で迎え入れられ、本格的な改良型を望む声が急速に高まる……。京セラが予想だにしなかったG1の大評判がG2の登場を早め、その結末がG1の価値の暴落であったというなら、なんとも皮肉なものです。

インターネット時代に暴かれてしまった内部のプラスチック多用は、好意的に解釈すれば、高級コンパクトのTシリーズの作りと同じ、軽さを重視した結果ではないかと思います。アサヒカメラ ニューフェース診断室の記述では、CONTAX G2の骨格は軽合金ダイキャストであるとされているので、そういった記述のないG1は骨格さえもプラスチックなのかもしれません。まさにそれが初代CONTAX Tから続く、京セラの高級コンパクトの内部構造ですから。


底蓋の固定ネジに円形のプラパーツを挟みこんだTシリーズと共通の突起。これはカメラ底部と家具を傷つけない配慮だそうです。
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性能よりも外観重視という商品コンセプトが特に表れたチタンの表面処理に対する解説。

アサヒカメラ 
ニューフェース診断室「コンタックスの軌跡」

コンタックスG1
ビオゴンT*28ミリF2.8/プラナーT*45ミリF2/ゾナーT*90ミリF2.8

チタンボディーをそのまま梨子地に仕上げて直接指が触れると指紋が残るという問題があるため、チタンの表面にガラス塗装を加えているという。ガラス塗装を通して直接チタンの金属色が透けて見える。




結局のところ、CONTAX G1はどんなカメラを目指したのか?というのをきちんと整理してみると、CONTAX T2で打ち出した「写す喜び」「所有する喜び、人に見せる喜び」というコンセプトを踏まえた上で、一眼レフにはないシンプルな機材で優雅に撮影を楽しみながら、ある程度、絞り込んで撮影する上品なカメラだということですね。そして、それをベースに市場の声を反映させて内部構造を大幅に変え、100gの重量増を許しながら本格派として路線変更したのがG2だったと。


……なんて、あちこちに話が飛んでいきましたが、G1について良いことばかりを書くと必ず悪い面について突っ込まれるはずなので、このような内容になってしまうのは致し方ありません。しかし、これだけ長々と書いてきたのに、実用に関するお役立ち情報がいっさいないのは皆様に平謝りするしかないのですが……。


だって、今回、撮影した自分のカメラは観賞用に入手した物で、ストラップの三角リングを通していないどころか、電池を入れたこともないのですから。(°言°) クワッ!


というわけで、世界一カッコいいカメラであるCONTAX G1の役に立たない話はこれで終了!!


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