今回は建物などの人工物を被写体にして、絞り開放から中~遠景の小絞りを見ていきます。


最初のカットがCONTAX N Planar 85mm f1.4、後のカットがPlanar 85mm f1.4 MMJですべて共通。

注記なければ絞り解放 マニュアル撮影で設定固定、WBは5200k付近(日陰では多少調整あり)
Photoshop Camera RAWの現像設定はα7でEOSのスタンダードを模したプロファイル、明るさを同等に調整


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絞りf8
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絞りf8
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絞りf2.8
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絞りf2.8
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絞りf1.4
N Planarが明確に優れるのは色収差の少なさです。
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絞りf2.8
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絞りf2.8
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3406


絞りf2.8
黄色味というのは色に濁り=厚みを加えるので、N Planarの方が軟調に見える場面も多いかもしれません。
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絞りf2.8
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絞りf8
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絞りf2.8
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絞りf8
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絞りf2.8
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四隅の周辺減光はMMJとの差を見る限りZEISSのデータシート通りですが、後玉が大きく、テレセン性に配慮された光学系とα7のマウント四隅はとても相性が悪そうです。
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絞りf5.6
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絞りf1.4
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絞りf4
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絞りf4
あまり参考にならない歪曲チェック。データ上ではN Planarは樽、MMJは糸巻戻りで、どちらも構図に影響する程度ではありません。
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絞りf8
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Nレンズのデジタル対応が何を意味しているのかは、結局のところレンズ一本見ただけではなんとも言えませんでした。絞り開放のピントはAEG/MMJからとても見易く改善されましたが被写体のディテールは特別切れるわけでもなく、周辺はボケも解像もいまひとつです。この印象は個体差である可能性も捨てきれませんが、ZEISSのデータシートを見る限り、元々がそういう性能であるという解釈で正しいように思います。


https://www.zeiss.de/content/dam/camera-lenses/files/service/download-center/datasheets/historical-lenses/contax-n/datasheet-zeiss-planar-1485-de.pdf
https://www.zeiss.de/content/dam/camera-lenses/files/service/download-center/datasheets/historical-lenses/contax-yashica/datasheet-zeiss-planar-1485-de.pdf


左: N Planar 85mm f1.4  右: Planar 85mm f1.4 AEG/MMJ
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あくまで素人読みですが、MTFの明確な画質向上はなく四隅は捨てているような設計で、絞り込んでも放射、同心の整った綺麗なグラフになりません。歪曲はフレーミングで気になる程でないにしろ、AEG/MMJよりは増えていますし、絞り開放の周辺減光の多さも同様です。
ところが、これらのデータでは見えない性能向上に色収差の大幅な改善があるのです。


左: N Planar 85mm f1.4  右: Planar 85mm f1.4 MMJ
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比較対象のAEG/MMJがそもそも色収差の目立つレンズですが、それにしてもデジタルカメラ特有のフリンジが広く認知される前の設計でこの描写は見事だと思います。もちろん、アポクロマート仕様ではないので色収差が出ないわけではありませんが、等倍のシャープネスを損なうほどでもなく、一番厳しい状況でもこの程度です。

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色収差というのは光の色(波長域)の違いによって焦点が揃わず、本来は存在しない縁取りが出てしまう現象なので、N Planarは撮像素子のより厳しい平面度を考慮して、従来よりも正確な結像性能をベースとしたのかもしれません。この辺り、ZEISSが意図した設計バランスがあるはずですが、あまりにも短命に終わったカメラシステムなので詳細なメーカーコメントは聞こえてこず、アサヒカメラの診断室にも掲載はないようです。

解像力については設計のし易い85mmレンズということで絞ればキリッと全域で解像する描写を想像しますが、やはり四隅はいまいちで、立体的な空間を描く中望遠の特性から問題にはなりませんが新設計の期待どおりとは言えません。旧型との比較にしても、元々のフレアっぽさの中に細い解像線を持つ過剰補正型のAEG/MMJと特段の差を感じませんし、N Planarはつい図体の太さから特別な性能を期待してしまいますが、あくまでフィルムとデジタルが入れ替わろうとしていた時代の過渡期のレンズというのが使用者の素直な感想です。


絞りf1.4 
N Planarの四隅の収差状況を夕景で確認。
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前ピン
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合焦
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後ピン(オーバーインフ)
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