前回の記事で中華製ヘリコイドアダプタが意外とまともなことを知った自分は、やっぱりEOS - Eマウント(FE)を試してみたいと後ろ髪を引かれ引かれ………

「中華製 C/Y - NEX ヘリコイドアダプタの出来はいかに」
http://sstylery.blog.jp/archives/66615658.html

ええい、これからα7をメインで使っていくんだし、どうせだったら中華製 EOS - Eマウントも試してみるかい! ご祝儀価格(?)じゃあああっ!! ……と、KIPONではないヘリコイドアダプタに手を出してみましたとさ。(※二つ足しても一万円いきません。)

ここで前回記事を熟読して頂いた皆様には、あれ?EOS - Eマウントのフルサイズ対応ヘリコイドって安いのなかったんじゃなかったっけ?と首をひねられると思いますが、一社だけあるにはあるんですよ。ただ、画像から推察される品質がどーにも怪しかったのでこれまで見ないふりをしていました。


理由その1、ヘリコイドアダプタなのに回転リングのローレット加工がない。手で掴む部分がまっ平ら。
理由その2、厚みのあるミラーレス用アダプタなのにレンズ受け側に板バネを使っていない簡易構造。

=これは明らかに実用向きのことを分かっていないメーカーに違いない。

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で、最終的になんで買うことに決めたか。
いつも光学知識を勉強するためになんとなく眺めているM42 MOUNT SPIRALさんの記事でこのメーカーのM42ヘリコイドが出てきたからです。SPIRALさんが使っているなら品質は悪くないはず。

VEB Pentacon AV(Meyer-Optik Diaplan) 100mm F2.8 and 140mm F3.5
https://spiral-m42.blogspot.jp/2016/10/veb-pentacon-avmeyer-optik-diaplan.html


その名もULATA ADAPTER浦田さん?
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しかしてその実態は当初の予想とは裏腹に驚愕の結末となるのでした。



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ヘリコイドアダプタが到着してぐりぐりといじった後の自分の第一声。
「浦田さん、分かってるじゃん!(だから誰?)


何が分かってるのか。ヘリコイドがC/Y - NEXなどの従来品ほどに伸びません。
この青矢印の筒自身が繰り出しと同時に露出してしまうので、手前の操作リングに噛んでいる螺旋を増やせないのが従来製品の剛性不足の一因でしたが、この問題を認識して螺旋の数を少しだけ増やし、その代わりに伸び幅を減らしていると思われます。
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そしてびっくり仰天したのは、安アダプタでまともな反射防止処理がされているのです!!

内部は全面艶消し塗装+溝切りで良好。
よく見るとさほど深い溝ではありませんが、手前側の方が反射防止効果が高いので削る面の厚さによって加工具合が代わっている模様。
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これ、普通の中華アダプタならつやつやの黒に線が引いてあるだけです。溝じゃなくて線だから光の反射面積が減らず、ユーザーの追加処理が必須なのが常識。
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さらにさらに、安ヘリコイドのスムーズさを確保するために付いてくるグリスの漏れ出しがこの製品では皆無でした。手前がEOSの大きい径なので細かい部分の構造が微妙に違うのですが、そこはグリスいらんでしょ?と思うはみ出しがC/Y - NEXにはあったので、これは好感度アップ。(若干、オイルに濡れたような箇所はありましたがごくわずか。)

以上のことを総合して考えると、このメーカーは単なる劣化コピーをしているのではなく、実写の使い勝手を検討した上でコストの調節をしている……というのは言い過ぎでしょうか。こう解釈すると、ピントリングがまっ平らなのもひとつの仮説が浮かびます。アダプタでピント合わせをするのではなく可変フランジバックとして使うのだから、むしろ簡単に操作できるローレット加工はいらないんじゃない?って。


ただーし! 

ヘリコイドの操作感などはまったくC/Y - NEXと同じでかすれた感触ですし、全体の剛性感も大幅な改善はありません。到着直後のレンズ装着はすっかすかで自分で爪の溝を膨らませる調整が必要でした。さらに、このアダプタ独自の欠点として、操作リングとレンズ装着部がツライチになっているために、レンズの着け外しでヘリコイドが回ってしまってめんどくさいです。なので、自分は手前側を確実に掴めるようにパーマセルを貼り、滑り止め兼段差を作りました。つるつるの操作リングは大まかな繰り出しさえできればいいのでそのままです。



いろいろと褒めましたが、総合評価としては低価格帯の製品より少しだけ良いという程度に留まりますし、そもそもこれらの改良点はオリジナルのKIPONが先に行ったものかもしれません。まだ分解していませんが、C/Y - NEXよりもかなり重いのはなぜなんだろうとやや気になります。良い意味での重量アップならばうれしいのですが。

最後になんとなく残った謎がひとつ。自分が試した二つのヘリコイドアダプタはどれも回転方向がニコン式なのはなぜなんでしょう? この手の物は全部コピーのコピーなので大元の仕様がそうなのでしょうが、回転がレンズ側と同方向だと一緒に回してしまう可能性があって扱いづらいっていう理解なんでしょうか。よく分かりません。

その辺りの細かい感想は後日にまた。(・∀・)ノ




…………後日談です。

使っているうちにうすーくグリスが染み出してきたので、結局、分解してグリスアップをやり直すことにしました。となると、このヘリコイドアダプタの全貌が把握できるということでいろいろ書いておきます。


・構造はC/Y-NEXよりもさらに合理的で分解は非常に簡単、前後の螺旋を順々に分離できる。
・なんと真ん中の螺旋は肉厚の真鍮!(だから重いんだ!)
・しかし、その配慮を台無しにする他の螺旋のざらざら黒色塗装。意味わからず。
・螺旋加工の出来そのものはMFレンズのそれと比べるまでもない安物感。
・グリス盛り盛りというわけではなかったが、C/Y-NEXと同じオイルっぽい粘性で不要部分に油が回っている。
・なぜそんなグリスを使うのか?というのは恐らく、いくら盛っても動作が重くならないという作業性の確保、すなわち組立レベルの低質さを見越したものだと思われる。
・C/Y-NEXの弱点であった一部少ない螺旋の山は改善されて物理的にも剛性感の増す造り。
・しかしMFレンズを支えるのだから、やっぱり直進キーを使って内部をしっかり支えてほしい。


というわけで、このヘリコイドアダプタは他の物よりも少し高いのですが、値段分の造りはしていると思いました。一部真鍮のヘリコイドが効いているのか、適切なグリスアップを施したら思いのほか操作感がよくなったのもうれしい誤算です。
実撮影の感想としては、操作リングの回転方向がCONTAXと逆なのはとてもやっかいで、フランジバック調整とピント合わせで逆の操作というのはどっちをどっちに繰り出せばいいのかわけ分からなくなって思考停止します。こういう不便さはノーマルアダプタとの使い分けでやりくりしていきましょう。

いじょう。