いつも文章が長いので、今回は簡潔にいきまする!

え~と、標準~広角系の特定レンズをピントリングの突き当りでほぼ無限遠に合うようにする改造工作の実例です。“ほぼ”とぼかしたのは、この作業はかなり個体差に左右されるので、必ずしもデジタルのピント拡大で合わせた完璧さと同等になるとは限らないからです。
使用するマウントアダプターは無限遠を行き過ぎる中国製アダプター、比較的、軽めのレンズを想定しています。


左: よくあるオーバーインフ  右: 無限遠が距離表示と一致
この改造を行うメリットは、スナップの速写性が上がることです。
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まずは分解、0番のプラスドライバーで。
ただし、最近、ネジ山が有名メーカーのドライバーと微妙に合わないものが多く、100円ショップの精密ドライバーの方がぴたりと噛み合う変な状況です。同じ中国製だからでしょうか? 緩み止めは塗られていないので簡単に開きますが、EFマウントなどは縦にバネが入っているので、慎重に作業してください
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完全にばらす前に、マウント金具の向きなどを紙にメモしておきましょう。とは言っても、単純構造なので、どこがどうはまるのかはよ~く観察すればすぐに分かります。
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え? ここにグリス必要? と思った部分。精度の悪さをグリスでごまかすにしても、ちょっと塗り過ぎで、これは夏場に染み出ないように軽く拭き取っておきたいところです。
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構造確認。
要はフランジバックの足りないマウントを嵩上げするだけなので、どこにシムが挟めるか考えます。このアダプターは、マウント金具 - リング状の板バネ - 本体となっていて、板バネの前後はどちらも平らなので、シムを挟めるのは手前と奥の二か所になります。どちらでもいいんですが、マウント金具と板バネの距離が変わってしまうとマウント時のテンションも変わってしまうので、無難な奥側に決めました。
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使うシムはただの紙でもいいんですが、せっかくなので耐久性も考慮して濡れても大丈夫なプラペーパーを使ってみましょう。厚さ0.1mmのプラスチックの紙です。値段が高いなーと思うかもしれませんが3枚入っているので、そんなでもありません。


この作業にどうしても必要なのがサークルカッターです。これはなんとしてでも入手してください。


細々した工作にはカッターマット。これは100円ショップで十分。



シムを挟む平らな部分の内径、外径を測ってサークルカッターでプラペーパーを切り出します。ノギスがあれば簡単ですが、いつも自分がやっている方法は、ふつうの定規を当てて適当にサイズを割り出したら、それが合っているかどうかを雑紙でリハーサルして現物確認するのです。このリングの切り出し方は、先に外径に合わせた円を切り抜き、その円の中央に残った穴をもう一度使って内径を切り出します。単に嵩上げが目的なので、画像のようにきっちり合わせる必要はなく、すこし小さめで構いません。
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この作業の注意ですが、シムや金属パーツに目視できるゴミが付着しているとレンズとの平行度が狂う可能性があるので、ブロアやブラシを使いながら慎重に行う必要があります。特にマウント金具を固定するネジ穴に切りくずが出ていないか気を付けてください。


組み上がりましたが、実はここからが本番です。

実際に使いたいレンズを装着して、窓から外に向けて実写。無限遠とピントリングの突き当りが一致していない場合は、また分解してシムを足します。M42-NEXと50mm F1.8ではシム2枚で良好な結果になったので、最初に3セット程度、切り出しておけば十分でしょう。それでも満足いかない場合には、微調整にもっと薄い紙を使うしかありません。
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※実験も含めて、三種類のアダプターに同じ改造をしてみましたが、シムの枚数は平均して2枚程度、おそらく4枚も5枚も重ねる必要がある場合は、レンズ自体が過去の修理によって意図的にオーバーインフにされている可能性があります。(オーバーインフのレンズ+オーバーインフのマウントアダプターで調整量が多くなる)


シムの枚数を足したり減らしたりして、納得できるフランジバックになったら完成です。ここで、正しい工業製品であればネジに緩み止めを塗って締め直すところですが、1kgクラスのレンズを使うわけでもなし、後の分解が難しくなるのでそのままでいいと思います。もちろん、もうこれで何も変えないという方や、緩み止めを外すスキルのある方はがっちりと固定してしまってもいいと思います。




ネジ締めに関しては、どれくらいまで強く締め込めばいいのかがわかりませんが、安価な中華アダプターが厳格に組まれているわけもないのでお気楽にいきましょう。いちおう自分なりに気を付けていることとしては、最初に軽い力で突き当りまで回した後に、最後にきゅっと締めこむ時は、すべてのネジが同じ力加減になるように意識しています。別に怪力が必要ではありませんが、きちんとネジが突き当りまで回っていないと、超広角で画像の傾きが発生するかもしれないのでご注意を。

それと、当たり前ですが、特定のレンズにフランジバックを最適化したアダプターは他のレンズに合うとは限りませんので、この改造をしたアダプターはほぼ専用品になることにご注意ください。

特に個人的な実感では、CONTAXレンズは設計に手の込んだレンズの無限遠がばらつく印象があります。Vario-sonnar 28-70mm F3.5-4.5、Distagon 35mm F1.4、Distagon 18mm F4とか。
単に外れを引き続けているだけなのでしょうか……。( ̄ー ̄?)