マウントアダプターのオーバーインフとフローティングの相性を検証する第二弾。かなりややこしいことをしていますので、テストの詳しい内容については前回の記事を必ずご参照ください。

アダプター問題 オーバーインフとフローティングの組み合わせ その1
http://sstylery.blog.jp/archives/70177527.html



【撮影条件】
1: レンズの距離指標は無限遠、ヘリコイドアダプターで正確なフランジバック調整をして画質の基準とする。
2: ヘリコイドアダプターのフランジバック調整なし、明確なオーバーインフのままピント合わせして画質劣化を見る。


Distagon 18mm f4 絞り開放
1: 無限遠正位置
3120

2: オーバーインフからピント合わせ
3121


遠景中央
3122
3123

遠景左端
3126
左側が甘く、右側がシャープ、色収差大
3127

近景右端
3124
3125



Distagon 18mm f4 絞り開放
1: 無限遠正位置
3128

2: オーバーインフからピント合わせ
3129


中景中央
31303131

近景左端
3132
像面湾曲によるピントの不一致、色収差大
3133


中景右端
3134
右側が流れている
3135



Vario-Sonnar 28-70mm f3.5-4.5 28mm 絞り開放
1: 無限遠正位置からピント合わせ
3136

2: オーバーインフからピント合わせ
3137


遠景中央
3138
3139

左端
3138
3139

右端
3140
3141

中央下
31423143



先にVario-Sonnar 28-70mm f3.5-4.5の結果に触れますが、このレンズの素性として絞り開放のピントが深い(切れが鈍い)という厄介さがあり、特に近景ではライブビューを使っても複数回撮影でのピントの完全一致ができずテスト結果を載せられませんでした。そういった事情を加味しつつ全体を観察した印象としては、オーバーインフ状態でも目につく画質差はなく、しかし撮影範囲=実焦点距離の変化は大きいといった感じです。今回のセッティングがアダプターの二段重ねによる余裕たっぷりのオーバーインフということを考えると、28mmぐらいの普通の広角域まではオーバーインフを神経質に嫌う必要はなさそうです。

ただ、このレンズの特性である広角端と望遠端の行き来をしてもピント移動はない、つまり70mm側でピントを合わせて28mm側で構図を作る方法を実践するには正確なフランジバックが守られていることが条件で、実際にヘリコイドアダプターで正確な無限遠を出した後に28-70mmの両端を行き来してもピント位置がほぼ一致していることを今回のテスト中に確認できました。この特性はアサヒカメラの記述によるものですが、ズームの中間域ではピント移動があり、それが両端で同じ位置に収束するバリフォーカルという点にご注意ください。

次に、明らかな問題の生じているDistagon 18mm f4ですが、さすがにあらゆる面がシビアな超広角だけあり強オーバーインフでは中心と周辺の画質の辻褄が合わなくなっています。コンマ1~2ミリの誤差が無限遠に影響する超広角ではこのテストのオーバーインフは大きすぎで、現物の距離指標も1m付近が無限遠となる大幅なズレ具合、これで画質低下が起きない方がおかしいと思うほどでした。
強オーバーインフ状態で目立ったのは像面湾曲と色収差の増大による周辺画質の乱れで、拡大画像を念入りに観察すれば明らかにピント面が歪んでいることが見て取れます。一見、本来はピントが来ない部分がシャープでラッキー!などと思ってしまいそうですが、その代わりに色収差は増えているのでやはりこの状態では使い物にはなりません。おそらく、カメラが1200万画素程度なら気にならない程度だとは思いますが。



*****

超広角の画質低下はある程度予想していましたが、あまりにも酷い結果だったので追試を行いました。

これまでのセッティングはオーバーインフのアダプターの二段重ねで強オーバーインフを作り出し、結果を分かり易くすることが目的でしたが、超広角にこれでは悪影響がありすぎるということで間に挟むC/Y - EOSを国産のRAYQUALに変えます。現行のRAYQUALは正確なフランジバックを保証していますので、これで中華製C/Y - NEXと同様の一般的なオーバーインフになるはずです。

3320



【撮影条件】
1: レンズの距離指標は無限遠、ヘリコイドアダプターで正確なフランジバック調整をして画質の基準とする。
2: ヘリコイドアダプターのフランジバック調整なし、オーバーインフのままピント合わせして画質劣化を見る。


Distagon 18mm f4 絞り開放
1: 無限遠正位置
3300

2: オーバーインフからピント合わせ
3301


遠景中央
3302
3303

遠景左端
33043305

近景右隅
3306
3307



【撮影条件】
1: レンズの距離指標は無限遠、ヘリコイドアダプターで正確なフランジバック調整をして画質の基準とする。
2: ヘリコイドアダプターのフランジバック調整なし、オーバーインフのままピント合わせして画質劣化を見る。
3: ヘリコイドアダプターを微細なオーバーインフにし、ピント合わせして画質劣化を見る。


Distagon 18mm f4 絞り開放
1: 無限遠正位置
3308

2: オーバーインフからピント合わせ
3309

3: 微細なオーバーインフからピント合わせ
3310

中景中央
33113312
3313

近景左隅
3314
3315
3316

中景右端
3317
3318
3319



オーバーインフの度合いが小さくなった今回の追試では、あからさまな像流れは収まり、ピント面のおかしな湾曲が目につくこともありません。色収差は依然として増えていますが、全体の画質低下は強オーバーインフほどの不自然さはなく、絞ることを前提とすると許容範囲内と言えるかもしれません。ヘリコイドアダプターをほんのわずかだけ操作して作り出した弱オーバーインフでは画質低下はさらに少なくなっていますが、厳しく言えば、超広角レンズのフローティングはほんのわずかなオーバーインフさえも許されないという結論となります。


では、この問題の総まとめに入りましょう。


・フローティングとオーバーインフの掛け合わせは28mmくらいまでなら特に問題とならない。(Distagon 28mm f2はOK)
・それよりも人間のピント合わせの不確実性の方が画質低下の要因として大きい。
・フローティングのあるレンズを無限遠固定のままにしてヘリコイドアダプターの操作をするのは良くない。

・18mmなどの超広角レンズは明らかに周辺画質低下が起こりオーバーインフを無視できない。



これらはまあ、当たり前と言えば当たり前なんですが、今回、画質低下の度合いを明確にできたことでマウントアダプターの扱いがはっきりと見えてきました。


・超広角はフランジバックの精度が保証されているRAYQUALを使うのが一番簡単ですが、それにはレンズ側の無限遠に狂いがないことが条件。(個人的にフロート方式のCONTAX広角系は無限遠が怪しい感触あり)


・工作が得意な方はオーバーインフの中華アダプターにシムを挟んで、レンズと1対1で無限遠の合わせ込みをするのがベター。
・ヘリコイドアダプターで逐一無限遠合わせをするという手もある。(外周部に目盛をつければ便利)


以上となります。……ゼーゼーハーハー。
(あまりにも18mmがシビアすぎるんでもう疲れたよ……)



で、ついでにご報告なんですが、今回、普通のEOS - NEXもまぜてテストしていたんですが、このアダプター、18mmを付けて撮り比べると右と左の画質が揃わない偏芯があるのです。
3321

一度分解したアダプターならともかく、これは確か何もしていなかったんじゃ?とマウントを調べてみると、たっぷり半周以上捻じ込めるネジが複数あります。

つくってる人のネジ締めがてきとうっ!



一方のEOS - NEXヘリコイドアダプターは、特にデジタルノギスなどを使わずただ手で締めつけただけなのに偏芯は出ていません。あーあー皆さん、超広角を使う場合には一度お手持ちの中華アダプターのネジの締め付けを確認した方がいいかもしれません。