SIGMA MACRO 70mm F2.8 EX DG=通称カミソリマクロの画像をながめながら、CONTAXとの差異を語ります。S-Planarの画像はありませんので、もし厳密な実写比較をしたら言うほどの違いはなかったなんてオチもありそうですが、とりあえず。


SIGMA MACRO 70mm F2.8 EX DG 注記なければ絞り開放
Photoshop Camera RAWの現像設定はいろいろ

まず最初に、ひえぇぇぇ~! EXIFに絞り値が載ってるぅぅぅぅぅ!!というアホみたいな驚きはさておき、この画像、一般的なCONTAXレンズでは撮れません。注目すべきはハイライトへと続く明るい部分の薄さで、例えばS-Planar 100mm f4ならここが粘ります。粘るというのが高性能っぽく聞こえるのなら、「ぼってりと写る」と言い換えれば良いでしょうか。
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以下のURLの比較画像を観察すると分かるとおり、カミソリマクロはハイライトに向かう階調の抜けが良いことがわかります。

S-Planarとカミソリマクロ #3 ボケ像比較
http://sstylery.blog.jp/archives/16022885.html

これが野外撮影でどういう違いとなるかというと、明るい部分がより薄く写るためにそこを露出補正で救うとシャドーが落ち気味になる、RAW現像ではそのハイコントラストをコントロールするためにひと手間増える。つまり硬調なレンズの難しさが顔をのぞかせるということです。

じゃあ、それが悪いのかというと、ただの個性だと思います。CONTAXの抜けの悪さを嫌う人もいるでしょうから。

そして、これは国産レンズ全般にも通じる話ですが、硬調で抜けの良いレンズはこのような透明感をかもしだします。最初の画像と同じように、この雰囲気もCONTAXではでません。(味を殺す現像をするか、Makro-Planar 60mm F2.8なら似た感じになりそうですが、もっとどーんと色が乗りそうです)
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上下反転して絵柄のバリエーションを増やしています(自己申告)。
同じ人間が同じ現像をしているのに、CONTAXと違ってクリアーな印象があります。あっさりしているのが逆に見やすいというか。
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んで、ハイライトが抜けがちというのは絵柄のバランスを崩す要素でもあるので、時に現像が難しくなります。この絵は無難にまとめられなくて、ゴリゴリ現像に逃げた例。
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安レンズだから写りが劣る……なんて先入観もいいところですが、やはり気になるところはありました。なんでもない距離のMFが決まりません。自動絞りの開放撮影でピントが見やすいはずなのに、シャッターを切るとピントがずれているのです。なんでだろうと撮影中に冷静になってみると、このレンズはMF時にAFモーターのトルクが切れるだけで、例えばタムロン90mmマクロみたいに専用のカムに切り替わるわけではありません。だから金属のMFレンズよりももっと神経質にピントリングを保持しなければならないのでは?というのが自分の推論です。

それとこの画像、ピントがうまく操れていないのと同時に、なんとなく色の粘りのなさを感じます。コーティングの弱さなのか、あるいは単純に明暗差が強すぎてそのように見えているという可能性もありますがどうなんでしょうか。ちなみに、ノーフィルターです。

CONTAXの場合は収差を出しながら階調のまるみだけは維持するか、もっとしっかり色が乗るかといったところでしょう。
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絞りF4
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絞りF4
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絞りF4
CONTAXでは日中の反射光が入っている日陰でこんな青み(渋み)がでた覚えがありません。
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Planarとは微妙に違う空色で、強いていうならRollei 35のSonnar 40mm F2.8がこんな感じの青だったような。
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これら写りの違いは優劣というより個性ですが、やや気になったのが逆光気味の写りの変化で、どうもこのあたりが(この時代の)SIGMAのコーティング性能の低評価に繋がるのかなと思いました。鏡胴内部に反射要因はないので大崩れはしませんが、時々現像時に色と階調が気になる印象がありました。