CONTAXの描写性能を確認するための比較撮影で得た、他社レンズの評価をまとめておきます。
繰り返しますが、レンズ評価というのは何を重視するかで変わってきますし、特に古いレンズは描写性能の低さを個々人が好き勝手に解釈する世界でもありますので、正解を提示する記事内容ではないことにご留意ください。

レンズは適宜、追加していきます。☆5つで最高。


【Meyer-Optik Görlit】

Oreston 50mm f1.8
お勧め度 ☆☆☆☆
チャレンジ精神でのお勧め度 ☆☆

オールドレンズ入門用として非常にいい位置にあるのではないかと思わせるレンズです。その心は、PENTACON移行を含めると生産本数が多く値段的にも買いやすく、汎用性の高いM42マウント、発色とコントラストが良く、時代なりの描写性能の悪さ=味も備えていて、最短33cmで接写も可能!
逆に言えば、わざわざ不便な古レンズを使うまでもない個性のなさですが、ある程度、汎用性が必要な時は重宝すること間違いありません。ただし、逆光性能だけはクラシカルで、厳しい状況では派手なゴーストを操る楽しさがあります。素の写りとしてはかなり暑苦しい黄色味がありますが、デジタルで撮る分には無問題でしょう。
後回しになりましたが、唯一で最大の特徴は最短撮影距離の短さで、身近な草花を撮る場合には普通の50mmレンズよりもぐぐぐっと寄れる楽しさがあります。Planar 50mm f1.4との比較では、若干新しい世代でより描写性能が上がっているのがPlanarで、草花撮影なら描写の劣る=味があるOrestonの方が確実に適任でしょう。



【COSINA】

NOKTON 58mm f1.4 SL IIN
お勧め度 ☆☆☆☆
チャレンジ精神でのお勧め度 ☆

これの元となったRE.Auto-Topcor 58mm(東京光学)とは描写の関連性が薄く、現代的に使い易くリファインされたオールド風味という位置づけ。実際に、逆光に強く発色も良く、新品(に近い中古)が買えるということで、初心者の方が安心して選ぶことのできる優等生です。その分、値段も上がりますが……。
Planar 50mm f1.4が現代的な写りの良さを備えるオールドレンズとするなら、現代の技術で昔風の設計が行われたのがこのレンズ。卵が先か鶏が先か。欠点の少ない両者はよく似ていますが、歪曲の少なさと逆光の強さがあり、トータルの使い易さはNOKTONの方が上です。ただし、決定的に違うのが58mmというやや狭い画角で、狙う景色は50mmよりもクローズアップ気味になることが選択の注意点。
最大の特徴は、絞り開放の軟調化に青味のあるすっきりした発色が合わさることで、中判フィルムのような独特の平坦な質感が得られることです。古レンズは絞り開放のフラット描写と、絞り込んだ時のハイコントラストの二面性が楽しめるなんてよく言われますが、NOKTON 58mmはそこに発展途上時代の危うさがないところが新しく作られたオールドレンズの面目躍如となります。
あともう一点、色収差はPlanar 50mmよりも大きくボケの輪郭の色付きも目立つので、ここは明確に好き嫌いが出るかもしれません。



【東京光学】

RE.Auto-Topcor 58mm f1.4
お勧め度 ☆☆☆☆☆
チャレンジ精神でのお勧め度 ☆☆☆☆

コシナのNOKTON 58mm f1.4=復刻版Topcorの元ネタですが、描写性能は完全に古い時代のもので類似性は低いです。専門的には見事なまでの過剰補正と像面湾曲で、ようするに絞り開放のピントはハロに包まれてモワモワ(しかし中央の解像線は細い)、周辺解像も歪曲も悪く、Planar 50mm f1.4よりも明らかに低性能と言えます。
しかし、なんでこんなに星評価が高いのか?というのはオールドレンズにありがちな“あばたもえくぼ”ではなく、コーティング性能の低さによる諧調変化が素直な発色と相まって、独特の繊細さを見せるからです。強い黄色味はWBで取り除く必要がありますが、この環境光による諧調変化を感じ取れれば急激に面白いレンズになることでしょう。そのためには彩度とコントラストは下げめで。



【CANON】

FL 50mm f3.5 MACRO(暫定評価)
お勧め度 ☆☆☆
チャレンジ精神でのお勧め度 ☆

設計が古いテッサータイプなので、ボケやら諧調やらは後回しの解像至上主義ではないかと思います。実際の描写性能も絞り開放でぽやっとフレアで滲んだ中にとても細い解像線が存在するという、絞り込んだ時の高解像を狙ったものです。しかし、マクロレンズの解像重視はごく当たり前の設計思想なので、レンズを選び放題のミラーレスで積極的にこれを選ぶ理由は思いつきません。後ボケにガチガチの二重線でも出れば面白いのですが、そういうわけでもありませんし。
それ以外の個性としては、素の写りに強い青みがあり、Planar 50mm f1.4に比べると冷たい発色が印象的。例えるなら濃厚なクール系で彩度も現代の域にはなく、人肌の再現には向かないかも。



【SIGMA】

MACRO 70mm F2.8 EX DG
お勧め度 ☆☆☆
チャレンジ精神でのお勧め度 ☆

一時期、“カミソリマクロ”の異名を誇ったマクロレンズですが、他に比較できる現代のマクロレンズを持っていないので、それが正しいのかはよく分かりません。目につくのは、S-Planar 100mm f4よりもさらに直線的に抜けていくハイコントラストの味のなさで、癖のない発色と合わせてまさに無味無臭。素の写りに強い青みはありますが、WBを動かすだけで整ったカラーバランスが得られる設計の確かさはまさに現代のレンズと言えるでしょう。意外と語られていない特徴はやわらかくふわっと広がるボケが得られることで、これはカミソリマクロという解像重視のイメージとは程遠く、かなり驚きました。
記録的な撮影にはCONTAXの味は邪魔になるのでとても重宝しているのですが、唯一弱い部分が逆光性能です。別に派手なゴーストが出るわけではないのですが画面がフレアっぽくなることは多く、さらにコーティング性能の低さからか、ちょっとした向かってくる光に反応して諧調悪化が起こっているような違和感があります。東京光学のRE.Auto-Topcor 58mmと違ってこれが味にならないのは、元々がハイコントラストかつ基本となる描写性能が高すぎるからです。
もう一点、AFモーターと連動しているピントリングは微細な追い込みが難しく、MFでは意識的に狙ったところで保持する操作方法が必要です。むしろ接写以外でAFの使える場面では機械に頼り切った方が楽ではないかと思います。


関連:
CONTAXレンズのお勧め度 Planar編
http://sstylery.blog.jp/archives/15859662.html

CONTAXレンズのお勧め度 Distagon、Tessar、Sonnar編
http://sstylery.blog.jp/archives/15859771.html

はじめてのCONTAX バイヤーズ・ガイド
http://sstylery.blog.jp/archives/40152845.html