ハクバの保護フィルターには上位クラスのULTIMAと中位クラスのXC-PROがありますが、このXC-PRO、片面反射率0.3%に防汚コーティングと、内容は上位クラスに迫る物ながらAMAZON価格が時々異様に安くなるのです。


世の中、そんなにうまい話があるはずもなく、どこかに大幅なコストダウンがあるのだろうと横目で眺めていましたが、これだけ安いのなら騙されてもいいかなと思って買ってみました。ちょうど、67mmでも撥水性能が必要でしたし。

……ちゅうわけで、今回のテーマは「とてもお安いXC-PROの性能は本当にスペックどおりなのか?」でいきたいと思います。 o(*゚∀゚*)o ワクワク


まずは注目点となるスペックを適当に比較するとこうなります。


HAKUBA ULTIMA WR 反射率0.3%以下 撥水/防汚機能 (※上位クラス)
HAKUBA XC-PRO 反射率0.3% 撥水/防汚機能 (※中位クラス)
Kenko PRO1D Lotus 反射率0.3~0.5% 撥水・撥油機能 (※中位クラス)
MARUMI EXUS 反射率0.3%以下 撥水/防汚/帯電防止コーティング (※上位クラス)


XC-PROの片面反射率は上位クラスとほぼ同等、各社まちまちである防汚コーティングはおそらくマジックに耐えるような強さはないでしょうが撥水性能は保証されています。値段はフィルターサイズによってもバラバラなので明記しませんが、このスペックでXC-PROが低価格フィルター並だったら、まさに超お買い得!となるのですが……。





まずは購入時についてくるこのケースですが、かなり気に入りました。ワンタッチ開閉も便利ですが、内部のクッションが硬質ウレタンみたいな固い素材で、ガラス面にホコリがつきません。まあ、あくまで第一印象なので、実際に持ち運ぶとなるとなにかしらネガが出るのかもしれませんが。
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コーティングの反射色はグリーン系で左に見切れているULTIMAとは違います。角度によって複雑な変化を見せるULTIMAのコーティングとは違って、クラス分けどおりの無難さがあります。手に持ってガラス面を眺めた感じではきちんと高級フィルター同等の透明感がありました。過去にがっかりしたマルミのDHGスーパーは、まずこの段階で首を傾げたので大きな違いです。
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現在のハクバの保護フィルターで他社と絶対的に違うところ。
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このようにフィルター枠が薄く(簡易ノギスで実測3.8mm、斜めカットの角を省くと公称値の3.4mmになると思われる)、手に持った感じはとても華奢です。この軽快感はULTIMAにも共通しますが、最大径82mmまでまったく重量差を感じないのは強度の面でやや不安になります。材質は間違いなくアルミで、ULTIMAやPRO1D Lotusにはある側面のローレット加工=指の滑りを防ぐギザギザがありません。


なお、目立つ宣伝文句として、XC-PROはCarl Zeissがらみで有名なSCHOTT(ショット)社のB270i ウルトラホワイトガラスを使用とあります。これが二十年前ならムハー! (*゜∀゜)=3!! となったでしょうが、今はZEISS熱が三周くらいして落ち着いているので、まあそれがなにか?といった感じです。そもそも、この製品、中位クラスですし。

フジトク株式会社 白板ガラスBK7、B270
●B270は非常に安価で、透過率もBK7とほぼ同等な高透明度クラウンガラスです。しかし、BK7のような光学ガラスではなく、屈折率の均一性がなく厳密な光学系には適しておりません。
http://www.fujitok.co.jp/products/view/67/%E7%99%BD%E6%9D%BF%E3%82%AC%E3%83%A9%E3%82%B9BK7%E3%80%81B270_


光成産業株式会社 白板 B270i
B270i はB270 の改良版です。B270iの "i" が"改良版"を意味します。改良点は、化学的耐性の向上にあります。 一方、光学的特性および物理的特性はB270と同等です。B270iはB270と同じ白色ガラスで、色目に差異はありません。
http://www.kouseisangyo.co.jp/product/article/3

いろいろ調べてみると、B270iは光学系には適さないガラスであり、SCHOTT社のPDFには他の光学ガラスのような細かな性能諸元が示されていません。余談ですが、これを厳密な光学ガラスとして性能を追求したのがULTIMAであり、ニコンのARCRESTなのですね。



*****

本題の性能チェックですが、今回はXC-PROの性能が宣伝とかけ離れていないか確認するだけなので、一場面だけです。カメラはマニュアルの設定固定で、逆光のシャドー浮きを比較。もちろん、何度か拭き直して複数回撮影をしています。

フィルターなし
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ULTIMA(透過率99.4%以上)
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XC-PRO(透過率99.4%)
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PRO1D Lotus(透過率99.4%~99.0%)
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L37 Super PRO(透過率99.0%)
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 一部切り出し、順序は同じ。(クリックで拡大)
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結果としては………

なんと! XC-PROはスペックどおり、ULTIMAとほとんど見分けがつきません! パンパカパーン!

全体の補足をしておくと、やはり描写が明確に分かれるのがフィルターあり/なしでその他はほとんど気のせい程度のスペック順、ただしPRO1D Lotusはここ半年の過酷な撮影が祟ったのか拭いても拭いてもイマイチ抜けが悪く、今回のテストではL37 Super PROと同等にするのがやっとでした。

ああ、XC-PROがちゃんとした性能でよかったよかった……で終わりそうですが終わらないのですよ、皆様!!

XC-PROは確かに高級フィルター並の透過性能ですが、防汚コーティングがあるのになぜだか拭き難いです。

撥水性能を疑うくらいにクロスやペーパーが滑らないので、実写する前にフィルターにじょぼじょぼ水をかけてみましたが、ちゃんと水が玉になって落ちていきます。どちらかというと裏側の撥水が弱いようですが、前側はちゃんと水を弾くのにツルツルじゃないってどういうこと??

最近、フィルターの比較テストで活躍している除電ブラシでもホコリの落ちがイマイチです。


もちろん、当Blogで行っている超神経質なテストのための清掃なので普通の方はそこまで厳密に考えなくてもいいのですが、XC-PROのコストダウンはこの辺なのかなあ……という気もします。
XC-PROは一枚しか持っていないのでこれを製品の特長とは断定できませんが、この拭き難さが標準だとすると、デメリット込みのお買い得製品となるでしょう。まだ外では使っていないので、今後の評価は変わる可能性もありますが、現時点ではこのようなまとめとなります。

  • フィルターケースはなかなかよく、携帯用のフィルター入れに便利。
  • フィルター枠は薄く軽いが、とても華奢でレンズ先端の激突注意。(フィルター破損の原因は直接ガラス面に何かが激突するよりも、枠に衝撃が加わることの方が圧倒的に多いため)
  • 透過性能はスペックどおり。
  • 撥水性能は宣伝どおりだが、防汚コーティングがあるのに拭き易さがない。
  • AMAZONでは常に低価格で、時折激安。

以上、もう少し使ってから追記を加える予定です。





【一年後の追記】

XC-PROをそれなりに使ってみましたが、やはり、フィルター表面の拭き難さがあり、厳しい天候にさらされる風景写真や撮影回数の多い方には向かないと思いました。XC-PROを逆光撮影で性能低下させないほど綺麗にするためにいろんな拭き方を試しましたがうまくいかず、結局はお湯(と中性洗剤)で洗ってブロアで水滴を吹き飛ばす方法しかありませんでした。なお、この清掃方法は完全乾燥に時間が必要などいろいろと面倒なうえに、メーカー非推奨です。


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カテゴリ :「フィルター」