比較するのは、以下の保護フィルター5種類。


Kenko L37 Super PRO
[ 透過率99% 薄枠仕様 370nm以下の紫外線カット ]
90年代末期の高級フィルターで透過率の数字をアピールした最初の製品。今回使用したのはコーティングにスレ傷があるそれなりに消耗した物。(ガラス傷ではないので反射がないと見えません)
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Kenko Zeta
[ 透過率99.4%以上 ガラス外周墨塗り加工 薄枠仕様 ]
L37 Super PROの後継で、一世代前の高級フィルター。現在はダストフリーコートを備えたZeta Quintにモデルチェンジ。内枠がやや狭く、前玉がフィルターネジぎりぎりまで来ているレンズなどはケラレ注意とのこと。現物を観察したところ、裏側のガラス押さえが新構造で幅が広くなっていました。(画像左がZeta)
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MARUMI DHGスーパー
[ 透過率99.4% 撥水・防汚コーティング 墨入れ加工 薄枠仕様 ]
マルミではEXUSに次ぐ二番目の性能。ほどほどの値段で撥水・防汚コーティングが手に入るのでお買い得。ただし、当ブログのテストでは性能がイマイチな印象。



HAKUBA ULTIMA
[ 透過率99.4%以上 墨入れ加工 薄枠仕様 350nm以下の紫外線カット ]
撥水・防汚コーティングがない代わりにグレードの高い光学ガラスが使われた高級フィルター。コーティングが今までに見たことのないタイプで、蛍光灯にかざす角度によって反射色が変わって見えます。ZetaやL37 Super PROよりもコーティングの色がはっきりと見えるのに、実写テストは優秀という不思議な製品。3mmの薄枠は非常に軽いが強度の面では??(画像中央がULTIMA)
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CONTAX P-Filter
[ 透過率不明 ]
純正フィルターの中で唯一MC表記がないので、まさに保護用のシングルコートだと思われます。反射の多さは手に取るだけで一目瞭然。今回はシングルコートの一例としてテスト参加。
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ちなみに、記事執筆時点の価格順位はこう。

■プロテクトフィルター 55mm■
ULTIMA       3,936円
Amazon限定 Zeta 3,822円
L37 Super PRO  3,018円(※旧モデルの売れ残りのため逆に高値)
DHGスーパー   2,627円
CONTAX P-Filter  1,000円前後(※中古相場。メーカー希望価格は2,000円)


実写比較に入ります。

先に結論を書くと、性能が良いのは価格順というひじょ―――に正しい結果なんですが、ひとつ特異点がありまして、それはやっぱり旧製品のL37 Super PROなんです。前回のテストでDHGスーパーよりも実写結果が良く、DHGスーパーの品質を疑ったわけですが、実はL37 Super PROがスペック以上の性能を出しているというわけのわからない状況となりました。
L37 Super PRO - Zeta - DHGスーパーという並びはごくわずかな差でしかありませんが、掲載していないテスト結果も含めると、DHGスーパーはZetaと同等だったり、そうでなかったりといまひとつ写りが安定しません。この辺りが価格差となるのでしょうか。



【ケース1】
半逆光でシャドー浮きを見ます。強めのライトですが光源は画面外、フィールドでも十分にあり得る状況。以下、すべて設定固定のマニュアル撮影。

フィルターなし
1200_N

ULTIMA
1203_UL

L37 Super PRO
1201_L37s

Zeta
1202_ZE

DHGスーパー
1204_DHGs

CONTAX P-Filter
1205_COP


一部切り出し、左から性能の良い順。(クリックで拡大)
フィルターなし - ULTIMA - L37 Super PRO - Zeta - DHGスーパー - CONTAX P-Filter
1206



【ケース2】
ライトそのものを写した限界テスト。あまり現実的ではない状況で、あえていうなら太陽を画面内に入れた時の参考になるでしょうか。このテストではDHGスーパーがULTIMAよりも少ないフレア面積を示していながらも、ゴーストが強いという不可解な結果。

フィルターなし
1230_N

ULTIMA
1233_UL

L37 Super PRO
1231_L37s

Zeta
1232_ZETA

DHGスーパー
1234_DHGs

CONTAX P-Filter
1235_COP


一部切り出し、上から性能の良い順。(クリックで拡大)
フィルターなし - ULTIMA - L37 Super PRO - Zeta - DHGスーパー - CONTAX P-Filter
1236




【ケース3】
順光で柔らかい光。これは予想通りまったく変わらないので一部抜粋のみです。一応確認したシングルコートのCONTAX P-Filterはなぜだか少し暗く写っています。自分が影を作っているのかと思い何度も撮り直しましたが結果は同じで、ヒストグラムもシャドー方向にシフト、スポイトツールで黒バックを調べるとRGB値は2以上の明確な差がありました。露出固定のマニュアル撮影なので、透過率の悪さが影響したと思われます。

フィルターなし
1214_N

L37 Super PRO
1215_L37s

CONTAX P-Filter
1216_COP


一部切り出し、上から掲載順。
フィルターなし - L37 Super PRO - CONTAX P-Filter
1217



【ケース4】
柔らかい逆光で写真的諧調が得られる状況。これもまったく変わらないと思われましたが、他のテストで上位だったULTIMA、L37 Super PRO、Zetaは背景のRGB値が誤差の範囲で微妙にばらつき、DHGスーパーはその度合いが気持ちはっきりしているかな?といった程度。CONTAX P-Filterはより明確な色のバラつきと暗さが発生し、全体の傾向としてはケース3の順光よりも影響があるようです。

フィルターなし
1218_N

DHGスーパー
1219_DHGs

CONTAX P-Filter
1220_COP


一部切り出し、上から掲載順。(クリックで拡大)
フィルターなし - DHGスーパー - CONTAX P-Filter
1221



以上、これらの結果については誰もが普段の撮影で実感できるとおり、強い逆光や夜景以外はフィルターによる画質低下はほぼ無視でき、逆に厳しい状況となれば、どんなフィルターを着けてもアウトといえるくらい単純な問題です。それらを考慮した上で保護フィルターを選ぶのなら、選択肢はまさに価格通りでZeta/EXUS/ULTIMAの上位クラス、PRO1D/DHGスーパー/DHGの中位クラス、MC NEO/MCの下位クラスとなるでしょう。
そこに防汚性能が絡むとまた面倒くさいのですが、個人的な事情としてはもう雨中などで撮影はしないのと、汚れたらぬるま湯で洗っちゃうのと(※メーカー非推奨)、L37 Super PROが余るほどあるということでULTIMAが安かったらうれしいなあといったところ。

L37 Super PROは予想外の性能でしたが、今どきのトレンドは撥水/撥油/防汚性能ですから、わざわざこれを新品で買う意義はないでしょう。DHGスーパーはまさにその撥水/防汚コーティングがあるので表面の拭き取りやすさが段違いでした。一番の成績だったULTIMAは3mm枠の軽さが印象的で、フィルターが重くなりがちな77mm、82mmなどの大径レンズに向いていると思います。強度の向上は特になさそうなので、荒く扱う方には不適当かも。

今回のテストで小さな驚きだったのは、一見綺麗なフィルターでもきちんと拭き直すと逆光のフレア耐性が上がることで、これは保護フィルターを着けたからといって安心せず、画質劣化を常に最小限に留めるために掃除をサボってはいけないという示唆でした。それと、フィルターを嵌めると近接時は像倍率が微妙に変わるようで、こういった現象も含めて平面ガラスをレンズ手前に置くことは悪でしかないと言われるのでしょう。

後の記事で逆光によるレンズの画質低下をまとめましたが、フィルターの害をひとことでまとめると、レンズにある程度、指向性を持った光が入射した時にガラス各面の表面反射が強まるが、そこに後付けの平面ガラスが加わることで画質低下を助長してしまうということのようです。

オールド/クラシックレンズにおける逆光の画質低下について
http://sstylery.blog.jp/archives/57452665.html

でも、保護フィルターは使いますよ。だって、いくら現代のコーティングが固いからといって、前玉に砂塵なんかついていたら一発で傷が付くんだもん! そんなん怖くてちょくちょく拭けないもん! 




【注意!】
この記事は古いので、記事作成者の認識不足があります。


後のテストで判明したのですが、Zetaの性能がL37 Super PROを下回ったのはZetaの拭き難さが原因で、強い逆光時に透過性能を落とす微細な拭き痕がこの結果に繋がっていたようです。DHGスーパーはスペック以上に明らかに反射が多いという声があるらしく、その理由はかなり初期から防汚コートを売りにした中価格品ということで、さほど透過性能は考慮されていないのかもしれません。(※特殊コートは厳密には反射率に影響すると考えられます)
つまり、スペック上はZeta - DHGスーパー - L37 Super PROとなる並びでL37 Super PROが突出したのはZeta - DHGスーパーにスペックどおりの性能が出ていなかった事実がある、ということですね。

PRO1D Lotus 面反射0.3~0.5%のコーティング性能はどの程度?
http://sstylery.blog.jp/archives/69088008.html
保護フィルターの個体差確認、その原因は……
http://sstylery.blog.jp/archives/71460547.html
夏の自由研究 保護フィルターの夜景比較をしてみたが…?( ̄ー ̄?)
http://sstylery.blog.jp/archives/72036865.html
保護フィルター使用の良し悪しについて総論(修正版)
http://sstylery.blog.jp/archives/69203878.html