そもそもは昔揃えたL37 Super PROを近年の保護フィルターと比較したらスペックは下回るはずなのにそれらのほとんどを上回ってしまった話。そうしたら、その後のPRO1D Lotusを主役とした比較では数字通りの順位となったり、Zetaの反射防止の度合いが清掃するたびにコロコロと変わったりなど、保護フィルターの性能は素人の単純比較では測り難いことが判ってきました。

その先にあるのは、もしかして、フィルターにも個体差があるのかな?……という蛇の道。
もっと具体的に言うと、一度目と二度目の記事で結果のばらついたL37 Super PROは個体差だったのか?という疑問を潰しておきたい。


というわけで、前回記事のついでに行ったフィルターの個体差比較を見てみることにしましょう。


光源は暗闇の中で直当て、画面内にライトが写り込んでいるのでかなり厳しい状況。右端に薄いゴーストが出ています。以下、すべて設定固定のマニュアル撮影。

フィルターなし
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L37 Super PRO 個体1
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L37 Super PRO 個体2
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L37 Super PRO 個体3
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L37 Super PRO 個体4
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一部切り出し、上から掲載順。(クリックで拡大)
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念入りな清掃→撮影を三回繰り返した結果としては、個体1~3までがほぼ同一、どうしても反射が多く改善できなかったのが個体4です。L37 Super PROは新品と中古で買い集めた物で使用頻度にばらつきがあるのですが、拭き傷がたくさんあるフィルターは個体1~3に混じっているというのが不可思議です。製造時期については確実にばらばらで、枠の厚みや黒色塗装の仕上げが違ったりしますが、なぜ個体4だけ悪いのかは最終的にまったく分かりませんでした。

とりあえず、3/4の個体で描写が同じなら個体差についての心配はあまりしなくてよさそうかな?(でも、個体差がないわけではない)というぼんやりとした感想のまま、今回のテストを終えることにしました。


が。


その後の夜景による実写比較において、Zeta(無印)の性能落ちがまた出てしまったのです。それも、ごくわずかな差と無視できないくらい明確に。

比較テストの一例。このような絵で保護フィルターを次々取り換え、描写の差を見ていたのですが……
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左: Zeta(無印) 面反射0.3%以下   右: PRO1D Lotus 面反射0.3~0.5% (クリックで拡大)
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左: L37 Super PRO  面反射0.5%   右: CONTAX 1A MC スペック不明 (クリックで拡大)
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各画像を切り替え比較すると(※ブラウザで拡大画像を開きタブを切り替えるだけで可)、Zeta(無印)のフレアは下位グレードのどれよりも多いのに驚きます。これは以前も体験したガラスの拭きの甘さによる反射防止性能の揺れと思われるのですが、当然ながら、Zeta(無印)はやや気難しいと分かった上で念入りに清掃してのこの結果……。


これはちょっと、いいかげんな自分でも見過ごせない状況なので、フィルターガラスの状態をきちんと観察するために、レンズの製造現場と似たようなことをやってみました。

http://scopetown.jp/col14.html
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Zeta(無印)
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PRO1D Lotus
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L37 Super PRO
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CONTAX 1A MC
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なるほど、Zeta(無印)がこれほどホコリっぽいのなら、夜景比較で一番フレアが拡散してしまっているのにも納得です。これを見た時、まさに実写どおり!と驚きながら、脱力して床に沈みこみました。高級フィルターの意味ねえ……。Orz
いちおうの言い訳としては湿度80-90%で風のある中、二時間撮影してきた直後のガラスの状態がこれで、運搬、撮影中にホコリが増した疑いはあります。ちなみに、この観察方法はガラスの状態を丸裸にしてしまうので、暗闇でライトに照らすようなことをしなければフィルターは十分に綺麗です。

Zeta(無印)
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以上の結果から、同じ拭き方をしたフィルターの中ではZeta(無印)が一番拭き難く、その度合いは旧世代のCONTAX 1A MCよりも逆光耐性で劣るほどのやっかいさである、ということが確定しました。

となると、Zeta(無印)のコーティングは扱いにくいので購入は避けるべし、と早合点しそうになりますが、自分自身の経験ではそうも言いきれない実感があります。というのも、だいぶ前にL37 Super PROを買った当初もやたら表面がザラザラしていて拭き難かった記憶があるので、清掃を繰り返していくうちに表面が滑るようになり拭き易くなるのか、その他の要因があるのか、なんとも言えない部分があるからです。
AMAZONのユーザーレビューによると、Zeta(無印)はPro1Dよりも拭き易いなどという方もいる一方で、ULTIMAの拭き難さは本末転倒だ!みたいな方もいますが、うちのULTIMAはZetaよりも断然拭き易いという分けわからん状態です。もしかしたら、個体差がコーティング面の均一性?に絡んでいるのかもしれませんが、これについては同じものを数枚買って検証してみないと断定することはできません。


さて、このZeta(無印)ですが、拭き難くても手間をかけて完璧に綺麗にできれば問題ないわけですが、暗闇で光を透過させた状態で満足な綺麗さにするのには大変な時間がかかり、馬鹿馬鹿しいので使用をやめました。もちろん、これは厳しい逆光時のみに表れる反射防止性能の低下の話ですので、この個体がまるで使いものにならないわけではないのですが、手持ちの他のフィルターはもっと簡単に清掃が仕上がりますし、流行りの防汚コーティング付きのフィルターなら、それこそ一瞬で済んでしまう作業です。


というわけで、皆さん、暗闇で懐中電灯を後ろからフィルターにかざして、拭き残しやホコリの具合を一度、見てみることをお勧めします。ホコリはプロの修理屋さんレベルでないと多少残るのが普通ですが、意外とクリーニング痕が残っていたりすることがあります。そうなると、スペック無関係に逆光性能を落とすことになりますので……。

まとめると、世間一般のフィルター性能で大差が出るような話は、実は反射率の違いではなく一方に拭き残しがある可能性があり、当ブログの過去記事で、旧型のL37 Super PROが現行のZetaを超えてしまった比較テストもおそらくZetaがきちんと拭けていなかったというのが結論です。



今回、問題となったZeta(無印)。ただし、拭き難さは単なる外れ個体である可能性も否定できません。


後継のZeta Quint。拭き易いダストフリーコートを装備。





【後日談】


どうやったらZeta(無印)を手早く完璧に綺麗にできるのだろうと、いつもの中性洗剤洗いから無水エタノール、オリンパス EE-3310などいろいろ試していたら、フィルター表面が薄クモリのようになってしまいました。

Zeta(無印)
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L37 Super PRO
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「まぁ~た、どうしてお前さんはそんなに清掃がへたっぴなんかねえ?」ヾ(`Д´)ノ゛
「ちがう! ちがうよ母ちゃん! おいらが昼寝してる間にクマさんがやってきて下手くそな拭き方したんだよ!」♪~( ̄ε ̄;)
……みたいなしょーもない言い訳はともかく、おそらくZeta(無印)とオリンパス EE-3310との相性が悪かったみたいです。



これを使った時に、汚れもないのに異様に拭き痕が残って違和感があったんですが、何度拭き直しても、何をやってもこのムラは取ることができず、コーティングの変質としか思えない状態です。方や、比較対象のL37 Super PROは軽く息を吹きかけただけでこの状態まで綺麗にすることができ、以前のフィルター比較で表れたスペックを超えた下剋上は、フィルター表面の拭き易さの違いが影響していたことが確信となりました。


今回の記事製作後にいろいろと情報を漁っていたんですが、近年、複雑さを増してきたフィルターのコーティングにはやや気難しさもあるようで、マルミはカーボン粉末を研磨剤とするレンズペンなどは使わずにアルコール度の低いクリーニング液を使うことを推奨しているようです。

 EXUS、コーティングの剥がれ!
http://bbs.kakaku.com/bbs/K0000505382/SortID=17826237/#tab

(※スレッド作成者は不良品とのメーカー回答で交換済み。)

元々、防汚コーティングがあるフィルターにレンズクリーニング液が必要な場面は少ないでしょうが、Zeta(無印)やUltimaなど防汚コーティングがない高透過率のフィルターは要注意ということですね。レンズを保護するフィルターだからコーティングに耐久性はあって当たり前という認識は、性能重視の昨今ではすでに間違いなのかもしれません。


繰り返しますが、コーティング表面のおかしくなったZeta(無印)も厳しい逆光でなければ透明度は落ちていず、撮影に支障はありません。
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レンズペンは一度も所有したことがないので、使用感についてはさっぱり分かりません。レンズ清掃にはとても評判のよい定番商品なのですが…。