第二次世界大戦後の西側ZEISSは、かく語りき。
(ふっふっふ……そろそろ我らが偉大なるZEISS IKONもレンズ交換式一眼レフを発売しようぞ……)
(そして、それは他のどんなカメラをも凌駕する世界最高のものでなくては困る……)
(しからば、その名にはいにしえのラテン語による王の意(Rex)を与えよう……)
「すなわちそれは、我らが名機Contaxの名を受け継ぐContarex、世界に君臨する王の中の王である!」
「王の中の王たるContarexの派生型は、Contarex special(特殊、専門)である!」
(ふむ……長い歴史の中には学問に秀でた王もあるだろう。誰だ? マニアックな性癖がどうのとほざいておる奴は、けしからん。しかしとりあえず、これでお茶を濁すことはできたはず……っと、なにい!? まだまだ新型が控えておると!? ぐぬぬぬ……)
「Contarex professional(職業的専門)! Contarex super(極上)! Contarex super electronic(電気的な極上)!」
(ハアハア……もうだめだ、これ以上なにも思いつかん。ええいっ、名前つけるのめんどくさいから、もうContarexなんてや~めたっ!)
……なんて裏事情があったのかは定かではありませんが、Contarexはネーミングに気合いを入れすぎて、名前だけだと、どれがどのように並ぶんだか皆目見当のつかないシリーズになってしまいましたとさ。
(ふっふっふ……そろそろ我らが偉大なるZEISS IKONもレンズ交換式一眼レフを発売しようぞ……)
(そして、それは他のどんなカメラをも凌駕する世界最高のものでなくては困る……)
(しからば、その名にはいにしえのラテン語による王の意(Rex)を与えよう……)
「すなわちそれは、我らが名機Contaxの名を受け継ぐContarex、世界に君臨する王の中の王である!」
(が、しかし……これでは学術用途に使いにくいとの声があり、派生型を出さねばならぬ……。とはいえ、世界を束ねる王の隣に並び立つものなどあるものか……。しかたない、知恵を絞ろう……)
「王の中の王たるContarexの派生型は、Contarex special(特殊、専門)である!」
(ふむ……長い歴史の中には学問に秀でた王もあるだろう。誰だ? マニアックな性癖がどうのとほざいておる奴は、けしからん。しかしとりあえず、これでお茶を濁すことはできたはず……っと、なにい!? まだまだ新型が控えておると!? ぐぬぬぬ……)
「Contarex professional(職業的専門)! Contarex super(極上)! Contarex super electronic(電気的な極上)!」
(ハアハア……もうだめだ、これ以上なにも思いつかん。ええいっ、名前つけるのめんどくさいから、もうContarexなんてや~めたっ!)
……なんて裏事情があったのかは定かではありませんが、Contarexはネーミングに気合いを入れすぎて、名前だけだと、どれがどのように並ぶんだか皆目見当のつかないシリーズになってしまいましたとさ。
そんなお茶目な(?)ZEISS IKONが王の名を冠したカメラに用意した交換レンズの描写はとても気になるところです。はたして、その標準レンズは超絶高性能なのか、あるいは独特の味わい深さをかもしだすのか?
ZEISSファンなら誰もが気になるContarexについての伝説の一端を、当サイトがのぞいてみたいと思います。
さすがにもう説明不要だとは思いますが、ピント付近の描写を観察するための定規撮影。ピント位置となる200線は画面のど真ん中に置いています。
A: Contarex Planar 50mm F2(F2)
B: Planar 50mm F1.4 AEJ(F2)
な、なんてわかりやすい低コントラストなんでしょう……。これ、一眼レフできっちりピント取れるのかな?と思えるほどにAのマイクロコントラストが低く、200線のピントピークが立っていません。比較用に絞った(=ボケ描写がおだやかになっている)Bよりも前ボケはやわらかく、後ボケがうるさいということで、Contarex Planarは球面収差の過剰補正型のようです。ただし、ハロ(極小フレア)でピントピークがはっきりしないといっても、描写自体はF2の余裕からかすっきりしており、大口径レンズによく見られるぼわぼわ感はなく、色収差補正も良好です。
あまりに情報がないレンズなので、参考程度に焦点内外像も撮影してみましたが、これまた、かなり特徴的なボケ像を見せています。1960年代の標準レンズは色収差が目立たない設計が多いのですが、このレンズはそれらとは違い、他の収差補正に余力を割り振っているようです。焦点内像のグラデーションを見る感じでは強めのカーブがある過剰補正型という雰囲気ですが、これだけで断定することはできません。
B: Planar 50mm F1.4 AEJ
最後は、いつも苦労しているマクベスチャートです。半端ライティングを画像処理でカバーしているのでチャート各色の正確性は足りませんが、両者の条件一致だけはしっかりと守っています。
A: Contarex Planar 50mm F2(F4)
B: Planar 50mm F1.4 AEJ(F4)
このふたつの違いはわりと分かりやすく、Aは青味がある低コントラストで発色は浅め、つまり、Contarex Planarには順光でも影響がある内面反射(コーティング性能の低さ)があるということです。レンズの発色はガラスの特性やコーティング性能に左右されるので、このレンズはまさしく発展途上時代の無理が描写にあらわれているのでしょう。
A: Contarex Planar 50mm F2(F2)
B: Planar 50mm F1.4 AEJ(F2)
な、なんてわかりやすい低コントラストなんでしょう……。これ、一眼レフできっちりピント取れるのかな?と思えるほどにAのマイクロコントラストが低く、200線のピントピークが立っていません。比較用に絞った(=ボケ描写がおだやかになっている)Bよりも前ボケはやわらかく、後ボケがうるさいということで、Contarex Planarは球面収差の過剰補正型のようです。ただし、ハロ(極小フレア)でピントピークがはっきりしないといっても、描写自体はF2の余裕からかすっきりしており、大口径レンズによく見られるぼわぼわ感はなく、色収差補正も良好です。
あまりに情報がないレンズなので、参考程度に焦点内外像も撮影してみましたが、これまた、かなり特徴的なボケ像を見せています。1960年代の標準レンズは色収差が目立たない設計が多いのですが、このレンズはそれらとは違い、他の収差補正に余力を割り振っているようです。焦点内像のグラデーションを見る感じでは強めのカーブがある過剰補正型という雰囲気ですが、これだけで断定することはできません。
左: 焦点外像(後ボケ) 右: 焦点内像(前ボケ)
A: Contarex Planar 50mm F2
B: Planar 50mm F1.4 AEJ
最後は、いつも苦労しているマクベスチャートです。半端ライティングを画像処理でカバーしているのでチャート各色の正確性は足りませんが、両者の条件一致だけはしっかりと守っています。
A: Contarex Planar 50mm F2(F4)
B: Planar 50mm F1.4 AEJ(F4)
このふたつの違いはわりと分かりやすく、Aは青味がある低コントラストで発色は浅め、つまり、Contarex Planarには順光でも影響がある内面反射(コーティング性能の低さ)があるということです。レンズの発色はガラスの特性やコーティング性能に左右されるので、このレンズはまさしく発展途上時代の無理が描写にあらわれているのでしょう。
Contarex Planar 50mm F2についていろいろと見えてきましたが、設計が1950年代なので単純性能が1970年代以後のYASHICA/CONTAX時代より低いのは当たり前です。よって、今回はより正確な評価を下せるよう同時代のPancolar 50mm F2も含めた比較で進めてみたいと思います。
レンズ探求 #14 Contarex Planar 50mm F2 野外比較
カテゴリ :「レンズ探求(各社レンズ比較)」