Distagon 35mm F2.8はすごく感想の難しいレンズで………The 無難……なんだけども簡単には手放せない何かがある………というような微妙さを、最近ようやく詳細に語れるようになってきたので、まとめてみたいと思います。


・写りは地味で、これといったインパクトはない。
・発色、コントラストも中庸。
・中心部はシャープで繊細なピント合わせができるが、周辺にいくにつれて画質は落ち、広角レンズの被写界深度の深さと相まってピント合わせは難しめ。

・AEJは絞っても周辺画質が上がらず、遠景解像がいまひとつ。(※個体差か時代差の可能性あり)
・MMJは絞り込めば画面全域にキレが出て、遠景解像も十分。
・MMJは発色性能も上がっている。

・歪曲は普通の樽型。CONTAXの広角系の中では平均的。
・逆光では太陽を直に入れても十分な諧調、発色を維持する。
・周辺減光は普通。
・ボケはきれいだが、大口径レンズのようなゆったりした感じはない。
・最短撮影距離は40cmとやや遠いので、草花のクローズアップには向かない。


Distagon 35mm F2.8は本当に評価の難しいレンズで、一言でいうと、感動はないが幻滅もないというすごい言葉になります。これは他のCONTAXレンズと比べてみると分かるんですが、例えば、突出した色彩感、諧調感がないかわりに、バランスの崩れた扱いの難しさもなく、写真の仕上がりは簡単に決まります。そして、ボケも特段、ふわ~~としない代わりに隅まで癖がなく、逆光耐性も十分です。

つまり、何から何まで中庸といえるのがDistagon 35mm F2.8で、その可もなく不可もない描写は、多くの人が熱狂したPlanar 85mm F1.4 AEGが数々の弱点を抱え込んでいることとは対照的です。同じ広角系で比べるなら、性能であきらかに上を行くDistagon 28mm F2.8に対しても、コントラストが控えめな分だけ人物描写に向き、画角が狭い分だけボケも安定していると言い換えられます。

これらの特長を簡単にまとめると、評判の良いCONTAXだから面白そう!といって跳びつくと肩透かしをくらうレンズで、CONTAXの中では誇張のないその描写はまっすぐな気持ちで被写体と対峙するためのレンズと言えるかもしれません。

ただし、ひとつ注意点として、CONTAXの広角系は時代とともに周辺解像が改善されてきたような雰囲気があるので(※検証不足)、このDistagon 35mm F2.8もAEJの初期の頃に比べるとMMJのほうが画面全域でシャープです。AEJは万能広角レンズとして解像力だけは不満が出るかもしれないので、遠景解像を重視する人は購入時に注意が必要です。また、発色もMMJのほうが鮮やかさが増しているのですが、それでも別段のインパクトはないところがDistagon 35mm F2.8の面白さです。



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※画像は使いまわしでAEJとMMJが混在。


描写に突出した部分がないということは、素直に見た目の印象が写し取られるということです。Planarなどの発色の良いレンズで時々見られる、あれ? こんな景色だったっけ?ということはこのレンズではありません。
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地味系とはいってもCONTAXなので、微妙な色再現、色彩コントラストの良さがあります。
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引き気味のボケ。広角レンズとしては画角が狭い35mmという焦点距離に加え、基本性能に手抜きがないために、ボケ像はきれいです。
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派手さはないかわりに端正といえます。
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ゴリゴリ現像。最短撮影距離は40cmと微妙に遠いので、草花にめいっぱい寄ったりすることはできません。(※本来は焦点距離の10倍=35cmまで寄れることが理想)
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カメラは古いEOS 5Dで、まったく補正なしです。なんか、微妙な味わいを感じません?
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これも撮ったまま。左の後ボケが落ち着きませんが、こういったピント面から連続した背景は原理的にボケが暴れやすいです。(非点収差の影響がもろに出る)
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もともと小口径ということもあるんですが、ざわざわした枝もうるさくなりません。
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ピクチャースタイル: 風景で彩度を誇張。さすがにこういった場面では色がおとなしいので。
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廉価レンズとはいえ高級なCONTAXなので、反射防止処理はきっちりしています。この画像だけα7II。
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