久々に大物記事をいきましょう。
WEB界隈ではかなりのレアなので、機材ブログとして最大限に盛り上げまくってぇ o(*゚∀゚*)o
実写ではへ――………… ( ´_ゝ`) というありがちなオチになるよう努力したい所存であります。
あれ?


その名も!


…………え~~と、タイトル読めば正体バレバレなのでささっと本題に移りましょう。



まずはCONTAX 645レンズについて概要など。

CONTAX 645はYashica/CONTAXが新たなAFシステムへと移行したCONTAX Nを包括する次世代の中判システムで、完全電子マウントにより様々な拡張性や35mmカメラとのシームレス連携を志した当時としては非常に先進的な規格です。当然ながら35mmレンズは中判カメラには着きませんが、純正の電子接点付アダプターにより、645レンズにサブのCONTAX Nやフルサイズ600万画素のN DIGITALを使い分けられるなど、電子制御によるシステムの発展性においては無限の可能性を秘めていました。当然ですが、他社によりデジタルバックも発売されています。

こんな壮大なシステムがなんで早々にコケたか?というのは割愛しますが、645のレンズ群は完全に新規の開発となったために、当時の最新設計と90年代に極まったCONTAXの発色性能は各所にざわざわとどよめきを波立たせました。“写真はレンズで決まる”という70年代のキャッチコピーをまさに現代に具現化して見せたのです。
CONTAX 後期MMJの色と諧調に中判フィルムの柔らかさと深み、そこに当時絶頂期だったフジクロームの表現力が加わったとある写真誌の作例は冗談抜きで「うそんっ」と声を上げるほどでした。
た、たしかに違う………。


さて、ここで中判のZEISSと聞けばHasselbladが思い浮かぶ方もいるでしょうが、CONTAX 645とは決定的な違いがあります。それは後者がオートフォーカスを標榜していることで、それゆえレンズデザインをZEISSお得意のガラスの塊にはできない事情があるのです。リアフォーカスやインナーフォーカスの部位についてはさっぱり情報がありませんが、移動するレンズ群の軽量化に努めながら次世代のシャープネスを確保しつつ、過去のCONTAXユーザーの期待を裏切らない官能性を兼ね備える、これがCONTAX 645に課せられた使命だったのではないでしょうか。

実際、AF化の制約がHasselbladとどのような描写の違いを与えたのかは不明ですが(※設計の年代差により、発色は明らかに違うなどの言及はあります)、広告用途としてひたすらにシャープネスを追求してきたように見えるHasselbladとはやや趣が違うと思われるのがPlanar 80mm f2です。開放F値が一般的な標準レンズのf2.8よりも一段明るいというハンデはありますが、特に複雑なレンズ構成にすることもなく、シンプルなガウス型でわざわざ全体操り出しをしています。
アサヒカメラの診断室も取り立てて見るべきところはないような淡々とした解説で、その数値も大口径なりのもの、歪曲収差は実測-2.3%とCONTAXのPlanar 50mmにも似てかなりあります。


Planar 80mm f2
2553
https://www.zeiss.de/content/dam/Photography/new/pdf/de/downloadcenter/contax_645/planar_t_2_80_ger.pdf


以前から思うのですが、ZEISSは最高の光学性能を追求していると宣伝文句に書き連ねながら、その実、用途によっては特定の収差補正を見切り、個性を優先する場合があります。例えば、CONTAX Gでは当初、HorogonからSonnarまでずらっとシャープでハイコントラストなレンズを揃えておきながら後から柔らかなPlanar 35mm f2を追加したり、最新のMilvus 50mm f1.4でもあれだけ大量のガラスを投入しながらも建築撮影用ではないとばかりに歪曲は-1.5%辺りに留めているのです。

このような個性は一般的に“味”と解釈され、NIKONなどは意欲的に過去の名レンズの解析を試みていますが、当のZEISSはかつて
bokehに対する認識がなかったことと同じようにレンズの味などというのは用途に基づいた収差補正の取捨選択の結果に過ぎないと一蹴しそうです。(そうは言っても、積極的にクラシックレンズのオマージュを行うCOSINAとの提携があるので、概念自体は理解しているでしょうが)

話がだいぶ逸れた気がしますが、
ZEISSのそんな実態(仮説)に基づくと、ひじょーーに気になるのが今回の主役、Apo-Makro-Planar 120mm f4です。


Apo-Makro-Planar 120mm f4
2550
https://www.zeiss.de/content/dam/Photography/new/pdf/de/downloadcenter/contax_645/apo-makro-planar_t_4_120_ger.pdf


なんとこれ、後のZE/ZFにも受け継がれたMakro-Planarのレンズ構成ではなく、前時代的なS-Planar 100mm f4の発展形なのです。具体的には、シンプルな対称型に特殊低分散レンズを加えて色収差低減を図りつつ、最後尾のフローティングエレメントで全域の高画質化を目指す。このレンズは唯一、金属ヘリコイドによるMFレンズで設計の制約もないはずなのに、なぜこの形? 


S-Planar 100mm f4         Makro-Planar 100mm f2.8
2551  2552
https://www.zeiss.de/content/dam/Photography/new/pdf/de/downloadcenter/contax_yashica/s-planar_t_4_100_ger.pdf
https://www.zeiss.de/content/dam/Photography/new/pdf/de/downloadcenter/contax_yashica/makro-planar_t_28_100_ger.pdf


そのヒントはデータシートの説明文にありました。この中でZEISSは、プラナータイプの対称型は工業用S-Planarにも採用される優れたレンズデザインであると盛んに強調しています。しかしながら、その文頭で述べられているのは1:1から無限遠をカバーする万能性で、この文意が文末にも繰り返されることから、Apo-Makro-Planar 120mmの対称型への回帰は軽量コンパクト化による撮影の自由度を確保するための選択だったように思います。例えば、このレンズの原型であるS-Planar 100mm f4(ヘリコイドなし)は非常に軽量かつ小径の前玉でフィルター径もコンパクトな55mmです。
となると、これにフローティングエレメントを足してMakro-Planar 100mm f2.8に遜色ない性能が出るのなら、大きく重くなりがちな中判マクロの肥大化を抑えられるだろうと踏んだのがZEISSの目論見だったのではないでしょうか。事実、このレンズの重量は796gと等倍操り出しの金属鏡胴にしてはやけに軽く、実際にMakro-Planar 100mm f2.8の740gと大差ありません。

それとも、この仮説は間違いで、プラナータイプの対称型+フローティング補正は真に優れたレンズデザインなのでしょうか?


……と、撮影前のうんちくはさておき、素直な気持ちとして、仮にApo-Makro-Planarがゴテゴテと複雑なレンズ構成だったなら自分はまるで興味が湧かなかったことを告白しておきます。それだけ気に入ってしまったS-Planar 100mm f4の豪華版? ならばぜひ見てみたい! ……これがApo-Makro-Planarを645レンズの中で唯一試したかった理由であり、中判レンズを35mmカメラで使う無駄を承知しながらテスト撮影に臨む動機です。
はっきり言っておきますが、あほCONTAXまにあはかなり実利主義ですので、見返りの少ないサイズや重さにはとても冷淡です。レンズ愛好家としてはその辺が失格で、当ブログで不快な思いをさせている方々も多いでしょうが、そう言った評価軸だよ!というのはここでもう一度、強調しておきたいと思います。

あのAPO仕様の中判マクロレンズ #2 中判のMTFはどう読むの?
http://sstylery.blog.jp/archives/69059853.html